テント日誌10月30日 経産省前テントひろば781日目~気温の変化の激しさの中で

風邪には気をつけていたのだが、気温の変化が激しいせいかやられてしまった。それで泊りを外してもらったりしたのだが、家に籠りながらいろいろのことを考えていた。第一に痛感したのは体力の衰えだ。風邪を引いたと気づいたら、熱い風呂に入り、酒を飲み温かくして寝る。猛烈な汗をかいても我慢して毛布をかぶって、汗を出し切る。そうすると風邪は治る。少し、乱暴だがこれで大体風邪は治るのだ。こんな風にやってきた。これを考えたが止めた。一晩、我慢する体力がないことに気づいたのである。ゆっくり治すしかないと思った。それで迷惑をかけたのだが、体力の衰えを自覚して対応させてもらった。

家に籠っていてもテントのことは気になる。逆にいえばいつもより気になるのだが、一日中、テレビをつけて過ごしている。孤独なというか、孤立した過ごし方の浸透ということを思うことが強くなる。人は直接的にはあまり他者と関わらなくて生きていけるシステムが広がっているのだし、都市化された生活様式はこうなってきている。家と職場の行き来の中で、孤独で孤立した日常が深まっているのであり、それを満たすシステムが出来あがっている。

もちろん、これは目新しことではなく、多くの人が指摘してきたことである。直接的な関係というものを希薄にして行く社会関係のありようが出来あがっていて、これに不安や障害感があってもこれをなかなか抜け出せないのである。具体的で直接的な関係の契機や場というものはなかなか見いだせないし、創れないのだし、そういう現実があるのだろうと思う。

テントや官邸前抗議行動などで「つながろう」というスローガンが語られたのは無意識も含めて、現在の社会的な存在(生活)のあり方から、いうなら孤独というか孤立した状況を脱しょうとする思いが込められていたと思う。テントや官邸前抗議行動はその役割というか機能を果たし続けているのだろうか。

3・11の後はその事件の衝撃があり、それに対する反応として、つまりは触発されて孤立した場から出ようとした動きがあった。だが、時間の経緯の中で、直接的な反応も変化し、どこかで以前の状態に戻るようになれば、人々の孤独で孤立した社会関係を脱する行動も変化する。社会的契機があり、それが行動として現れ、それが社会的な契機になるという循環を考えられるといいが、これは無理である。人々の社会的な存在に衝撃を与えるような政治的行動や運動の展開が困難であり、それらが人為的に作り出せない状況にあるからだ。

テントにしても官邸前抗議行動にしても直接的な反応の契機が希薄になって行く時期に行動、あるいは場を持続して行くにはどうすればいいのかということになる。僕はそれを持久戦と呼ぶが、それは行動や場の形成が、個人の意志(内発的で自覚されたもの)によるしかないということである。それに支えられるしかないのである。結局のところ、孤独で孤立した社会関係を脱しようとする個人の意志や行動ということになる。かつてなら、街頭に出よう、書を捨てて外へということが語られたのだが、孤独や孤立が日常化し、常態化した社会から現在的に脱しようとする意志なのだ。それは未知でやってみなければ分からないということの中にあるが、外へ出てみるという行動なのだ。

家に籠っていても、職場と家を行き来している諸個人は孤独や孤立を感じていても、それから脱して、外へ出ると言うことがなかなか難しい。だが、ここから脱したいと多くの人が感じているのなら、そこから脱しようとする行動や運動は孤立しているのではない。テントや官邸前行動は社会的に孤立しているわけではない。持久戦的な様相の中にあるからと言って孤立しているわけではない。脱原発や反原発という考えが社会的に孤立していないように。国民的な意志や意向は強いものとして在り、この意志は風化はしていない。3・11直後と直接的な反応は変わってきている。そのことと国民の原発への意志とは違うことだ。脱原発や反原発の国民的意思は静かに深く浸透しているのだ。これが直接的な反応とは結びついてはいないように見えても、そこを見誤ってはいけないのだろうと、思う。こういう時期や時代があるのだし、だから、持久戦なのである。

テレビではワールド・シリーズが放映され、日本の上原選手が飛び跳ねている。彼はよくやったし、現代の英雄だ。が、ここまで凝縮して今シズーンは終る。野球という舞台での戦いにはこうした区切りがある。だが、脱原発や反原発の闘いにはこうした区切りは設定できない。だから、英雄はいらない。無名の人たちが英雄といえば英雄なのだし、そういうように持続していくのだ、と思う。テレビの画面には登場しなくても、社会的に続けられるより重要な闘いはある。上原に拍手を送りながらそんなことを考えていた。(M/O)

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テントからのお知らせ

■  11月29日(金) 「脱原発テント裁判第4回口頭弁論」 14時から

日時:11月29日 午後2時から  午後1時東京地裁前抗議集会 午後2時開廷 地裁103号法廷 午後4時から裁判報告集会

■  11月6日(水)12月4日(水) 東電解体!東電本店合同抗議 18:30~

場所:東京電力本社前 呼びかけ:経産省前テントひろば/首都圏反原発連合/たんぽぽ舎/東電株主訴訟

■  11月23日(土)11・23全国スラップ訴訟止めよう!シンポジュウム

場所:早稲田大学早稲田キャンパス15号館201教室 入場無料

時間:午後1時(12時30分開場)

主催:経産省前テントひろば/上関原発阻止被告団/高江ヘリパットいらない住民の会