テント日誌2/20日経産省前テントひろば529日目…いつの間にかプロ野球もオープン戦に

子どもが小さい頃は球春が聞こえてくると落ち着かなかった。子供をつれてまだジャンボスタンドだった後楽園に行くのが楽しみだったからだ。春のキャンプを宮崎まで見に行こうと誘ってくれた友人もいたが、オープン戦に出掛けるというのが我が家の春のはじまりだった。その子供ももう孫もいる歳ではあるがどうもこのところは球春が聞こえてきてもこころが動かない。3・11以降はこころの所在が変わったというのか、日常の風景にどこか異変が起こっているのだ。相変わらずスポーツ新聞は読んでいるがこれはなんだろうと思いながらテントにやってきた。WBCもこころは魅かれないし、体罰問題で揺れるスポーツ界のことが気になる。

3月11日が近づいてきている。経産省前テントひろばでは2月24日から3月24日まで「福島月間」を提起し呼びかけている。これは脱原発や反原発で行動しているグループがこの間に福島に目を向け、現在の運動の原点を再確認しようということである。福島第一原発事故は前首相・野田の収束宣言をあざわらうかのような事態である。事故は収束どころか依然として進行中である。新聞のどこかで毎日原発事故の関連記事を目にする。が、他方で情報の隠蔽体質は少しも変わってはいないのが腹立たしい。私たちが今、福島の現状を知り、そこから学びながら持久戦的な様相にある運動全体の方向を切り開いていくことは重要なことである。少しずつ温かくなるが、経産省前や首相官邸前に出掛けてきた欲しい。春を待つのは草花でだけではない。

テントでは訪問のメンバーと昨今の政治的な動きなどについていろいろの議論を交わした。訪問のメンバーは3月の初めに地域で集会を企画されており、私も参加予定なのでその話にもなったのだが、天皇制や憲法など話も広がって議論は弾んだ。彼らが引きあげた後はテントの泊りのメンバーで3月のあるイベントについて議論したが激論になった。これはテントの全体会議でも論議になったことである。やはり難しい問題も出てくる。経産省前テントは脱原発に賛同する緒個人の参加している場であり、個人の意思を基盤に運営や行動をやっている。何らかの政治的理念に基づく運営や行動は排されており、その意味では俗にいう党派の指導とかはない。この点はよく考えられてきたところであり、共通のこととなっている。

しかし、ある事柄に対して見解の対立があり、それが行動に及んだときにはどうするかということはそれほど深く考えられてはこなかった。私たちが経験してきたところでは運動に対して別の目的や理念を持つ党派の考えが介入しなければ、運動に深刻な対立は生まれず、対立があっても深まることはないという風に思ってきた。運動の展開上でいろいろの意見の対立や違いが生まれるのは自然だが運動の具体性に即して議論すれば自ずと解決策は見つかるし、抜き差しならぬ対立にはいたらない。大ざっぱいえば、党派的な対立が持ちこまれなければ運動上での意見の違いや対立はあっても、大きな対立にはならない。運動の自然性というものはあるので、それに即していれば大した対立にはならないものだと考えられる。

ある事柄に対立が生まれ、それが行動までに及ぶ場合は例の多数決による解決か、その行動については個々の責任において展開するというようにするかしかない。この場合も妥当と思える方をとればいいだけのことである。

久々の激論を交わしながら思ったのは議論が深まれば、いつの間にか大局から見れば小さな行動も絶対的なもののように論議しており、それがコップの中の嵐のようなことになってしまっていることことに気がついた。感情的な対立意識のようなものも出てきて反省的気分になった。外からみれば、馬鹿に見えるコップの中の嵐という状態も、当事者の場に簡単にはなくならないことだと思う。この辺はいつもよくよく考えていることなのにと思った。

こういう激論をしながら、私たちは自分の行動や主張を相対化してみる視点を、いうなら大局的に見るもものを自分の中に抱えていないとこういう道にはまり込んでしまう。苦い思いなのだが時にはこういうことを考えることは重要なのだと思う。脱原発の運動も歴史の中にあり、多くの遺産の中にある以上は時にはこうした考えも必要だ。久しぶりの激論から思い浮かんできたことだ。テントではいろいろのことが起こり、ドラマをなしている。時に生まれる激論もそんな一つであるがこれはテントが生きている証でもある。(M/O)

テント企画のお知らせ 「しねまでてんと」第三回 主権在民 「女たちが紡ぐフクシマ~東海村~これから」 DVD上映とお話会 日時:2月24日(日)16時から 場所;経産省前テントひろば(第二テント)無料

プロジエクト ピースナイン 「国連に、フクシマの声を 届けませんか?」 講師 垣内つねこ 2月23日(土)午後2時~5時 2月26日(火)16時~ DVD上映 会場;経産省前第二テント

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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