1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原子力災害から30年。それを記して、放射線生物学者であるイアン・フェアリー(Ian Fairlie)博士が、1986年のチェルノブイリ核災害による健康影響に関した最新報告書 ” TORCH-2016 “を公表しています。
正直言って、120頁もある報告書を読む気にはとてもなれませんので、フェアリー氏のブログを覗きましたところ、報告書から出された知見をかいつまんだ概要が掲載されてありましたのでそれを和訳してご紹介させて頂きます。
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チェルノブイリから30年 (30 Years after Chernobyl)
この最新チェルノブイリ報告書 1.1版 (120ページ) は、Global 2000/FoE オーストリアに委託され、ウィーン市議会・環境オンブズ機関によって資金が提供された。
報告書は、2006年から2016年までの10年間の間にピアレビューされたジャーナル(複数)に発表された新たな健康影響のを証拠をアップデートしている。
報告書からの知見をかいつまんで述べると下記のようになる:
① 500万人が未だに、ウクライナのベラルーシやロシアにある放射能汚染レベルの高い区域に住んでいる。
② 4億人が放射能汚染のもっと低い区域に住んでいる。
③チェルノブイリのフォールアウトの37%が西ヨーロッパに降下し堆積され、その結果、西ヨーロッパの42%が放射能汚染された。
④ 4万件の致命的がん症例が予測される。
⑤ これまでの甲状腺がん症例が6千件、今後はさらに1万6千件の症例が予測される。
⑥ 現在、オーストリアにおいて放射線由来の甲状腺がんの増加がみられる
⑦ 放射線由来の白血病、心血管疾患、乳がんの増加が確認されている。
⑧ 放射線由来の先天的障害、精神障害、糖尿病発生の新たな証拠がある。
⑨放射能汚染区域に住む子どもたちが放射由来の疾病を患っているという新たな証拠がある。
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*イアン・フェアリー(Ian Fairlie): 英国人。独立したコンサルタントで、環境中の放射能に関する助言/勧告を提供する。環境団体やヨーロッパ議会、また、いくつかの国の地方および国家機関などにアドバイスしている。彼は、カナダのウエスト・オンタリオ大学にて化学を、さらにロンドンのバーツ医学大学で放射線学を学んだ。ロンドンのインペリアル・カレジで、核燃料再処理の危険/害に関した論文を作成し博士号を取得。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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