テント日誌9月8日 経産省前テントひろば729日目~オリンピックについて

連れ合いと賭けをした。最近は滅多にやらないのだけれど、久しぶりだった。いうまでもなく、オリンピックの開催地が何処に決まるかである。僕はマドリードに賭け、連れ合いは東京である。結果についてはあらためて言うまでもあるまい。僕もオリンピックより、原発問題の解決をやれという気持ちをいだいていたし、この総会で放射能汚染水が問題にされていたことに注目していた。東京に決定したことにどちらかというと不快感を持ったし、テレビで決め手となったと称される「おもてなし」にも歯の浮くような美辞麗句になんだという気持ちをいだいた。だが、他方でもともとスポーツは嫌いではないし、開催を喜ぶ人たちの気持も分かるところもあって、複雑な気分だった。

こころに引っかかるものを抱いてテントにやってきた。9月11日の3周年を迎えるイベントと9月12日の裁判のことが気になって足を運んだのである。出掛けてくる時は半袖でも暑いと思っていたのだが、テントにしばらくいるとものすごい雨である。肌寒いくらいである。テントの中から降りやまぬ雨を眺めていた。人と待ち合わせをしている時間も近づきヤキモキしていたのだが、雨はやまない。そんなテントの中でも頭から離れないのはオリンピックのことだった。

開催のいきさつ、とりわけ招致メンバーの言動に不快なことも多いし、報道の方も面白くないが、オリンピックは楽しんでいいことだし、原発のことと過剰に結び付けるのは慎んだ方がいいと思った。招致メンバーの言動や報道と決まったオリンピックは別事である。オリンピックと原発問題を過剰に結び付けて、オリンピック開催を喜ぶ人を原発問題から遠ざけてはならない。そういう人たちが脱原発や反原発をいう人に反感を抱かせてはならない。オリンピックと原発問題を語るときにはそこは意識してやらなければならない。オリンピックと原発問題は別のことである面を無視してはならないと思う。その上で、むしろ、安倍首相のプレゼンの発言を国際公約として実行させることを主張していいのだ。この面ではオリンピックと脱原発を結び付けるようにしていくべきである。

今回のオリンピック開催決定のプロセスの中に、放射能汚染水の問題が登場したことは色々と考えさせられた。招致メンバーや報道陣は予期せぬ外国の反応に驚いたのだろうが、福島第一原発事故の現状についての彼らの考えに僕らが驚いた。彼らもこれを忘れてしまうか、忘れられない問題にするかは今後のことだが、僕らは彼らに放射能汚染水は何年にも続く事であることをはっきりさせていかなければならない。その意味で安倍の発言はお笑いというところもあるが、外国の報道にそんな誤魔かしは聞かない。上手く行ったと思ったら大変なことになる。

裸の王様ってどこでも生まれる事なのだ。開催のプロセス出てきた汚染水問題は今日も明日も続いていることとして記憶を新たにして行くことをやらねばならない。普通に考えてこの2年間で解決できなかったことが簡単にできるはずはない。7年後のオリンピックまでに福島第一原発事故が収束しているというのも期待にすぎないのだ。彼らに原発問題を避けるのではなく、続いていることとしてあることを。外国側から指摘される事で、問題化するというのは嫌な日本的パターンである。それをあらためて感じたけれど、機会として使うべきである。

繰り返し言うが、オリンピック開催を喜ぶ人たちを脱原発―反原発の運動の反発者にしてはならない。味方ににせねばならない。そうしなければ、僕らの運動の勝利はないのだ。それは、僕らの言動にかかっているのである。降りしきる雨の中で頭を去らぬことだった。(M/O)

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9月11日(水)「怒りのヒュウマンチェーン」 ◆午後3時~5時/経産省前座り込み・1分間スピーチ《福島と全国原発立地からの参加者中心に》◆午後6時半~7時半/テント・経産省前抗議集会◆午後7時半~/経産省包囲・怒りのヒューマンチェーン

9月12日(木)「テント裁判第3回口頭弁論」 ◆午後1時~/東京地裁前集合・抗議集会 ◆午後2時第三回口頭弁論(東京地裁103号室法廷)◆午後4時~報告集会(参議院議員会館講堂/発言 神田香織・河合弘之・渡辺ミヨ子他)