昨年春、やむを得ない事情で中止になった企画を、新しいクールの第1回目として実施いたします。ご参集ください。
再度、私は今回から、定例研究会のとりまとめの係に復帰いたしました。宜しくお願いいたします。今回のような、抽象度の高い哲学上の問題に限らず、
政治運動、社会運動、労働、生活(再生産)、科学技術、様々なレベルのイシューに触れてまいりたいと考えています。菅孝行
日時 6月13日(月)18時~
場所 専修大学神田校舎7号館8階784教室
報告者 伊吹浩一(専修大学ほか、大学非常勤講師)
テーマ 理論と実践について
理論と実践について 伊吹浩一
「革命的理論なくして、革命的実践はない」というレーニンの言葉をことあるごとに引用したアルチュセールは、マルクス主義的哲学者として「理論と実践」の問題に挑んだ。そのさい彼は自己を哲学に定位する者として位置付け、理論的実践を自己の任務として引き受ける。この実践の基盤となったのがフランスのエピステモロジーである。フランス・エピステモロジーは科学の歴史を、旧い科学理論から新しい科学理論への断絶と跳躍の過程として捉える。アルチュセールはこれをマルクスに適用し、マルクスは科学における理論革命を成し遂げたと言う。ここで注目しなければならないのはイデオロギーである。イデオロギーが新しい科学理論の登場を阻み、これをのりこえるとき新たな科学的地平が現れると言うのだ。「イデオロギーから科学へ!」という実にマルクス主義的なスローガンこそ、アルチュセールの理論実践のそれである。一見すると時代拘束的な議論かもしれないが、これを3・11以降の現代に適用してみると何が見えてくるのか? あるいはこれを通してマルクス主義の「失敗」を考察したい。