経産省前テントひろば1807日後 61日
大間裁判の傍聴に向かう人が座り込みに 10月18日(火)
昼前の虎ノ門付近の歩道を、汗をかきかき台車を押した。10月も半ばを過ぎたというのに都心でも、昨日に比べて10度近くも温度が上がって、この日が「夏日」だったことを後で知った。
今日は大間裁判の傍聴に向かう人たちが多く座り込みに参加してくれた。2時過ぎに「時間だ」といって裁判所に向かったひとりは、抽選に外れたといって3時前に戻ってきて、いつもより傍聴希望者が多かったと話していた(後で、140名が並んだと聞いた)。
一昨日の新潟県知事選挙では、鹿児島県知事選挙に続いて、原発再稼働に否定的な候補者が当選した。この新知事、米山隆一氏について毎日新聞では原発反対派だといい、朝日新聞では原発慎重派といっている。今日の朝日新聞は電話による世論調査の結果を報じている。原発再稼働に反対は57%、賛成は29%、要するに3人に2人は再稼働に反対なのだ。
東京地裁は、霞が関の経産省前から徒歩3分のところにある。大間原発の建設差し止めを訴えた裁判が、その大法廷で開催された。第10回弁論が午後3時から、その後に議員会館で報告集会がもたれた。その準備に当たっているYさんが、いつもは座り込みに参加しているのに、今日は椅子、幟旗などをセットし終えると、財務省脇の坂を上って議員会館に向かってしまう。しばらくして、3名のご婦人が座り込みに参加し、ウクレレを弾きながら合唱を始めた。
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淡々と座り込む。多くの出会いがある。10月19日(水)
10/20参議院議員会館での「避難者の住宅支援打ち切り反対」の院内集会のチラシがかなりあったので、テント前で撒く。昼食から職場に戻る役人たちに撒くので、ほとんど受け取らず。いやになる。
TPPの国会審議が始まったので、昼に第二議員会館前で国公労組を中心にした抗議行動が行われたそうだ。それに参加した市民がテントに立ち寄る。今日は、その後、院内集会があるそうだ。そして、そのあとは19日行動。
12時20分頃、警察が来る。「パラソルを畳んで」という。「いつも開いている。警察に文句を言われたことはないなー」などと言うと、「いやそんなことはない。昨日も私が注意したんだから。今日はお天気も良く雨は降らないからたたんで」という。ほかの仕事をしながらあれこれ言っているうちに警官2名は去る。
馬場さんがハンドマイクで道行く人に福島の現状について話す。住宅支援打ち切りの話とか、子どもの甲状腺がんの話とか。マイクが小さいので音が小い。しかし、音を出しているのはいい。
3時頃には、夜の19行動に参加する人3名が、「テントの座り込みに参加しようと思って早く来た」と言って座り込みに参加。
齋藤美智子さんもこられる。座り込みの一人が、斎藤さんがもうすぐ90歳になられることを知り、斎藤さんにいろいろ話し込んでおられた。いろんな出会いが、次々と続く。(T・I)
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デモは銀座方面に向かった 10月20日(木)
経産省前に到着すると iさんが待っていてくれた。
2人で準備。今日お巡りさんは来ず。座り込み初めて一番暖かい日。
ゆったりと座り、雑誌を読んでいたら少しずつ人が増え、とっても良い座り込みとなった。
日比谷公園あたりが騒がしいので見てみるとデモ行進。こっちに向かうのか期待していたが銀座方面へ向かった。
後半を担当するYさんが早めに到着。少し甘えて交代時間よりも早く経産省前を後にして、遅い昼飯を食べに出かけた(T・H)
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院内ヒアリング集会「使用済み核燃料問題を問う」10月21日(金)
金曜の午後、「テント前ひろば」で数人が座込みをしている間に、衆議院第2議員会館多目的会議室には30人余りが集まり、経産省(資源エネルギー庁)の6人を迎えて院内ヒアリング集会を実施した。エネ庁担当から事前質問の回答を得ながら、使用済み核燃料の実態を確認してこれ以上使用済み核燃料を増やすなと訴え、「原発が安い」と大嘘をつき続けてきていながら廃炉費用他を「国民」に負担させようとする経産省の責任を追求した。
