経産省前テントひろば1054日 商業用原発停止315日
テント日誌の読者から 原子力の平和利用への根本的疑念
テント日誌に対する皆さんからの反応は少なくありません。いろいろの方から挨拶、コメント、割と長い文章などいただいております。テントひろばへの直接の出入りとは違った形のつながりがあるといえます。これはと思って何らかの形でお伝えしたいと思うものもあるのですが、テント日誌は日々のものですからすぐ時間が経ち逃してしまうこともあります。この文章は核の生成物に対する反応として鋭いう指摘であり、彼女の問い掛けに答えるのは難しい問題をはらんでいます。僕自身の答えを披歴する前に皆さんにこれを提出したいとおもいます。長いものですが、読んでみてください。(三上治)
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ここからが本文 放射線治療についての疑問から(A・Y)
御無沙汰しています、Aです。暑さキビシイ日が続いています、身体もしんどいです。テント日誌を見る限り味岡さんはお元気でお過ごしのことと思います。
さて、ワタクシごとですが、母が3度目の癌
1回目、子宮癌、2回目、乳癌、3度目は中咽頭の癌。
3度目の中咽頭の癌は、昨年8月発覚、そして今年3月に再発しました。
治療法をめぐって、病院側と、当事者である母と、そして家族と考えが違い、かなりしんどい思いをしました。(いえ、過去形ではなく、現在進行形ですが)
癌治療の中でも、とりわけ、放射線治療、核医学についてとても疑問を持ちました。放射線治療や核医学はこれぞ究極の核の平和利用だと思いました。私は原発だけではなく、すべての原子力に対してギモンです。
先日、坂本龍一が中咽頭の癌になり、脱原発の立場から放射線治療を拒否した、というニュースがあり、その後、それは「デマ」だったというニュースに変わりました。そして、そのニュースを巡って、原発と放射線治療は別だという意見がとても多かったことにおどろいています。母の癌で乱発された治療としての放射線の疑問を、私のまわりの、3.11から立ち上がった母親たちに聞いた時も、やはり同じような否定的な意見が多く、放射線治療と原発は別に考えるべきだ、と言われました。反原発、脱原発の考えの方は、どういう理由で原発に反対しているのでしょうか。
まず、私が原発に反対する理由は、「私の身体を侵すものすべてに対してノーを言う」ことです。それから、全ての原子力の平和利用、正しい原子力利用なんてありえない、という考えです。原発はだめで、放射線はよい、という考えが理解出来ません。医療界こそ利権が醜く横行している世界です。原子力ムラという村の中に、医療界もすっぽり入っているはずです。そこにメスをいれなければ、原発はなくならないでしょう。
放射線治療装置のメーカーはどこだと思いますか?三菱重工が最新の放射線癌治療装置を作っています。東芝も作っています。原発を作るメーカーがその技術を利用して、放射線治療機を作るなんて、当たり前に想像がつくことです。
三菱重工「放射線がん治療」の最前線へ。
http://www.mhi.co.jp/products/detail/vero_advanced_radiotherapy.html
原発推進と核医学は切っても切り離せません。放射線医療も、原子力推進に利用されています。原子力に平和利用はないのです。とはいえ、私の疑問、違和感は、まだ感情論のレベルなので、ヒトを説得することが出来ません。原発推進と核医学がつながっていることを、なんとか説明出来る根拠となるものを探し当てないとならないと思っていましたが、先日、内閣府原子力政策担当室(平成24年5月9日)が出している、「放射線利用の現状と今後のあり方」の資料を読んだのですが、おどろきました。
そこには、
●放射線利用の経済規模はエネルギー利用と同等であり、
重要項目の一つとして位置付けるべきである。
●最先端の研究開発を支えるには、放射線や放射能の利用が、
非常に役立つという認識が生まれるようにすることが必要。
と、はっきり書かれています。政府は明らかに原子力、放射線の利用拡大を推進しようとしています。
味岡さんは、放射線医療、核医学と、原発、原子力の関係について、
どのように考えますか?ここからは、友人、知人に送っている共通の文章です。
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放射線医療、核医学と原発の関係は切り離せないのではないか、という考えについて、反原発、脱原発の考えの方にも、なかなか理解されないのですが、感情論ではない根拠が必要なのかと思い、チマチマと地道に調べているところです。
内閣府原子力政策担当室(平成24年5月9日)が出している、「放射線利用の現状と今後のあり方」。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sakutei18/siryo2.pdf
