ニューヨークは危険がいっぱい―わずか50㎞のところに原発があった(『産経ニュース』から)

昨日の『産経ニュース』を読んで、驚かれた方が大勢いたと思う。私もその一人である。

記事はこうだ。

「ニューヨーク市中心部からわずか50キロに位置するインディアン・ポイント原子力発電所についての議論が米国で高まっている。」勿論、福島原発のような事故が起これば、ニューヨーク市全域が巻き込まれるからである。「(この)原発は1962年に操業を開始。ニューヨーク市と、隣接するウエストチェスター郡で使用される電力の25%を供給」している。

今回、この問題が市民の間でクローズアップされたのには、当然、福島原発事故がある。改めて「原発の安全性」が問題になったということである。

しかも恐ろしいことに、この地域、というよりも「同原発の近くには2本の断層が走っている」といわれ、「マグニチュード7クラスの地震が発生する可能性」があると米メディアは報じている。更に、「現在運転中の原子炉は1970年代に設置されたもの」で、「最新技術を投入した設計とはいえず」「同原発の耐震性を疑問視する声もある」ようだ。

今回の福島原発事故を受けて、それではこの原発で同様の事故が起きた時にどうするのかが市民の間で問題視され始めたということのようだが、事故発生時の避難計画の見通しは容易ではないそうだ。

これはニューヨークが東京と同じく大都市であり、「2000万人におよぶ…住民をまるごと避難させることは果たして可能なのか」という点に関わってくるからだ。だが、あきれたことに研究者にとっては、「避難計画は現実的に可能な計画ではなく、単なるおとぎ話の書類(ファンタジー・ドキュメント)」に過ぎない(ニューヨーク・タイムズ)という。

ニューヨーク州が22日に米原子力規制委員会(NRC)と会談して「同原発の安全評価の見直しを『全米の原発で最優先とする』との言質を引き出した」そうであるが、結局は「廃止」も考えざるを得ないという。

9.11ではこの原発も標的になったともいわれる(?)。

私はそんなゴシップより、ニューヨークでも、今回の福島原発事故でもそうだったが、政治家、財界人、それに(御用)科学者(安全・保安院も含む)たちの、住民や作業者に対する無責任な態度、対応に心底腹立たしさを覚える。日本でも、元原発関係者(設計者など)が口をそろえて言っているが、こんな危険なものは即刻廃止すべきではないのか。それが危険を味わった市民の生の声であろうと思う。