経産省前テントひろば1025日 商業用原発停止286日
やはり今日は歴史的な日(?)というべきなのか
連日、国会周辺では「集団的自衛権行使容認の閣議決定」に抗議する人で溢れていたが、今日も朝早くから官邸前などでそれは行われていた。テントもいつもより、多くの人が訪れていたのは言うまでもない。テントの横の国会通りの国会議事堂近く(その突き当りに位置するのが首相官邸)で抗議行動はなされている。国会から官邸前までは茱坂と呼ばれるのであるが、抗議行動は主にここでなされている。ここはいつも毎週金曜日の官邸前抗議行動の行われるところでもある。抗議行動は国会の裏面(議員会館前)で行われることもあるが、今日は警察で封鎖されていた。
今日(7月1日)の夕方から開かれた臨時閣議で集団的自衛権行使の憲法解釈の変更を決定した。これに抗議する行動の展開されていた茱坂は人ごみでなかなか前に進めなかった。高校の同窓生にテント前で会ったので一緒に出掛けたのであるが、官邸前のあたりで離ればなれになってしまった。少し、離れれば見失ってしまうような状況だったのである。顔見知りも多く、目礼で挨拶を交わしたが、ちょっと雑談をして国会正門の方にも足を運んだ。9時過ぎにまた官邸前に行ったが相変わらず人の息でむんむんとしていた。テント前には帰りに訪れる人が続いていた。
人ごみの中を歩きながら、どうしても1960年安保闘争やその後の闘いのことを想起してしまう。僕が1960年の安保闘争に参加し、国会の周辺に出掛けてきたのは19歳の時だった。まだ、学生服に身をつつんで全学連のデモに出掛けて来ていたのだが、あの樺美智子さんが亡くなった6月15日の国会構内の占拠行動にも加わっていた。あの当時、国会に詰めかけた膨大な人たちは当時の政府(現首相の祖父の岸信介が首相)の戦争を可能にしようとしたことに反対していた。岸首相の戦争を可能とする、あるいは国家意志として戦争を可能にする政治的動きに反対するする、その対立の構図は現在も変わっていない。ただ、岸から安倍への歴史と時間はこの構図の変化も示していて、このことが今後を暗示しているようで僕の中で自問を促す。
太平洋戦争の敗北を通して、それまでの戦争観を変え、戦争を本質として持つ国家形態の転換(戦争や軍備なき国家の構想)を言葉は様々であっても国民は意志した。この象徴は憲法9条にほかならなかった。そして、国家を旧来の状態に戻したいと願う部分との様々の形を通した闘いが続けられてきたのであり、その現在が集団的自衛権行使容認をめぐる対立として現れている。これは過去を引きずってのことだが、未来にも引き継がれることだ。
茱坂を人ごみにもまれながら、自問していたのはこの国家と戦争についての戦後史を通底する対立の構図の変化であり、そこから未来をどう展望したらいいのかということだった。僕の中に繰り返し現れてくるものは、この構図が維持されていながらも、国民の意志の側が追い詰められた現在の姿であり、それはなぜかという自問である。
ここには戦争の歴史的な変貌ということがある。第二次世界戦後は米ソ対立がありながら大国間の戦争はなかった。代理戦争はともかく、大国間の戦争は起こらなかったし、特に冷戦体制の崩壊後は顕著であった。そして戦争は地域紛争とよばれるところに舞台を移した。大国間の戦争を前提とした戦争観は歴史的に変貌し、現在に至っているのだが、それはある意味で国民の戦争概念を変えてもきている。
地域紛争と呼ばれる事態に、国家はどう関係するかという問いを課せられてきた。国民がこれに対応するかの問題の答えはやさしくない。新しい歴史的な経験に直面しているわけで、他国の侵略に対応するという戦争観とは違った概念(考え)を要求されるからだ。1990年の第一次湾岸戦争を契機に顕著になったこの問題に、自衛の概念(国民の生命や安全を守るという考え)を結びつけようとしているのが、安倍内閣の今回の憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認である。安倍は地域紛争と呼ばれる戦争に関わる理由や根拠を明らかにしない。安倍政権のやろうとしているのは地域紛争に軍事的(武力的)に参加するということであり、その必然性は何ら提示してはいない。わが国民の安全を守るという抽象的で一般的な考えを、軍事行動と結び付けているだけである。他国の紛争に軍事的に参加することと、わが国民の安全を守るということにどんな関係があるか、一番肝心な問いへの答えは無に等しいのである。ここが空疎で曖昧だから、勝手に軍事行動をなせるという類のものだ。
今回の憲法解釈による集団的自衛権行使は地域紛争とよばれる戦争に関わるための理屈であるにすぎない。歴史的に戦争が大国間関係から地域的国家関係に移行して行く段階で変貌して行く中で、地域紛争に積極的に関わるというのが積極的平和主義という名の戦争参加である。これには地域紛争への軍事的解決は平和を導くのか、むしろ逆ではないかという問いに対する答えはない。