そこには、「放射線利用に関する産業の戦略産業化」として、医療分野、農業、工業および学術分野における放射線の利用を促進し、これらに関する産業を
戦略産業に育成する必要がある。その為には↓
●放射線利用を様々な分野へ利用促進するために、トライアルユース制度の充
実、及び、利用者の相互学習ネットワークを整備する必要がある。
●既存の放射線施設の能力の向上及び革新的な放射線源の研究開発を推進
する必要がある。
●放射線医療技術、放射線利用技術にかかる産業を戦略産業化するために、
国は、我が国の産業がこれらの供給能力をこうした国際市場の将来動向を見据
えて整備充実していくことを支援する必要がある。
出典:「成長に向けての原子力戦略」原子力委員会より抜粋
(放射線利用の利用拡大)の必要性
●放射線利用の経済規模はエネルギー利用と同等であり、
重要項目の一つとして位置付けるべきである。
●最先端の研究開発を支えるには、放射線や放射能の利用が、
非常に役立つという認識が生まれるようにすることが必要。
●放射線利用の理解促進、利用を拡大させるための制度
研究開発機関の優れた研究成果は、広く工業、医療、農業、環境・資源分野等での利用に供される必要がある。そのために、利用者のさらなる拡大を図る。
(以上、「放射線利用の現状と今後のあり方」から抜粋。)
原発推進の政府が放射線利用を拡大しようとしていることが分かります。
放射線はあらゆる分野に使用され、農業分野では発芽防止のため、花、米の品種改良に使用されていることなどは、これを読むまで知りませんでした。
世の中から原発をなくそうと思う時、原子力がどのようなことに使われているかを知り、政府の原子力戦略がどのように進められているかを知ることも必要だと思います。政府にとっては、医療の放射線利用も、原発も同じ産業戦略の一環です。あらゆるところに利用されている原子力、すべてを拒否することは出来ませんが、正しい原子力利用なんてありえない、原子力の平和利用はありえない、というところに立ち、それが「無謀」な考えだとしても、そこから一歩一歩少しずつ始めたいと思います。49ページにわたるボリュームの資料なので、
私もまだちゃんと読み込んでいないのですが、この資料で何が読み取れるのか、私なりに考えてみたいと思います。
原子力についての続きです。
この問題って、アタマとか、理屈とか、根拠が先にこなきゃだめなのかしら?っていうギモンもあります。原子力の問題の、有効利用とか便利を理屈で考えはじめたら、そりゃ原子力は便利だから、やっぱり世のなかには必要だ、ってなるに決まっていると思ってしまうんですけど。
でも、ヒトを説得する時には、論理的な問題提起と、自分自身の感情の問題まず分けたほうがいいのかな。(それって得意じゃないなーと。)
とりあえず、まず、感覚としては、
放射線照射による突然変異を利用して品種改良されたリンゴとか梨を食べようと思いますか?とか。率先して食べようとは思わないですよね。リンゴは怖いから食べたくない、でも、自分の身体に当てられる放射線は我慢できるって、とってもヘンだと思います。というか、放射線って、やっぱり突然変異させるんだ、って改めてびっくりなんですけど。
で、これは原子力に限ったことではないのですが、私がもう1つ問題提起したいこととして、矛盾を一人ひとりがどう考えるか、ということなのです。
たとえば、武器や原発を作っている三菱重工や、東芝がその同じ手で放射線治療装置を作っている現実をどう考えるか、とか。三菱重工のような、武器を作っている企業が作った放射線治療装置、原発を作っている東芝の放射線治療装置を使うことにどう思いますか?ということを聞いてみたい。これ言うと、こういうことすべてに拒否して生活は出来ないよ、っていう人がいるけれど、そうじゃなくて、あなた個人の気持ちはどのように感じますか?ということが私は知りたいのです。治療の為には仕方がない、とか、すべてを拒否して生活は出来ない、という「理屈」ではなく、その矛盾に自分の気持ちがどう揺れ動くかとか、引き裂かれることが大事なのではないかと思います。そういう矛盾をどう考えるかを一人ひとりが自分で抱えることからしか社会を変えていくことは出来ないし、問題に向き合えないのではないでしょうか。
それから、
原子力政策担当室の資料、P.21ー22を読むと、
●医療用検査に使用される検査薬、薬剤のモリブデン-99
(乳がん・前立腺がんなどの骨転移の診断,
心筋SPECTやアルツハイマー病の診断のために使われる)
その9割が外国の原子炉で作られ、日本は輸入に頼っているので、輸入を継続しながら国産で安定した供給を目指す。とあります。
現在のモリブデン製造は高濃縮ウランを使っていて、国産の供給のために、医療用の原子炉の新建設が求められているのです。これって結局、医療目的であっても、その元は原子炉で作られるわけです。核燃料処理など廃棄物の問題もついてまわります。ということは、原発はだめで医療用の原子力はいいというわけにはいかないはずです。医療用の原子炉といっても、リッパに危険な施設であることには変わりありません。
