テント日誌2月15日裁判傍聴記4 経産省前テントひろば890日目…商業用原発停止158日目─テントに占有権原あり

経産省前テントひろば890日目 商業用原発停止158日目

●脱テント裁判の公判に参加して

        テントに占有権原あり

「あんな人たちがやっているのでは、事故が起きるわけだ~」と思わず傍聴席からつぶやきが漏れた。「まったくズサン。あれじゃあ、話にならない。まじめでない!」と傍聴者のほとんどが思った。

経産省前テント(撤去)裁判の第5回公判では、裁判で被告にされたテント側が、撤去要求の原告=国・経産省=を圧倒していた。被告の正清・渕上両氏は堂々たる意見陳述。うろたえた国側は、反論もほとんどできないままだった。

 

なんたることか、原告の指定代理人たちは若手の法律家たち14人。彼らは<崩壊した安全神話>や東電と御用学者たちを背負って入廷したものの、無表情。テント撤去の「正当性」を争うという情熱のカケラも感じられない。

被告の正清氏は、未だ収束さえしていない原発「事故」がテントの存在を重要なものにしていると訴えた。被告の渕上氏も、「新エネ計画」は最高水準だと自画自賛しているがまったく違うと批判。2010年の事故前と同じ認識を書き連ねたに過ぎない、と厳しい追及だ。原発についてはっきりと規制するのではなく、今もって「規制と推進」方針を混在させ、一貫していない、と。「ここで言っているのはあなた方のことですよ~」と、二度も原告席に向かって鋭い視線を向けた。

 

その後は、特に吉田弁護士の主張が明快だった。大口弁護士も次回での具体的主張展開を予告、原告側も次回にも身構えてくるにちがいない。この日提出された準備書面・反論書では、テントが「表現の自由」という広く国民に保障された公共広場であり、「国有地問題」だけを指摘するのはあたらないと主張。原発が深刻な事態であることから、長野県ではなく青森県でもなく経産省前にこそ、その設置意義が存在しているのだ。被告らテントには占有権がある[意見書への反論書]。

 

第一、被告の2人がテント設置にあたっての申請者だったことは事実だとしても、「3つ設置されているテント」占有者だとは言えない、と原告を追及している。被告以外にも出入りしている「占有者」は多数いるのに、どうして被告にされないでいるのか――と。なお経産省は「使いたかったら申請すべき」だと言っていたのに、テント側による使用許可申請の受理を拒否したり、申請却下したりしたのは手続き的にも問題。

 

この後行われた公判報告会には200人が参加した。弁護士からの「解説」のほか、福島の黒田さんが「1号機と2号機の間に鉄塔があり、倒れるかもしれず危険だ」が、廃炉にするまで「しびらっこく(しつこく)がんばろう」と発言した。また伊方原発について、堀さんが現地報告した。再稼働策動を前に伊方現地では、この日もゲート前で抗議行動が行われた。テントからはY氏が現地に滞在し、粘り強く抗議行動を続けている。

ともあれ、<論理>ではテント側が正義の主張で圧倒、原告側は右往左往して

いるだけだ。次回以降にも期待しようではないか。      (Y・S)

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今回はいくつもの傍聴記が寄せられています。裁判にはいつも当日に傍聴希望しているのに参加できない人が百人以上はいます。また、当日はどうしても参加できない事情の人もいます。紙面で参加していただけたらと思い傍聴記をお願いいたしました。次回は4月23日(水)です。これから本番になっていきます。注目下さい。傍聴記を寄せられたみなさんありがとうございました。(三上治)