ドイツ・ライプツィヒの映画祭で起こった騒擾:オリバー・ストーンの”ウクライナ・オン・ファイヤー”が 再び炎上の的に

はじめに:またもや問題になったウクライナ・オン・ファイヤー  オリバー・ストーン氏  撮影:  Gage Skidmore 氏        CC BY-SA 3.0

 

「ウクライナ・オン・ファイヤー」の内容が、ある人たちにとっては、よほど都合が悪いらしく、度々、Youtubeからも他のリンクからも削除されている、ということについては、ちきゅう座の記事で言及させていただいたが、ドイツでも同様なことが起こったのである。

2022年8月18日、ライプツィヒで催されているGlobaLE映画祭で”ウクライナ・オン・ファイヤー”を上映したところ、これに抗議する若者たちが現れて騒動が起こったのだ。

この事件について、“junge Welt新聞”が触れているので、それを和訳してご紹介させていただく。なお、この“junge Welt新聞”の記事は、平和な映画祭で起こった騒擾を敢えて、シニカルかつ風刺的に描写しているので、そのことをあらかじめ、ご注意申し上げておく。

原文(独語)へのリンク:https://www.jungewelt.de/artikel/432859.k%C3%BCnstlermagnet-des-tages-globale.html

 

*     *     *     *     *

当今のアーティスト・マグネット:”GlobaLE(グローバレ)【*訳注】”

Junge Welt新聞 2022年8月20日付の記事から

[翻訳:グローガー理恵] 

CC BY-SA 3.0     ライプツィヒのエルスターベッケン (Elsterbecken)

撮影:Geisler Martin 氏

 

木曜日(2022年8月18日)、ライプツィヒのエルスターベッケン(エルスター流域)沿いの草っ原で暖かい夏の夜を過ごした。オープンエアーでの映画鑑賞だった。よいことに、野外なので、ポテトチップの袋がガサガサと音を立てたり、咳をする観客がいたとしても、それほど気にならない。

映画は進行中である。そのときだ。ー 6人の若者が傍らに集まってきて、できる限りの荒っぽさでドラムのばち叩きを始めたのだ。彼らは、ドイツ-ウクライナのアーティスト・グループで ”オストフ・コレクティヴ”だと名乗った。

彼らはドラム叩きの技を、まだまだ磨く必要がある。しかも、よりによって、オリバー・ストーンのドキュメンタリー”ウクライナ・オン・ファイヤー”が映されている真っ最中に、彼らがドラムの拍子リズムのとり方を練習しなければならなかったとは、哀しいことである。ひょっとしたら、彼らはライプツィヒでユーロ・マイダン革命を扇動するリハーサルをやっていたのかもしれない。いずれにしても、事態はすぐに暴力的なものになった。心地よい夜の雰囲気は、警察と公安局がやって来るまで中断された。それから映画が続行された。

暴動が予測されたのだった。ハリウッド・レジェンドであるストーン氏の映画は2016年のものだが、内容は、ウクライナの英雄的イメージを傷つけ、あのドラム叩きアーティストを意気消沈させるものだった:ドキュメンタリー映画には、ネオナチが、2014年に欧米によって援助されたクーデターを推し進めたことや、同年にオデッサの労働組合会館で虐殺があったことなどのシーンが含まれていたのだ。それから、プーチンとのインタビューもあった!何を許すんですか、ストーンさん!そんなことはできませんよ!

ー 歴史的事実や数々のアカデミー賞受賞はどうであれ、ライプツィヒ市もそう考え、この映画が上映される以前にTwitterで「我々は、ロシアの残虐な侵攻に対して、ウクライナと我々のパートナー都市であるキエフを全力で支持する」と述べて、このフィルム上映からは距離を置いているのである。

ー翻訳終わりー

以上

【*訳注】GlobaLE (映画祭):グローバル化に批判的なスタンスを示す映画祭で、ライプツィヒにて2022年7月27日~11月1日まで開催される。詳しくはホームページを参照してください:http://www.globale-leipzig.de/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion12312:220822〕