●第三クール3・第15回:
日時:8月11日(月)18:00~21:30
場所:シビックホール4階会議室B(都営地下鉄春日下車、)
報告:塩見鮮一郎(作家。著書に『弾左衛門とその時代』(河出文庫)『貧民の帝都』(文春新書)『吉原という異界』(現代書館)など)
+流広志(ルネサンス研事務局)
明治政府の太政官布告「身分解放令」をめぐって―近代の差別からの解放への道を問う
明治維新は通常、日本近代化の出発点とされる。確かに維新政府はそういう名目の制度改革に着手した。1871年(明治4年)の所謂「解放令」もその一つである。しかし、アメリカの奴隷解放を参考にしたとされる「解放令」の現実は、「解放=弾圧」だったというのが塩見鮮一郎さんの評価である。史実の読み直しによって、近代化=進歩と看做し「解放令」をポジティブに評価する「常識」を覆す視点が示され、被差別民の近代化の実像が明らかにされてきたことによって、今なお続く部落差別からの解放を、ポスト・近代の展望と結びつける道を切り開く条件が成熟してきた。
今回は、塩見さんの著書『解放令の明治維新』(河出ブックス)を手掛かりに、日本近代化の出発点で、「解放令」が、被差別民にとってどういうものであったかを中心にお話しをうかがい、それを差別解放とポスト近代の展望を結合する課題にチャレンジする研究と討論の新しい地平を探る第一歩にしたい。 流広志
●第三クール・第16回
日時:2014年9月8日(月)18時30分開始 開場18時00分
場所:専修大学神田校舎7号館763教室
報告:中村勝己(中央大学法学部兼任講師)
オペライズモの理論の軌跡Ⅱ
イタリアの政治哲学者アントニオ・ネグリは、2013年4月に初来日した際に私が行なったインタビューにおいて、60~70年代イタリアにおける新左翼理論潮流オペライズモ(労働者主義)と、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの仕事には、明らかな同時代性があると指摘していた(『現代思想』2013年7月号参照)。国家権力以外のミクロな権力が社会総体に充満し、人びとの生活全体を包摂するという事態を、フーコーなら規律権力=生権力として、ネグリなら資本と国家が傾向的に同一化した融合権力として把握していたのだと。こうした生権力への抵抗・闘争の場を生政治として捉えるならば、どのような社会理論と運動が構想されるだろうか。この問題意識に沿ってイタリア・オペライズモの理論の軌跡を追いかける。第2回目は、マリオ・トロンティの『労働者と資本』の後半をとりあげる。
●今後の予定
第17回10月13日:伊吹浩一
第18回11月10日:太田昌国
第19回12月8日:川上徹・前田裕吾