テント日誌1/15日経産省前テントひろば―492日目 …まだ模様の残雪は大感の寒さを予感させているのか

私の地元では長く続いている世田谷ボロ市が開かれていたのだが前日の雪もまだ残り、いつもより人も店も少なめだった。足元に気をつけながら回ってみたがやはりいつもの活気はない。長々と行列のできる代官餅も列は短めだった。さっそく餅を買って帰った。ボロ市には大震災の被災地の復興店が出るのだが、いつもの場所は空きが目立った。被災地から来るのもこの雪では大変なのだろうと推察した。残念だったが、出ている復興店で白河の味噌や岩手のお酒を買った。ボロ市はもう一日あるのだが、明日は店が揃うといいなと思った。

テントの方でも周辺は雪も残り何となく寒そうだった。この光景は心にも寒さを運んでくる。いや、そちらの方がより寒さを感じるのか。大寒まではまだ日があるが、大寒に入ったら一層の寒さがやってくるのか(?) テントの中も温かくはないが、多くの人の工夫があって昨年よりはといい。政権交代があり、私たちの心的緊張は続いているが、私たちのなしうることは時間があればテントの足を運ぶことしかない。幸にもテントには既に顔見知りの人、初めての人など立ち替わりきていただいている。しぶとく持ちこたえているなあという印象だ。そんな風に私たちは原発震災が時間の中で風化していくことに抗っているのだ。毎週金曜日に官邸前抗議に出掛けてくる人も同じであると思う。こうした中で自己問答を続けるのは孤独な営みだがそれが運動を実質的に支えているのだ。考え続けるしか手のない時期があるのだしそれをやめてはならない。

テントに泊まる時は深夜の散歩もしていたのだが、今は止めている。風邪を警戒してのことだが、それで代わりに朝方に周辺に散布に出掛ける。やはり寒いねと呟きながらだが、それだけに道端の小さな草花には慰められる。少年の日に野山を歩き回りながら人知れずに咲く小さな草花に出会ったときの喜びや感動を思い出す。何の変哲もない日常の延長線の上にテントの日常もあるのだが、このテントがやがては500日になるのは驚きだ。道端の草花が寒さに耐えている中にも春は近づいている。これに比すれば春など想像できない福島の現状には胸が痛む。やがて「福島月間」もくる。福島のことに目を向けたい。

朝のテントにいわき市から環境省への申し入れをする人が立ち寄られた。福島県鮫川村で進められている高濃度放射性廃棄物焼却施設の建設が進められている。この施設は環境省が秘密裡に焼却施設を進めているが、北茨城地方の水の源流地でもあり、高濃度放射性物廃棄物焼却の危険は多くの人が指摘するところである。また、この施設の説明は地域住民になされていない。地権者と周辺の三十軒ほどに説明がされただけで影響の考えられる住民には何ら知らされていなのである。除染作業の手抜きや出鱈目ぶりが公表されているが、溜まる一方の高濃度放射性廃棄物の処理を環境省は焦り秘密裡に建設を進めているが、基本方針もなく小手先だけのお役所仕事の実際が透けて見える。これは福島県をはじめ全国に作られようとしている焼却施設のモデルなのであろうが、私たちは警戒をせねばならない。こういう行政の行為を止めることは難しいのだが警戒し、情報を広げて欲しい。この作業の中止を求める署名等が展開されているが、目につけば協力をして欲しい。 (M/O)