コンピュータ監視法に抗議する
2011年 6月20日
出版流通対策協議会
会長 高須 次郎
東京都文京区本郷3-31-1 盛和ビル40B
TEL 03-6279-7103/FAX 03-6279-7104
3月11日に閣議決定され、4月1日に国会に上程された「情報処理の
高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(以下
「コンピュータ監視法案」という)が、5月31日、衆議院本会議で可決
され、6月17日に参議院本会議でも可決された。
大震災、原発災害のこの危機状況の中で、このような監視法案が
なぜ出てきたのか大きな疑問である。東京電力と政府のでたらめな
原発事故発表に、ネットで多くの批判がよせられたことに対する、
当局の原発批判封じ込めととられても仕方あるまい。
この監視法案では「捜査機関が裁判所の令状なしに、プロバイダー
やネットワーク管理者に最大60日の保全命令・データ提出が可能に
なる」部分が含まれており、プライバシーが著しく侵害される恐れが
ある。プライバシー・報道の自由よりも捜査協力を強制されることに
なる。裁判所の捜査機関に対するチェック機能を大幅に後退させる
捜査の独走を許してはならない。
「ウイルス作成罪」については、すでに既存法で悪質ウイルスを作成
配布した容疑者は、器物破損罪で逮捕されている。少なくとも悪質
ウイルス作成者配布者は検挙できる体制は、現行で出来上がって
いる。「新たにウイルスの取得保管したというだけで法的処罰の対象
とする」という条文は、その対象はきわめて多岐に及び、いつ感染した
かという認識をユーザーが実感できないという実情もあり、誰でも逮捕
される状況が作り出される危険性がある。
充分な審議や報道もされずに成立したこのような監視法は、言論の
自由を脅かすものであり、断固抗議するとともに、同法の安易な運用
を許してはならない。
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●出版流通対策協議会(流対協)事務局/木下 郁(きのした・かおる)
東京都文京区本郷3-31-1 盛和ビル40B
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