経産省前テントひろば1077日 商業用原発停止341日
9月11日(木)テント三周年のイベントの近づく
何処へ行ったのだろうと気になっていた蚊帳が戻ってきた。僕は蚊帳が好きなのだがテントの泊りのメンバーには邪魔に思う人もいるのかもしれない。テントの裾をまくりあげていくらか風通しのよくなった蚊帳の中で寝るのは気持ちのいいものだ。豪雨による被害をテレビで見る度になんともやりきれない気持ちになるが度々で段々と慣らされてしまっているようでこれもいやだと思う。
過日。少しおくれて帰省した。二十年前に亡くなった中上健次の墓参りのついでに、ちょっと故郷に寄ったのだ。それで我が家の墓参りもしたのだが、おどろいたことがあった。この墓場には少し上の方の一隅には戦死者の墓があった。僕は墓参の機会があればそこで弔いをした。しかし、その墓の群れは消えていた、一基だけが片隅に残っていた。なにがなんだかわからず、まるで怪談に出会っているようであったが、義姉によればそれぞれの親族の墓に帰されたらしい。どう考えていいのか、分からなかったが、村落というか、小さな共同体でも戦争の記憶が変わりつつあるのだと思えた。
生前の中上健次と我々の世代であの戦争の死者の追悼をきちんとやろうと約束したことを思い出す。この約束は果たされないままである。靖国神社に祀ることでも、国家儀礼としての追悼でもなく、僕らが戦死者を追悼することだがこれは僕らの課題としてある。戦争の問題はそれを闘った人たちが、兵士や一般国民が何を考えたが一番大事なことであり、それには戦死者や戦没者の声を聞くことだ。やはりこの問題を僕は考え続けて行きたい。村落で祀られていた戦死者の墓の変貌は驚きだったが、その地域や小さな共同体の人々が戦死者の声を聞く基盤に変化があったのかを考えさせられた。帰省する度に僕の育った村落の風景は変わる。それはこんなところにも及んでいるとかということでもあった。
帰省の度に小学校時代の友と会うのが楽しみなのだが、カラオケを兼ねたスナックにいつもの友が三人ほど集まってくれた。友人の消息や小学校時代のことに話が弾んだが、いつの間にか原発の話になった。僕が脱原発の運動をしていることは知っているから、サビースのつもりで話を振ってくれたのかと思ったが、そうではなく、自然にそちらに行ったのだった。友人の話にあいづちなどを打っていたのだが、あらためてこの問題の浸透というか、その深さを思った。いつもは政治的な話は出ないのだから、原発問題の浸透力を思った。そしてこれは脱原発運動の現在を考えるときに重要な指標になると思った。
テント前には座っていると、孤立感のようなものに襲われるのだが、こういう裾野があるというか、視えない形で繋がっていると思えた。原子力ムラの面々もある程度はこういう事態が分かっているのだろうから、原発問題を表では避け、裏工作に全力を挙げているのだろう。最後は権力が強権的、あるいは専制的にことを決める日本政治のありからを期待しているのだろう。それは権力に取っても危険の賭けでもある。特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認の閣議決定、辺野古の強行策など一連の権力の独走的所業を考えているのか。アベノミクス同様、この政治的あり用は限界も見えているのであり、原発再稼動(とりわけ川内原発再稼動)は彼らの敗退の一里塚にもなりえる。僕らはそんな展望を持ってこれに向かわなければならないのだと思う。
お盆も、お盆休みも終ったのだけれど、テントは何となく寂しいままだ。テント前ではコンサートをやるいつもの面々が頑張っていた。終っての座談も遅くまでだったが、愉しかった。持続性があって、しかも愉しい催しをもっとテントはやってもいいように思う。テントの存続もなかなか大変である。これを支えるメンバーにも時間という疲労があるのだろうが、テントを維持しているのだから、催しをやって行きたいと思う。積極的に提起し、行動して欲しい。
深夜の日比谷公園の散歩は変わらないが、こちらも幾分か寂しげだ。そういえば、週末には日比谷公園の盆踊りがあるらしい。それ用のテントが準備されていたが、どうも引きつけられるものがない。来週の半ばにはすみだ河内音頭盆おどりというのが江東区の竪川親水公園である。これは関東では数少ない、というよりは唯一のとも言っていい河内音頭の盆踊りで楽しみで出掛けるつもりだ。
いくらか寂しげなテントやテント周辺も9月の声を聞けば賑やかな声をきけるだろう。8月も終わりが近い30日(土曜日)には反原連主催の国会包囲がある。これは皮切りで9月4日(日曜日)には日比谷公園で戦争への道に反対する集会と行動がある。この暑い中、政府は辺野古で強権的に海底調査をやっているが、これへの抗議の声を届けたい。(三上治)
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テントからのお知らせ
◆8月30日(土) 「川内原発を再稼動させるな!0830再稼動反対★国会前大集会:場所:国会議事堂前、時間:17時~20時.主催:首都圏反原発連合
◆9月11日(木) 9・11脱原発テントひろば3周年・再稼働阻止大行動
――― 経産省包囲怒りのヒューマンチェーン―――
<主催・呼びかけ> 経産省前テントひろば
経産省前テントは開設1000日を超え、9月11日、3周年となる。福島原発事故はいま未だ収束せず、汚染水は漏れ続け、14万人が避難生活を余儀なくされ、小児甲状腺がんが異常多発し、89名となった。しかし、原発推進の最大責任官庁である経産省は福島第一事故の責任を一切取らず、「エネルギ―基本計画」閣議決定させ、再稼働を推進するに至っている。福井地裁判決は政府の原発政策を根本から問い直し、東京検察審査会は東電首脳3名を”起訴相当”とした。経産省も責任を免れることは出来ない。我々は許さない。9月11日私達は再度経産省を包囲し、再稼働阻止!テント裁判勝利に向け、全国・全世界の人々と連帯し、4年目を闘い抜くことを宣言する。多くの方々参加を呼びかけます。
16時―17時 本館前及び別館前アピール行動
首相官邸及び経産省に対する申し入れ行動
17時―18時 記者会見(テントひろば前)
18時―19時半 経産省前集会
19時半―20時 経産省包囲怒りのヒューマンチェーン