3月8日、ベルリンの青空の下、Sayonara Nukes Berlin主催の「反核デモ集会ー風車デモ」が催されました。当日、私は私用もかねて、このデモに参加されていらした岐阜環境医学研究所・所長の松井英介医師にお会いするために、ベルリンに赴きました。そして、初めてベルリンでの反核デモに参加させて戴くこととなりました。
デモ集会において最も印象的だったことは、フクシマの子供たちの健康被害を憂慮する日本の医師として松井先生が、重要なスピーチをなさり、デモ参加者達の共感を呼んでいたことでした。松井先生の許諾を得て、そのスピーチ内容をご紹介させて戴きます。 (動画へのリンクもあります: https://www.youtube.com/watch?v=2gZZEvsDOfU)
緊急に必要なこと
「福島には火がついています」これは京都に移り住んだお母さんの言葉です。
現場は止まっていません。ストロンチウムやトリチウムのほかに、新たに大量のセシウムが地下水から検出されました。この事実は、溶けたウランがより深い層の地下水と触れ始めた可能性を示しています。日本政府は、「除染」して空間線量が20mSv/y以下に下がれば戻って良いと言います。「帰還政策」です。しかし「除染」は「移染」、すなわち放射性物質を少し移動させるだけだということが、分かっています。
「帰還政策」は、子どもたちのいのちを危険に晒すものです。
現に、この三年間に、74人の甲状腺がんが、見つかっています。
また最近のStrahlentelex(放射線テレックス)には、胎児や新生児の異常が紹介されています。汚染の強いところで、早産や死産が増えているのです。
では、私たちはどうすればよいのでしょうか?
何より予防です。予防には、一次予防と二次予防があります。
二次予防は、早期発見。病気を早く見つけて、いのちを助けることです。
一次予防は、放射性物質を、これ以上取り込まないようにすることです。
この二つを同時に進める必要があります。まず、二次予防。甲状腺がんを例に見てみましょう。疫学者の津田敏秀さんは、今回見つかった甲状腺がんはアウトブレイクだと言っています。大発生に備えて、早く手を打つ必要があるのです。そのためには、検診の精度を高める必要があります。二年に一回ではなく、半年に一回の検診を、国が責任をもってやるべきです。
大切なのは一次予防です。
チェルノブイリ原発事故の後、現地で、五年以上も、優しい手術の方法を教えた菅野昭さん。今の、松本市長です。彼は、福島の小学生や中学生に「松本留学」を勧めています。汚染の少ない松本市で、勉強できるようにするのです。
内部被曝からいのちを守るために、食べもの基準値を厳しく定めること、食べものと土の検査を丹念に行うことも、大切です。
「健康ノート」の意義
私たちは、「健康ノート」を作りました。3.11事故後の暮らし、身体と心の状態を、できるだけ正確に記録するためです。
当時の状況を想いだせるように、事故後の気象状況の資料もつけました。
家族や仲間とともに記録することによって、記録を正確にできます。また、お互いに励ましあうことによって、あきらめずに記録を続けることができます。
外国の仲間とともにやること
安倍首相は、三菱重工とアレヴァの原発を売り込むために、トルコに出かけました。東芝とウェスティングハウスの原発を売り込むために、チェコに出かけました。
とんでもない話です!
外国への原発売り込みをやめさせましょう。
ドイツの経験から学ぶ
国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバーさんは、日本の現状を丹念に調べ、素晴らしい報告書をまとめました。
学校で「低線量被ばく」のリスクを教えなさいと、提案しています。
ドイツでは、早くから放射線の害を教えてきました。そして、反原発の運動を巻き起こし、3.11の後すぐに、「脱原発」を決めました。私は、ドイツの経験を、日本の子どもたちに教えたいと思います。
” Atomkraft Nein Danke!”
「原発なんていらない!」
Vielen, vielen Dank fuer Ihre Aufmerksamkeit!「皆さん、傾聴して下さって本当に有り難うございます!」
彼らは、力強いドラミングのリズムに合わせ「Fukushima ist überall!」と叫びながら、デモを活気づけていました。「Fukushima ist überall!」とは、「フクシマは、あっちこっち至る所にある!」という意味で、フクシマのような超大規模事故を起こすリスクを潜めた核施設は、ありとあらゆる所、ドイツにもヨーロッパにも、そこいら中にあるということです。また、フクシマから放出された放射能汚染が至る所にグローバルスケールで拡散していっているということも示唆していると思います。
反原発デモの行進はブランデンブルグ門から日本大使館に到着しました。
日本大使館の前での抗議: 「もしもし亀よ」の替え歌「もしもし原発よ」を歌う日本女性たち
1. もしもし東電 原発よ
世界のうちで おまえこそ
地球を壊すものはない
どうして 命を守らぬか
2. もしもし原発 推進派
安全神話 うそっぱち
活断層の 島なれば
今すぐ 原発やめるべき
両親と一緒にデモに参加する子供たちもいました。
ドイツでは、小さい頃から環境意識を養っていく教育がなされており、子供達も大人に混じって反核デモに参加する風景がよく見られます。
反核アクティヴィストのTシャツにはドイツ語で「Scheiß Atom Staat (クソ野郎 原発国家)」と書いてあります。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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