集会には、元首相菅直人衆議院議員も参加、私たちの追及を応援する力強いメッセージを発していただいた。
山崎久隆さんとともにエネ庁の嘘を厳しく突いたヒアリングの概要は次のとおり。
Ⅰ 使用済み核燃料問題の実態
まずウランを全量輸入していながら原発は「準国産」であるとの嘘を追及した。エネ庁担当の非論理的説明にはあきれた。使用済み核燃料の総量が18000トンであり各原発現地の燃料プールに数百~2千トンの使用済み燃料が保管されているとの回答を得て、イチエフ事故時の4号機プールの問題を思い起こしながら冷温管理が必要な使用済み核燃料につきまとう大地震や戦争・テロや航空機落下の危険を訴えた。折しも、ヒアリングが始まってすぐに鳥取地震が起こりエネ庁の一人が急ぎ担当分の回答をして戻ったが、400トンの使用済み核燃料を抱えた島根原発が大丈夫かと追加追及、集会終了間際にエネ庁担当の原子力規制委員会が島根原発の安全確認を発表したと答え、燃料プール問題が浮き彫りになった。
使用済み核燃料の今後の処理計画については、六ヶ所の再処理施設の竣工予定を回答するのみで直接処分をも否定した。20年以上前に着工し竣工延期を重ねている再処理施設の稼働は事実上不可能であることを山崎さんが厳しく指摘し、最終処分場の「科学的有望地」の提示が遅れるなど、使用済み核燃料問題が、危険な状態のまま全く進展していない。私たちは、「トイレなきマンション」で「ウンチ」をしないこと、すなわち原発再稼動をしないことを、日本学術会議の提言をひいて強く訴えた。
Ⅱ 原発コスト
福島原発事故対応、核廃棄物、廃炉、核燃料サイクル、交付金、もんじゅをいまさら「国民」にあるいは託送料金で費用を請求するのかを追及し、特にイチエフ廃炉費用については事故責任(無限責任)を負う東電の解体を強く訴えた。最後に、経産省テントひろばから今の福島の事故被害の厳しさをエネ職員に伝えた。その後、17時からは経産省本館で院内ヒアリング集会を振り返りながら抗議をし、「経産省前テントひろば」後には夜遅くまで人が集った。
(K.M)
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原発と政党の関係が浮き彫りになってきている 10月21日(金)
鳥取の地震と聞いて何よりも原発には関係しなかったろうかと思った。被災した方々には申し訳ないのだが、反射的にそう考えるようになった。福島第一原発の事故というか、原発震災のことがこういうように思わせるようになったのである。テントが強制撤去された後もテントのあった前のひろばでは座り込みやスタンディングという形態での闘いは続いている。日誌で報告のある通りだが、僕らはその中でいつも僕らの運動と政党のずれをみている。原発の再稼働や存続(もっとも、再稼働に対する人々の考えと原発の存続の是非は同じではないだろうが)に反対する国民の声と政党の反応のズレである。
自民党が再稼働と原発推進にあり、原発の政治的論議そのものを封印し、なるべく政治争点化をさけ、それを政治課題化から避けようとしていることがある。自民党では内部議論を抑え込み、政治争点化を避ける努力をしている。公明党は自民党に寄り沿い、それに取り込まれているのだから、原発についての判断を避け、再稼働では自民党に賛成している。曖昧でいらいらさせるのは民進党である。電気労連に引きずられた連合が原発再稼働や原発の存続に賛成であり、それにより民進党はまとまった見解を出せないでいる。言い換えれば政党の呈をなしていないのである。連合の見解が少数意見として党内にあるのはいいとして、それに引きずられて原発問題を曖昧にしか扱えないのは政党失格ではないか。かつて大飯原発の再稼働を進めた野田元首相が幹事長だから、隠れ原発再稼働派というべきなのかもしれない。
