ジャズの歴史上もっとも過小評価されている音楽家の一人と言われる福居良さん

 

英語の表現で ” It talks to me.“ という便利な言い回しがある。 この表現は、芸術作品を鑑賞したときなどに、自分にアピールする作品に出会した際に使える効果的な表現ではないかと、私は思っている。つまり、その作品について ” It talk to me.“ と述べれば「この作品は私に語りかける」と言っていることになり、要するに「この作品には自分を感動させる力がある」と示唆していることになるわけだ。

私が日本のジャズピアニスト・福居良(ふくい・りょう)氏について知るようになったのは数年前のことで、ドイツの週刊新聞 “Der Freitag (金曜日)”に福居良氏の音楽が紹介された記事を読んだことが切っ掛けとなった。 記事を読んだ後、興味を持ち、すぐに福居さん作の ”A Letter from Slowboat“Youtubeで初めて聴いてみたのだが、彼の音楽は、まさに”自分に語りかけてくれるもの (It talks to me!)”のように感じられたのだった。彼の奏でる流れるような快いメロディーは、スムーズなインプロビゼーションと共に力強く、私の心に響いていった。

 

福居氏は1948年6月1日生まれの、札幌を拠点活に活動していたジャズピアニストで、ご夫妻で経営していた札幌のジャズクラブ”Slowboat”で、定期的に演奏していたが、残念なことに2016年3月15日、悪性リンパ腫のために他界された。彼の死後、彼の作品は人気が急上昇し、いくつかのアルバムが再プレスされた。

 

ちなみに、芸術・文化の批評雑誌 “ FAHRENHEITº ”は福居氏を次のように評価している:

『福居良は、おそらく、ジャズの歴史上もっとも過小評価されている音楽家の一人であろう。彼はジャズシーンと日本のシーンの開拓者であり、モーダルジャズ、バップジャズ、クールジャズの要素を融合させた簡素さと巧妙さを誇る、荘厳性と情緒の自由自在な精神を創作した、一括して言えば、驚嘆すべき音楽家である。

…..彼の作品には、ゆったりと落ち着いたジャズ・スタンダードに入る前に、折衷的で感動的な序奏が含まれている。

彼の才能と、このジャンルのサウンドの純粋さへの執着は、世界で最も優れた、そして最も注目されていない芸術作品のいくつかを生み出した。』

 

興味のある方は下記のリンクをクリックしていただければ、福居氏の音楽をお聞きになることができる:

彼の最初のアルバム”Scenery 1976 ”へのリンク(これまでに1300万人が鑑賞):https://www.youtube.com/watch?v=Hrr3dp7zRQY

 

彼の最後のアルバム ”A letter from Slowboat“ へのリンク(これまでに200万人が鑑賞):https://www.youtube.com/watch?v=kVV_z1lBNLo

 

以上

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参照した記事:https://fahrenheitmagazine.com/en/modern-art/music/the-simplicity-and-skill-of-ryo-fukui

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13300:231014〕