コロナ禍の仮辞世

著者: 岩田昌征 いわたまさゆき : 千葉大学名誉教授
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南欧に後期高齢者なる概念はあるのだろうか。かの地ではネオリベラリズムのおぞましき後遺症の中で、わざわざ「ネオ」をつけるまでもない、資本主義的リベラリズムの本性に従って、コロナ重病の老人から人工呼吸器を取りはずし、コロナ重病の若者に装着すると言う。他の一切の諸事情を所与するとすれば、医師のかかる判断は、広義の人道主義に適う。日本国にあっても、かかる非道の合理的決定を私達後期高齢者は覚悟して甘受せねばならなくなるかもしれない。後生に幸あれ。

私=大和左彦は、かかる時代の八十路の者として、元気なうちに辞世を詠んでおこうと思った。色々とためし詠みをしてみたが、まだまだ真剣味がうすい。

 

人は逝く コロナを越えて人は征く

友愛 平等 自由を覓(ま)ぎて

 

悲しきはてひとたくみの大和島ひとり立ちすを見ずて去ること

 

豊常世(とよとこよ)ひつぎのみことくにたみのくにのかたちのさきゆくが夢

 

桜狩コロナただよふ桜風八十路の翁天命を待つ

 

桜狩コロナ川かぜ花いかだ心地よしとも心地あしとも

 

すめろぎと民主の和する豊常世 資本主義者の畏怖する理念

 

すめろぎと民主の和する豊常世 社会主義者の見果てぬ思ひ

 

令和2年卯月8日(水)

 

岩田昌征/大和左彦

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9633:200411〕