経産省前テントひろば1721日
オバマの広島演説に思うこと
おびただしい警戒に、こりやなんだ、という疑問が先立つサミットだった。テントでも嫌な感じという言葉が聞かれた。この週もテント周辺ではいろいろの行動があつた。テントは変わらぬ日々を過ごしてきたが、金曜日には経産省前の抗議行動はいつもの通りだった。テント日誌が少し、間があいてしまったが、来週からはものとのペースになると思う。
なにをやりたかったのか、という疑問のサミットだった。各国の首脳にしてみれば、観光旅行のついでの会議という域をでなかったのではないか。世界経済の停滞を超えて行く知恵がひれきされることも、テロへの有効な対応策が打ち出されることも不可能が予想され、そうした結果に終わった会議だった。日頃、その萎縮ぶりを批判され、肩身のせまい思いをしているか、マスメディアはここぞとばかりの報道だったが、人々のダビー以上の関心を集め得たか。これ以上は不可能な文字を駆使した新聞の見出しも、空虚さを隠すことはできなかった。
目玉がオバマの広島訪問だっただろう。去り行くオバマの思惑と選挙むけの何かが欲しかった安倍の打算で演出されたものと言える。アメリカ大統領の広島訪問は遅すぎた感もあるが、それ自体は悪い事ではない。「71年前、明るく、雲一つない晴れ渡った朝、死が世界から空から降り、世界が変わってしまいました」という文言はわるいものではない。美しい文章といえるのかも知れない。
「なぜ、私たちはここ、広島を訪れるのか。私たちはそう遠くない過去に解き放たれた恐ろしい力み思いをはせるために訪れるのです。10万人を超す日本人の男女そして子供たち、何千人もの朝鮮人、十数人の米国人捕虜を含む死者たちを悼むために訪れるのです」。
彼が原爆による死者たちを悼むためにやってきたことに嘘はないだろう。死者を悼むとは何か。それは死者の声なき声に身を寄せることであり、それを聞き届けることだ。死者たちは謝罪を願ったのだろうか、あるいは日本とアメリカの和解をのぞんだのであろうか。確かに、それらもあるだろう、だがそれは彼らがもはや声を発するのも絶たれている中で発しようとする根幹ではない。それは彼らを死に誘った原爆とそれを手引きした戦争そのものへの怒りであった。自らも参画した戦争への怒りとその反省を含んでのものだ。この声は生者が聞き取ろうとしても簡単には聞こえないものだ。死者を悼むこのことは簡単に行えることではない。それは生者が死者の声を聞くことを遮断しているものがあるからだ。恐らく、オバマを含むアメリカ人にとっては二重の遮断というか、壁が働いてきたのではないか。その一つは原爆投下が正しい、あるいはやむを得なかったという声である。もう一つはアメリカのお戦争は正しい、正義の戦争だったという声であった。原爆投下はおろか、アメリカも含めたあの戦争そのものが悪であったという反省なしに、この壁は超えられない。
死者を弔うとは彼らの声を聞くことだが、生者は原爆投下も含めて戦争の断罪と反省がなければそれは可能ではない。多くの人はオバマ大統領にそれを期待したのかもしれない。この広島演説から僕らはそれを読み取れるのか。確かに「普通の人たちはこのことが分かっているのです」という文脈に、もはや正義の戦争などあるわけがない、あらゆる戦争が断罪されなければならないということを込めたかしまったのかもしれない。「広島と長崎が『核戦争の夜明け』ではなく、私たちが道徳的に目覚めることの始まりとして知れるような未来なのです」。結びも美しい文章である。「道徳的に目覚める」とは何か。原爆投下が悪行であり、戦争が悪行であることの目覚めではないのか。オバマはこういう言葉をはくことで自分もまた、奴隷の言葉(国家奴隷言葉)を吐くしかないことを伝えているのか。オバマは何よりも「正義の戦争たる反テロ戦争」の遂行者であり、その統率であるからだ。原爆投下によってアメリカが開いたのは核戦争であり、正義の戦争を続ける道だった。これは原爆投下での死者や被災者の声に反するみちである。アメリカは憲法9条を日本国民に贈った。占領軍の命令は贈与と意つてもよかった。しかし、その改定を促し、日本を再び戦争の道に引き入れる工作をしてきたのはアメリカだった。アメリカは原爆投下による死者の声をききとどけるどころか、それに反することを日本に強要してきたのではないのか。いまさらジローなんていわない。去りよくオバマの精一杯の所業とでもいうべきなのか。
元首相の小泉は「トモダチ作戦」で被爆した米兵を訪れ、彼らのための基金活動をするという。広島を訪れ、原爆での死者や被爆者に謝罪するのもいいだろうが、同時に福島原発事故の被災の実態をしるための訪問も大事だったのではないかとも思う。現在の核問題は核兵器よりも原発と言っていいぐらいの事が、その緊急性の問題を含めればある。その意味ではオバマや各国首脳に福島の現地を見せ、原発問題のことをサミットの課題にすべきだった。そのことを積極的にというより、逆におしとどめたのは安倍だろうが。オリンピックの招致で汚染水はコントロールされているなんて虚言を呈した手前、原発事故の現状を隠したかったのか。もちろん、沖縄での事態に向き合い、きちんと足を運び、解決の姿勢を見せることはそれ以上に重要事だった。オバマは鳩山由紀夫の辺野古基地移設の提案を足下蹴りにして、彼を辞任においやったのだから、期待なんて持てないことだったにしても。翁長知事との対談を妨害し、沖縄の要求する「日米地位協定」の改定のことをおくびにも出さなかった安倍政権の対応も言語道断である。来週は週末にいろいろの行動が予定されている。是非テントに。 (三上治)
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6月3日(金) 「アベ政治を許さない」 13時~国会正門前
