Daniel Ellsberg Photo: Rick Carter |
『週刊金曜日』11月25日号から、当ブログ運営人・乗松聡子によるインタビュー記事を紹介する。
10月末、カリフォルニア州サンタ・バーバラで Nuclear Age Peace Foundation (核時代平和財団)によるシンポジウム「Fierce Urgency to Nuclear Zero」(切羽詰まった核兵器ゼロへの道)が開かれ、そこで元国防総省・国務省職員ダニエル・エルズバーグ氏にインタビューする機会を得た。
エルズバーグ氏は1971年、ランド研究所在籍中にベトナム戦争についての政府内部文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を新聞にリークし、米国のベトナム撤退の一因を作ったことで知られる。正義のために身の危険を省みず内部告発した「ウィッスル・ブローアー」として伝説的存在となり、近年「ウィキリークス」のジュリアン・アサンジ、元CIA職員のエドワード・スノウデンらにも影響を与えている。
エルズバーグ氏は核問題の専門家でもあり、今回も開口一番、「自分の人生は核戦争を起こさないという目的のために捧げてきた」と言いきった。戦後の核軍拡競争と核戦争の危機を見つめてきた氏がこのこのインタビューでも上述の会議でも何度も強調していたのが、「今世界はキューバ危機(1962年)以来の核戦争の危機にさらされている」ということだった。そして核戦争を本当に起こすリスクはドナルド・トランプよりもヒラリー・クリントンの方が高いと。
エルズバーグ氏は、オバマ大統領が核先制不使用を検討したことに対し核被害をよく知る日本が反対したことに大変な危惧を抱いていた。核兵器ゼロの目標は重要であるが、喫緊の核戦争のリスクを回避するにはまず、米国がロシアや他国に対し核先制攻撃の脅しを解くことであると強調した。
85歳のエルズバーグ氏はインタビュー中、私を通してすべての日本人に伝えたいと言わんばかりの気迫で、つばがかかりそうな勢いで訴えてきた。「日本こそが米国に核先制不使用を求めるべきだ。安倍首相がどう言おうとも、日本の市民が立ち上がって行動すべきだ」と。
だから私は週刊金曜日の読者以外の人たちにもエルズバーグ氏のメッセージを広く伝えたいのだ。許可をもらって記事を下に張り付けたので、ぜひ読んで拡散してほしい。記事画像をクリックすれば大きく見られる。 乗松聡子
★エルズバーグ氏は核問題を中心とした回顧録をこのたび完成させた。その中には1960年代初頭に岩国沿岸に配備されていた核兵器についての詳しい記述もある。近日中に出版予定。
初出:「ピースフィロソフィー」2016.12.03より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/12/blog-post.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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