写真:Reutersより (2013年2月28日)
フクシマ第一原発から約50キロ離れた二本松市の同朋幼稚園で遊ぶ子供たち。
放射線測定器が0.160マイクロシーベルト/時を表示している。
2月28日、世界保健機関(WHO)はフクシマ原発事故のガン発症リスクに関する報告書を出しました。それに関して日本のメディアも報道しています。:
-最悪想定ならがんリスク増=疫学的には「可能性小さい」-WHO,原発事故影響報告(時事ドットコム):
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201302/2013022800951&g=soc
-福島原発 甲状腺がんリスク増加も WHOが報告書発表(朝日新聞):
http://www.asahi.com/national/update/0228/TKY201302280465.html
この WHOの報告書に対してグリーンピース・インターナショナルが極めて批判的な声明を出していることを私は、ドイツのメディア「ディ・ヴェルト(Die Welt)」を通じて知りました。今日は、そのグリーンピース・インターナショナルの声明をご紹介させて戴きたいと思います。グリーンピース・インターナショナルはWHOのリポートを実にスカッと単刀直入に批判しています。
下がグリーンピース・インターナショナル声明原文へのリンクです。:
Greenpeace-Mitteilung
グリーンピース・インターナショナル・プレスリリース(2013年28月28日付)
WHO(国連-世界保健機関)はフクシマ原発災害が及ぼす重大な健康影響を軽視(日本語訳:グローガー理恵)
(2013年3月4日アップデート)アムステルダム
グリーンピースは今日、WHO(国連-世界保健機関)から新たに公表されたリポートが、フクシマ原発災害が及ぼす健康上のインパクトに関する重大なインフォメーションを隠ぺいし欠陥のあるものであるとして、WHOを批判した。
「WHO のリポートは恥知らずにも、原発事故発生後、20キロ圏内の避難区域から直ぐに避難することができなかった人々に、早期の放射能放出が及ぼした重大な健康影響を軽視している」と、グリーンピース・インターナショナルの核放射線専門家、Rianne Teule博士は述べた。
「WHOは、フクシマ災害がもたらす長期的な起こり得る可能性のある健康上のインパクトについて、もっと正確な全体像を提示するために、これらの人々が受けた被曝線量を推算すべきであった。」
ドイツの核専門家、Oda Becker氏が行った推計は、20キロ圏内の住民が恐らくは、何百ミリシーベルトものかなり高い被曝線量を浴びてしまったであろうと謂うことを示している。 彼女は、フクシマ原発から10キロ、15キロ、20キロ、40キロ離れた場所に住む人々が受けるであろうと推定される被曝量を算定するために、フクシマ原 発の運営者、東電からの放射能放出に関するデータを基にしたモデルを使った。
WHOとそのPR情報操作は、フクシマ災害のために多くの人々がガン罹患のリスクにある可能性を驚くほど過小に査定している。彼等はガン罹患の増加率が低 いパーセントであることを強調することによって、ガン発生のインパクトを隠蔽している。実際には、これらの低いパーセントが結果として非常に多くの人々を リスクに曝していることになるのである。
「WHOの欠陥あるリポートは、彼等が為すべき仕事が未だ半分残されたままの状態にあるということだ」とTeule氏は言った。「WHOや他の機関はフクシマ大災害のインパクトを隠蔽し過小査定することをやめなければならない。そして、未だ汚染地域に住んでいる何百万人の人々を守ることにもっと重点をおくことを要求していかねばならない。」
WHOはIAEA(国際原子力機関)からの承諾を得たときのみ、放射能放出が住民に及ぼす健康影響についてのリポートを公表する。
注意(2013年3月4日)
この声明に応えて、WHOがグリーンピース・インターナショナルにコンタクトしてきた。そして、「1959年発行の*WHOとIAEA間の協定やWHOと IAEAとの放射線影響の研究調査協力が継続しているにもかかわらず、我々はWHOのフクシマ災害の健康リスク査定リポートに関してIAEAに相談はし ていない」と述べた。
WHOがIAEAと直接相談したのか否かに関わらず、WHOが如何に、チェルノブイリ核事故の犠牲者に対して行ったように、フクシマの犠牲者の放射線リスクを過小査定しているのかと謂うことは恥ずべきことである。
WHOのフクシマリポートに関するグリーンピースの批判に対してWHOはこれまでのところ返答してきていない。:
-早期の放射能放出が20キロ圏内の住民に及ぼした重大な影響についての報告が省かれている。
-如何にリスクのパーセントが、結果的に実際、何人の住民にリスクを曝させることになるのか。
グリーンピース・インターナショナルは、これらに対する返答を引き続き求めていく。
以上
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* IAEA‐WHO(1959年)協定(日本語訳):
http://www.crms-jpn.com/doc/IAEA-WHO1959.pdf
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2209:130310〕