6月3日(金) 院内ヒアリング集会(13時30分) こののちに午後5時から経産省前抗議行動。テントひろば主催
6月3日(金)は官邸前抗議集会(反原連主催)、ティーンズ・ソウルの行動も7時からあります。
案内 院内ヒアリング集会 (6月3日の金曜日)
「川内を止めず、伊方まで再稼働するという、原子力推進の矛盾を問いただす
~熊本大地震が続いているぞ! 日本全国どこでも大地震が起こるぞ!~」
日時:2016年6月3日(金) 13時半~16時半
場所:参議院議員会館101会議室(1階)
対象:経産省・資源エネルギー庁(14時~16時)
主催:経産省前テントひろば
経産省前テントひろば〒100-0013東京都千代田区霞が関1ー3ー1
電話070-6473-1947 メールtentohiroba@gmail.com
ブログhttp://tentohiroba.tumblr.com/
紹介:参議院議員 福島みずほ事務所
テーマ:(1)電力自由化と電源構成、(2)「エネルギー基本計画」と「40年ルール」、(3)核のゴミ問題、(4)福島第一原発事故の責任問題、(5)原発の再稼働問題
3.11東電福島第一原子力発電所事故が起こって既に5年経ったが、福島には未だに10万人の方が避難生活をし多数が仮設住宅に住み自死する人も出ている。除染は移染にすぎず、多くの人びとがふるさとも生活も仕事も奪われてしまった。住民の健康被害も心配で、既に166人の小児甲状腺がんも確認された。一方、イチエフには100万トンを超える放射能汚染水が貯まり海洋汚染を続ける中で太平洋への大々的放出が目論まれ、コントロールもブロックもできていない。そればかりか1号機~3号機の核燃料の状態は掴めず廃炉への道も全く見えない。そんな中で、年間20mSv以下の地域への帰還が住民に強要されている。
このイチエフ事故の責任を誰がとったでしょうか?
東電も経産省も自民党政権も事故の責任をとっていない。そればかりか、原発が「安全である、安い、無いと電力が足りない」が大嘘であることが明らかになったにも拘らず、東電は柏崎刈羽原発の再稼動を目論み、安倍政権・経産省・資源エネルギー庁は2014年4月に原発をベースロード電源とする「エネルギ―基本計画」を閣議決定して原発の再稼働と原発の輸出を推進している。
2011年9月に経産省の敷地のポケットパークに設立した「経産省前テントひろば」は、福島の被害者たち、脱原発を訴える全国の人たち、また世界の人々に支えられて1700日間、日夜脱原発・再稼働反対を訴えてきた。
残念ながら、安倍政権は私たちの訴えを退けようと立ち退きと使用料を請求する正にスラップ訴訟を起こした。私たちは裁判で経産省政策の不当性とテントひろばの正当性を訴え続けているが、東京地裁(2015年3月)も東京高裁(2015年10月)も立ち退きと高額の使用料支払いを命じる不当判決を言い渡した。今最高裁で係争中だ。
そんな中で私たちは毎日同じ敷地内にいる経産省・資源エネルギー庁を国会議員会館に呼び、5年間の彼らの不当な行政を追及する。既に2つの抗議・質問書(A、B)を4月に提出した。
これらの質問の回答を得ながら、(1)電力自由化と電源構成、(2)「エネルギー基本計画」と「40年ルール」、(3)核のゴミ問題、(4)福島第一原発事故の責任問題、(5)原発の再稼働問題に焦点を当てて、ヒアリングする。
多くの方々とともに、経産省に対して、原子力政策の矛盾を問い質したい。
是非ご参加を!
なお、経産省・資源エネルギー庁は、4月13日は経済産業委員会を理由に、4月22日はビデオ撮影と管理職対応を理由に、2回も間際のドタキャンをした。これに対して強く抗議したが明確な回答はない。
今回は、あらかじめこちらが提示した日程の中から、経産省が6月3日を明示するFAXを議員事務所に送って来た。ドタキャンは無いと思うが…
福島原発告訴団よりのお知らせ
◆「ひだんれん」と「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」の共同行動!◆住まいを奪うな! 住宅提供・区域指定・賠償の継続を求める共同集会&デモ&福島県申し入れ行動
日時 2016年5月30日(月)
10:00~11:00 共同集会 福島市市民会館301号室
11:00~11:40 福島県庁までデモ行進
11:45~12:00 福島県へ申し入れ
13:00~ 共同記者会見
共催 原発被害者訴訟原告団全国連絡会・ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)*「住宅の無償提供継続を求める」共同声明に個人賛同してくださる避難者の方を募集しています。共同声明は、ひだんれんブログから覧ください。
ひだんれんブログ http://hidanren.blogspot.jp/2016/05/blog-post_3.html
◆7.18 これ以上海を汚すな! いわき集会(仮)◆
東京電力の汚染水放出について刑事告発していた事件は、3月29日に福島地検が不起訴処分としましたが、この事件についても検察審査会に申し立てをし、市民による判断を仰ぎます。
7月18日の海の日には、夫婦漫才師ながら東電の記者会見に通いつめ、福島第一原発の状況や東電の事故対応などに精通している、おしどりマコ・ケンさんをゲストに招いた集会を開催いたします。
開催時間はまだ決定していませんので、決まりましたらまたお知らせいたします。
日時 7月18日(月曜祝日)午後を予定
場所 いわき市文化センター4階 大会議室
海渡弁護士による汚染水問題の解説も予定しています。
6月5日(日)14時~全国総がかり大行動
- ● 国会正門前ステージ ●農水省・霞が関郵便局ステージ
- ● 日比谷公園かもめ広場ステージ