ドイツの反原発グループ ”Ausgestrahlt” のサイトに記載されていたニュース(9月20日付)「Stromlüge Atomlüge」という記事を見つけましたので、その概要をお知らせしたいと思います。
電力の偽り 原子力の偽り
原子力ロビイストたちは、不当にも、ドイツが原子力輸入に依存していることを断言している。
ドイツ雑誌 「シュピーゲル(Spiegel)」、「フォーカス(Focus)」、その他の雑誌は、「チェコおよびフランスからの原子力輸入、673パーセント増加」とリポートした。
しかし、雑誌「フォーカス」のリポートにより、BdEW(Bundesverband der Energie und Wasserwirtschaft-*連邦エネルギー産業・水道業協会)が計算違いをしていたことが明らかになった。
ドイツでは現在、8基の原子力発電所が閉鎖されているのだが、この2011年最初の半年間に、ドイツは以前と同様に、外国に電力を輸出していた。2011年最初の半年間にドイツが輸出した電力量は、ドイツに輸入された電力量に比べて、総計40億キロワット時も上回っていた。
バイエルンの市民運動グループ「フォーラム (Forum)」のライムンド・カム氏の説明によれば: フランスとチェコでは今年の4月初旬の気温がかなり高かった。この例年にない温暖な気候のために、多くの人々は電気ヒーターを使う必要がなかった。その結果、フランスとチェコの電力消費量が大幅に減り、原子力発電所が生産する電力が過剰になってしまった。そこで、彼らは原子力発電所をターンダウンするよりは、余った電力を売ってしまおうと、余剰の電力をダンピングした値段-(見積もりで)各キロワット時 2セントから3.5セント-で売ることにした。
その格安の電力を買ったのがドイツの電力会社だった。自分たちの火力発電所を稼動させるよりも、安いエネルギーをフランスやチェコから買った方が、ずっと得だということである。彼らは、この安く買った電力を、産業企業関係消費者には8セントから12セント/キロワット時の値段で売り、一般のプライベート消費者には、23セント/キロワット時という値段で売った。この事が結果として、名目上の「ドイツの電力輸入」となったわけである。
これまた名目上は、チェコからの電力輸入となっている電力の一部は、北ドイツの風力発電所で生産された電力が、チェコの送電網を通ってドイツのバイエルンへ供給されていたということが、明らかになった。そして、フランスから供給される電力の一部は、ドイツで全く消費されることなく、単にドイツの送電網を流れて、実際はイタリアに供給されていたということも分かった。
こういったことが不当に加算されていって、「ドイツの電力輸入量」となっている。
以上です。
Ausgestrahltの記事の原文は下のリンクです。
http://www.ausgestrahlt.de/meldungen/logbuch.html#c8674
(注)*BdEWを連邦エネルギー産業・水道業協会と訳しましたが、これは仮訳です。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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