マスコミの世論操作

「ちきゅう座」の読者にとっては、例の秋篠宮家の結婚問題などは、それに関心を持つこと自体がバカバカしく非知性的だと感じるか、「秋篠宮家非難の裏返しとしての現天皇家礼賛」という、現代日本人の「右傾化」を反映する憂慮すべき現象だと感じるかのどちらかだと思います。 

私は、上記のような感想とは別に、この話題から派生したある事象の中に、それこそ本当に憂慮すべきものがひそんでいると感じています。それは「マスコミの世論操作の巧みさ」という問題です。 

具体的に言いましょう。 

YAHOOニュース」に掲載された『NEWポストセブン』という雑誌の記事に、「皇室関係者」の話として、「将来の天皇候補」たる秋篠宮家長男の悠仁君のこんな言動がありました。 

―昨年の運動会の帰りのことです。悠仁さまは背負っていたリュックを、当たり前のように紀子さまにお持たせになり・・・― 

「母親に自分の荷物を持たせる」という何気ない行為ですが、「ささやかな行為の中にその人の人間性を見抜く」庶民の目からは、そんな行為は許しがたい態度に見えるのでしょう。すぐにこんなコメントが寄せられていました。 

「中学生にもなって荷物を親に持たせるって…幼稚園児かよ!」、「自分のリュックを母親に持たせるようなひ(ママ)が将来の天皇か…」などなど。 

いかなる論理明快な知的批判(丸山眞男!)よりも、はっきりとした根拠がなかったり詳細な背景を故意に無視したりするような、ある意味では「どうでもよい」噂のほうが浸透力があるという一例です。とくに細かいことに注意を払う(「神経質な」とも言えますね)日本人に対しては、そうなのかもしれません。

マスコミによる「世論操作」の恐ろしさは、こんな一見「どうでもいい」話題を、庶民の志向にマッチするようにうまく利用するところにあると思います。