P.18
放射線利用の利用拡大(医療分野)医療分野におけるX線CT、PET、粒子線がん治療等の高度放射線利用技術の普及を促進する必要がある
母の治療の時に感じましたが、今、医療現場では放射線治療がすごく推進されているのでは?と感じていました。この私の感覚はそんなに間違っていないようだと、この資料を見て思った。
P.16
最先端の研究開発を支えるには、放射線や放射能の利用が、非常に役立つという認識が生まれるようにすることが必要。あらゆる分野に活用されている原子力、その中でも放射線治療、核医学を拒否することは多分ほとんどのヒトが出来ないと思います。
私自身だっていざとなったら相当の覚悟が必要でしょう。だけど、それって原子力は必要だっていう考えを維持するための、人質みたいだなーって思う。誰もが、病気の早期発見、治療して助かりたいって思うのだから。死ぬのは嫌でしょ、だったら原子力は活用してね、っていう理屈。やっぱりクニって、ヒトの心理をうまく突いてくるなって思う。
検査用、医療用の原子力利用が、原発とつながっている、っていう当たり前の事実のところに、踏ん張って、頑張って立ち戻らなければ、結局、私らは、政府の思惑どおり、原子力は役に立つからなくせない、というように、思わされていくのだろうな、と思います。
医療用被ばくの問題、
検査薬モリブデンの問題、
私が説明するより、どっかの誰かが書いてるものを読んでもらったほうが早いので貼り付けます。
(国産化推奨のヒトのページですから、
あくまでモリブデンとはなんぞや、という説明として)
http://www.innervision.co.jp/12SP/voice/interview/vol005/
医療用被ばくの問題
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2011-09-05
あー、ややこしい、ムズカシイ。もういっそ思考停止したいです。
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テントからのお知らせ
◆七夕祭り 8月2日(土)午後7時から約2時間
1) 講談「望郷桜」15ー20分
福島県双葉郡富岡町は昔から東北有数の桜の名所。しかし放射能に町を奪われ、人々は散り散りに避難していました。ところが埼玉県幸手市の権現堂公園には一本の富岡桜が育っていたのです。埼玉県内に避難している富岡町の人々が…
アマチュア講談師 甲斐織淳さん
3.11以来、田中正造の取材を始める。神田香織「チェルノブイリ」を聞いて入門、「田中正造伝」シリーズを自作自演で語る。
2) 音楽 浦邉力さん他の方々 約1時間半?
3) 飲食物: 素麺(新橋事務所で茹でて、冷やして持ってくるつもりです)、胡瓜、ほか。
リクエスト受け付け中。
4) 笹飾り 前日(8月1日)昼間に出します。金曜行動のみなさんにも見ていただき、短冊を書いていただくために。願い事を書くための短冊用紙は第1テント受付にお願いしてあります。 (H・Y)
僕の家の近辺でも盆踊りをやっている。盆踊りに夢中だった少年期のことを思い出すのか足を運ぶ。何か儀式でやっているようで熱気も何もない。淋しい思いで帰る。昨年は江東区で開かれた河内音頭踊りに出掛けた。これは良かった。今年も行きたいと思うが、テント前でこれが出来たらいいのにとあらぬ妄想をする。民衆のエネルギーとその自然な匂いの残るこうしたものへの郷愁が僕の心というか、体の底にあるのだけれど、祭りを失った都市というか、その現在を思う。想像を働かせば、原発の存在と祭りを失っていく都市化は深く関係していると思える。脱原発には自然と祭りの再性が関係しているのであり、運動にはその再性というか、要素が必要なのだとも思う。これは難しいことに違いないが、今回の七夕祭りが一端でも実現するいい。という意味でこのイベントに「いいね!」を送る。(三上治)
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◆8月6日広島の日に、東京では九電と東電に抗議する。在京の方は是非予定を。
【行動1】川内原発再稼働をやめろ! 九州電力東京支社抗議行動
・日時:8月6日(水)17時~18時
・場所:九州電力(株) 東京支社 電話 03-3281-4931 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1丁目7?1 有楽町電気ビルヂング北館7F
・主催:再稼働阻止全国ネットワーク
【行動2】第11回東電本店合同抗議 東電解体!汚染水止めろ!柏崎刈羽原発再稼働するな!
原発再稼働は日本を滅ぼす
・8月6日 (水) 18時半 ~20時
・場所:東電本店前(JR・地下鉄新橋駅徒歩5分)
・よびかけ:経産省前テントひろば・たんぽぽ舎
・賛同団体:東電株主代表訴訟ほか約101団体(7/24現在)
(K.M)