国民の政治的意向や意思を無視して、国民のあずかり知らぬところで原発再稼働や存続を推進する政府や官僚、財界の動きがスムーズにいくわけはない。彼らは日本の政治権力の常套的な方法(密室で閉鎖的な場でことを進める)で、原発再稼働を進めようとしても簡単に進むわけはない。震災後、5年を経ているが現在稼働している原発は川内と伊方の3基であって、これは将棋倒しのように拡大して行く展望にはない。彼らは焦っているのではないか、といわれるが、その焦りは想像以上のものがあるのではないかと推察できる。こうした中で、鹿児島知事選挙に続く、新潟知事選での再稼働推進派の敗退は予想以上の危機感を募らせているのではないかとも思える。彼が頼りにした原発立地の地元の同意がゆらぐからである。原発問題の争点化を国政レベルでは封じるか、極力抑えても、原発を抱える地域での首長選挙などではそうはいかないのである。それらの地域では原発再稼働や存続の政治争点化は避けられないし、そうなれば原発再稼働や存続に反対の動きは大きな力であらわれてくる。鹿児島や新潟はその皮切りである。小泉元首相は「原発問題」を争点にした選挙をやれば野党は勝利できる、とある新聞のインタビューで述べていたが、この実感と危機感は与党の面々にも浸透していると考えられる。
民進党は新潟での動きを無視できなくなってか、2030年代に原発をゼロにするための「現実的工程表を作る」と表明した。まだ、あいまいだが、脱原発の方向を明確にしょうとする動きと見て取れる。これは多くの人が憶測するように難航するだろう。再稼働に賛成な電気労連や連合が存在し、抵抗があるとみられるからだ。しかし、今回の新潟選挙でのような態度を取り続けるなら市民や地域住民から見放されるのは不可避である。民進党主導で野党共闘なんて乗り越えられる選挙が出現するかもしれない。
僕らは脱原発の運動において、市民や地域住民の一人一人の声(意思)に基づく運動の重要性を実感してきた。どんな形態でもよいが、従来の組織動員型ではなく、個人の声(意思)を基盤にした運動の重要性を考えてきた。政党もまたそういう時代の洗練を受けざるをえない。それは必然である。新潟知事選の示した問題はここにある。それは民進党などの野党だけでなく、政権を担っている与党(自民党・公明党)にも波及するだろう。政党は多寡をくってはいられなくなるに違いあるまい。持久戦としての原発はこうした予想せぬ事態を引き起こし、運動に起伏をもたらす。変哲もなく見える座り込みやスタンディングという運動はこれとつながってあるのだし、そこがおもしろいところだ。(三上治)
テントニュース92号を添付しました。
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沖縄からの通信(10月20日) M・S
山城博治議長の逮捕に端を発した高江の情勢は、大阪府警の機動隊の「土人」「シナ人」差別発言で大炎上。夜に入って知事が「言語道断」という緊急記者会見を行い一気に政治問題化しました。沖縄県警と沖縄県公安委員長の責任も問題に。二人とも県庁を訪れて謝罪。菅官房長官は午後の記者会見で「大変残念」としつつ、工事は「法に基づいて適切に進めていく」と発言。この機動隊員を沖縄から逃がし火消しに躍起となった。
一方、松井大阪府知事が「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。」とツイートしたことで、一斉に松井への批判が起きている。
山城博治氏は送検されまま依然拘留中。今回で3度目の逮捕で、狙い撃ちされているため、おそらく起訴されるかもしれない。ただ、現場そのものではなく、山を下りて来た公道で逮捕されているため、起訴は難しいという声も。
高江の年内工事完成予定は大幅に遅れている。そもそも、年内完成は1月の解散総選挙に向けて無理に無理を重ねたもの。来年3月の最高裁確定判決をもって辺野古の本格着工を狙っている国にとっては、1月総選挙での自民党議員の復活当選と北部訓練場の返還はなんとしても前提となっていたもの。自民党にとっては逆風となり、思惑が外れてしまった。
県は確定判決を見すえて、知事権限を3つに分類し知事権限を使った辺野古阻止で検討に入った。
きょうはこの辺で。
10月28日(金)午後5時から経産省前抗議行動。テントひろば主催