地域紛争と呼ばれる戦争に参加しないことを消極的平和主義と批判される側は、こうした戦争に日本の国家が関係しないことの意味を明確に打ち出せないできたことのスキをつかれたといえる。第一湾岸戦争以降の地域紛争と呼ばれる戦争に我が国が参加しないための理由や根拠を、それ以前の戦争への対応とは違って明確にして行く必要に迫られたことは明らかだ。これに応えることの困難さが、歴史的に変貌する戦争への答への困難さは重なっている。そのことが戦争を拒否する国民の側の意志を明確にし続けることを困難にしてきた。僕にはここでの問題を明瞭にしえないできたことの反省がある。
僕が考えてきたことは、解決はどんなに苛酷にみえても地域紛争とそこから発生する戦争は地域住民の自己解決を委ねるべきで、他の国家の軍事的介入は事態の解決を泥沼化させるだけであるということだ。いうまでもないことだがそこに自国民の自衛(安全)を掲げて介入することはとんでもないことである。かつてベトナム戦争へのアメリカの介入はそれを明瞭にしたが、アメリカは反テロということを付け加えることで、そこから先の理由を見いだした。この帰結はアフガンやイラクに対するアメリカの介入の結果が示している。安倍政権はこうしたこと歴史的な事態に対する検討はしてはいない。積極的平和主義はその実践であるアメリカの「反テロ戦争」の反省も検討もしてはいないのである。消極的平和主義批判を政治的に利用しているだけだ。
国民の側の意志が崩され、追いつめられてくる要因には戦争観を変え、戦争なき国家を考える国家や戦争についての思想が世界的に孤立をして行く他ない状況にあるからだと述べた。戦争はやってはならない、軍事を有しない国家は可能だという思想は世界的には孤立を余儀なくされる状況にある。けれども、この細い道の中でこの思想は人類史の未来であり、可能性だと言うこともできる。このせめぎあいの中で、僕らは未来に道を開いて行かねばならない。
国会前で「戦争反対」「9条守れ」という人々の声は1960年当時と変わらない。それが存在することは積極的なことであり、可能性である。この声と意志は戦争に向かう国家意志と対立する構図であり、過去から現在、そして未来へと続くものである。
ただ、ここで一つ記しておけば、これに必要な戦争観(戦争についての考え)はマルクスやレーニン、あるいは毛沢東などの戦争観からはみだせないし。継承もできないということだ。彼らの戦争観は戦後の国民の必要とした戦争観とは関係がないということだ。戦後歴史の中で彼らの戦争観はあまり役立たなかったが、今後もそうであろうということだ。彼らの戦争観を細かく取り上げていいが、戦後の日本国民が意志した戦争の否定と軍事なき国家という課題は彼らの系譜の戦争観では答えられなかった。この系譜とは違う思想に、この課題に対応する戦争観は見出せるのかもしれない。これは戦争を否定する思想の現在の困難性とも関係するのだろうが、茱坂を行き来しながら頭をかすめたことでもあった。(三上治)
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テントからのお知らせ
▼7月3日(木)「原発いらない福島の女たち」の7・3緊急行動
7月3日、「原発いらない福島の女たち」は、除染やモニタリングなどの放射性物質対策や、震災瓦礫、除染土の処理、原発事故に伴い必要となった健康管理など、極めて重要な役割を担っている環境省に対し、以下の4点を要請します。
1.除染に偏らない被曝低減措置を早急に策定・実施すること。
1.原発事故子ども被災者支援法の理念に則り、環境省の被災地/者支援政策、放射
性物質対策を抜本的に見直すこと。
1.今後の政策、立案には被災者の声を反映させること。
1.石原伸晃環境大臣は辞任すること。
緊急行動のため流動的ですが、以下の予定です。
☆14:00~16:00(予定)=環境省前抗議集会・行動
(①14:10~環境省申入れ、②14:46 ダイイン、③15:00頃申入れ報告、並行して15:00~外国特派員協会記者会見)
☆16:00頃=記者会見報告
☆16:00以降バスで官邸前に移動し、「集団的自衛権・憲法解釈改悪反対」の抗議行動
☆17:00~18:00頃 帰福
▼7月3日(木)15:00~ 函館市大間原発差し止め訴訟 第1回口頭弁論
▼函館市裁判 大間原発建設差し止め訴訟 第1回口頭弁論
①7月3日(木)15時開廷 14時30分 傍聴締め切り
東京地裁・103号法廷(100名規模の大法廷)
法廷を一杯にするために傍聴をお願いします。
傍聴抽選に並んでください。
②裁判終了後、「大間原発反対の会・関東」が報告会 資料代500円
会場:参議院議員会館 1階101会議室
入り口で通行証を受け取ってください。
発言者:澤井正子さん(原子力資料情報室)
野村保子さん(函館市 大間原発訴訟の会)
弁護士から
▼7月16日(月)テント裁判「第7回口頭弁論」14時~地裁103号法廷(13時東京地裁前集合) 16時報告集会(衆院第一議員会館 地下1階大会議室)