テントのはす向かいが外務省。どいうわけか外務省には桜がその正面を彩っている。いつの間にか咲きだした桜を飽きずに眺めていたら、「そういえば二回目ですね。三回目は…」と言いかけてKさんと顔を見合わせてちょっと絶句した。よくテントは存続してきたね、という感慨とさて今後は、となったのだ。テントには裁判所のテント前ひろばの占有の譲渡を禁ずる仮処分の告知文が張り出されている。お互いにこの文の方に顔向けながらにゃつと決意(?)を込めたエールを交わしたというわけだ。
今日は祝日とあってテント前の道を通る人もまだらでのんびりしている。いつも経産省前に鬼面人を驚かすような大仰なメツセージを書いて鎮座している播磨屋の大型トラックもみえない。時折、ジョギングをする人が現れては消えて行く一方で、親子ずれのサイクリングの面々が通る。テント前で父親が携帯で写真をとり、子供は不思議そうにテントを眺めている。よくある光景だが、春の陽気に誘われてか、いつもよりはのんびりしている。地方から出掛けてきた人なのだろうか、こちらを眺めて何か聞きたそうだ。声をかけ、テントにある資料を渡す。「3・11」から2年が過ぎたのだけれど、人々は震災のことをどう考えているのだろうか。もちろん原発震災も含めてである。「時間の風化」ということはあるにしても、そういう言葉でははかれないものがあるのではないか。自分の内を覗いてみればいいわけだろうが、どこか社会の光景が変わった気がするが、いい言葉ない。これをなんだろうと自問し続ける他ないことが長く続くのであって、これは簡単には消えてはいかないと思う。権力の側は再稼働→原発保持に向けた戦略の実現に向けて手を打ってきており、その動きが新聞記事等でも目立つが、国民の声を無視すりゃ痛い目に会うと思う早々、なめられぱなしとということでもあるまい。
桜に誘われて日比谷公園の方に足を延した。こちらでも桜はもう満開だが開花が早すぎて何かこころの準備が出来ていないのですこし慌て気味と言うか、変だなと言う気がする。いつごろ咲くのかという期待と言うか、それも含まれて花見の楽しみがあるのではないか。そんなことをつぶやきながら日比谷公園を回るが噴水前では「HAPPYDAY」と名付けられたバザーのようなものが開かれていた。被災地の物産などの店を出している若者と談笑した。原発のことは関心があるとの事だったのでテントのことを教えたら既に知っていた。マンゴーのジュースを買って帰ってきた。そういえばアベノミクスはむかしよく言われた「花見酒の経済」にしかならないだろうが、本物の花見でこれを笑い飛ばすのはどうだろうか。株や土地を買う金を持たない人の僻事に聞こえるかもしれないが、私はそうしたい。誰かテント前ひろばで「花見」を提起して近辺に花見ツアーでもやらないか。学生時代に友人と夜桜見物で都内を歩いたことがある。乃木神社や上野公園の桜などをぶらぶら見て歩いたのだけれど、楽しかった。テントを起点にして都内の夜桜見物もいいのではないか。
朝のトイレに地下鉄の駅に出掛けたらいつもと違って多くの駅員が集まっていた。そういえば今日は地下鉄サリン事件の18年目だった。あの日、私は高校の同窓生の集まりで東京駅にいたが、遅れてきた友人がこれに遭遇したとのことだった。このテロ事件は権力に向けられたものでも、抗争する相手に向けられたものでもなかった。無関係の人々に向けられたテロであり、その後の無関係の人を対象にした殺人事件の先駆をなすものだったといえるが、誰もこの事件の意味を解明しえないままに忘却されていくように思える。
また、この日は米軍主導のイラク開戦から10年目である。当時の小泉首相はいち早く開戦を支持し、自衛隊のイラク派遣を決定した。日米同盟の名のもとにやみくもにアメリカの行動を支持し、戦後初の自衛隊の海外派兵をやったことの反省はおろか、検証だって何ひとつ行われていない。忘却することの得意な国民性丸出しといえばその通りだが、政府や権力の側は集団自衛権行使などこれを踏まえた方向に向かっている。9・11以降の反テロ戦争の過程を検証することは、ジャーナリズムで無責任に煽られる中国との戦争などということの出鱈目さを明瞭にすることにもなる。時には振り返るべきものはあるのだ・
連絡事項を一つ。2月22日から3月24日までをテント前ひろばは「福島月間」として提起してきた。その最後を飾るのが3月23日~24日の福島バスツア―である。バスツア―の中身は1)3月22日「原発のない福島を!県民集会、11時~」(福島市あずま総合体育館)、「地球《いのち》の集い1、18時~20時」(チェンバ大町3F)、3月24日「地球(いのち之集い、10時30分~15時30分)。バスツア―の日程:3月23日(土)7時30分新宿駅スバルビル前出発[7時集合)、同日二本松宿泊。参加費は9000円。淵上090-3919-0604まで。(M/O)