テント日誌11月27日 経産省前テントひろば809日目…商業用原発停止74日目

秘密保護法案の審議進むが、また、29日(金)は裁判だ

暗くなってきた国会通りの坂をあがって、首相官邸前に出た。そこでは多くの人が衆院での秘密保護法の審議を見守り、声をあげていた。また、議員会館前にも多くの人が集まっていた。坂を上がる時からライトに浮かぶ紅葉に染まった銀杏の木を仰ぎながら、ぶつぶつと呟いていた。やっぱり、国会は遠いということだ。たった一本の道を挟んでのことだが、その遠さをあらためて実感する。ほとんど見る人のいない国会の中継放送だって同じことだろう。この遠さは国会内の議論と国民の意識や声との関係である。そして、さらにはその向こうに権力の実態を担う官僚機構がある。

国会は国民の代表であり、官僚は国民の公僕である。この国は主権在民を理念とし、国民の意志(声)によって成り立っているはずだ。構成されているはずだ。だが、この遠さはこれが建前であり、理念と実体との乖離を意味している。国会や官僚という国家的意志は国民の意志とは違う形であることを示している。かってなら天皇と天皇の官僚は国民の上に君臨し、国民の意志の上位をなすものとして存在した。それを存在可能にしたのは天皇の意志は国民の意志であるという共同の幻想であったが、戦後は少なくとも理念、あるいは建前は主権在民に代わった。しかし、この遠さはかつての国家と国民の関係があまり変わらすにあることを示している。天皇の政治的権威が政治に及ぶのは減衰したが、国民の意志とは離反した政府と官僚が存続することはかわらないのだ。官僚権力が実質的な支配力を持つ日本の国家はハードからソフトに衣替えし様相を変えても実体は変わらないのだ。天皇の権威の減衰分をアメリカが補完したなかで、国民の意志よりも国家の意志が上位(優位)にある構造はかわらないのだ。

多分、この遠さは僕らを絶望的な気分にするし、僕らの意志の表現(意志表示)の行為に徒労感を与える。この気分を癒し、徒労感から解放されるにはどうすればいいのだ。国家や政治的なものに背を向けるのも一つの道だろう。これも一つの選択肢であり、僕は否定しない。ただ、僕はどんなに絶望的であり、徒労感が伴うにしても国家や権力と向き会い、それを変えることをやって行きたい。国民の意志が共同の意志になること、別の言葉でいえば主権在民の理念が実現した国家になること、自由で平等の社会を実現することである。

このことが実現するには人々の精神が、つまりは共同の世界の精神が「自由で平等なもの」として浸透し、肉体化(身体化)されていくことである。これは制度的な建前ではなく、たとえば憲法の精神(精神としての憲法)が人々の身体となっていくようなことだ。これがじわじわと浸透し、水位を高めて行くように深まるのか、何らかの運動、あるいは革命的事態で一挙的にやってくるのかはわからない。おそらく、国民の意志とは離反した国家意志が力を強めて行く、退行ということだってあるかもしれない。かつてサルトルは『自由への道』を書いたが、それにちなんでいえば自由への道を歩みたい。これは現在の国家や国家権力への闘い、不断の異議申し立てをやり続ける道だ。

国会の遠さは自由への道の遠さだ。僕らは多くの自己問答を重ねながら、この自由への道を歩みしかないが、国会での秘密保護法案の動きを見ていると、国会もまた、国家意志が国民の意志を超えた上位にあるという伝統的な理念に多く支配されているのが分かる。もちろん、この法案を構想し、現実に使うのは官僚である。法案の意味を考えることもなく、法案としての成立を急ぐ面々は国家意志が国民の意志よりも優位だという理念に操られているように見える。日本の政治、つまりは共同意志の無意識化した伝統に支配されているのだ。

国会の前で秘密保護法案に反対する人々と声を共にしながら、この法案の現実化と闘っていくこと、それは僕らが自由への道をあきらめないことだが、その闘いが永続的にあるほかないことを思った。「やせ蛙負けるな一茶ここにあり」これがテントに向かう帰り道での呟きだった。そういえば、29日は裁判も待ち構えている。(M/O)

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■  第一のステージの山場を迎える裁判。是非参加を。11月29日(金)

「脱原発テント裁判第4回口頭弁論」 14時から

日時:11月29日 午後2時から  午後1時東京地裁前抗議集会 午後2時開廷 地裁103号法廷 午後4時から裁判報告集会

再稼動に向けた現地行動の予定(全国的な展開)

伊方:12月1日松山での1万人集会。再稼動一番手と目されている伊方原発再稼動阻止のために現地闘争拠点を構築へ。テントからは11月30日~12月2日の行動が予定されている。

もんじゅ&大飯・高浜;7日・8日敦賀でのもんじゅ全国集会~大飯・高浜行動

川内:12月15日川内で2000人集会

問い合わせはテントに;電話 070-6473-1947。またはたんぽぽ舎へ;電話 03-3238-9035