「自民党と旧統一協会の深いつながりについて――スラップ訴訟の当事者として」
このかん、参院選の投票日直前の安倍晋三元首相の殺害事件でにわかに旧統一協会と自民党安倍派(清和会)との癒着が注目を浴びるようになった。1980年代に学生生活を送った人ならば当時の統一協会=原理研究会のいかがわしさと危険性は嫌というほど学んだはずである。しかしオウム真理教事件(1995年)の後、霊感商法や勝共連合としての活動など統一協会の悪事はマスメディアで取り上げられることが激減した。このかんのメディアによる報道はその欠落を埋める意味で価値があるが、まだまだ足りないのではないか。そこで今回は、自民党大幹部の世耕弘成参議院議員(1963-)からスラップ訴訟を仕掛けられ、これと闘っている中野昌宏さんにお話を聞くことにした。中野昌宏さんは、Twitter上で世耕弘成議員が学生時代に原理研究会のメンバーだったとする情報発信をしたことで、世耕議員から名誉棄損とする訴訟をいきなり起こされた。中野さんはこれに「いやがらせ目的のスラップ訴訟だ」として反訴。この裁判闘争は今も継続中だ(中野昌宏先生を応援する会 – 次回裁判:未定(2022年7月22日は延期となりました) (socioanalysis.net))。そのなかで中野さんは自民党と旧統一協会のズブズブの癒着を指摘してきた。ジャーナリストである有田芳生氏や鈴木エイト氏の活動とはまた別に、旧統一協会の悪事を暴露する闘いを、この間もずっと、一貫して継続されて来られたのである。今回の定例研究会では、この、比較的には余り知られざる中野さんの長期にわたる暴露活動と、今度の法廷闘争について、お話を聞く機会を設けたい。「国葬儀」などという世紀の一大茶番劇を、のうのうと繰り広げさせてしまった我々国民ではあるが、その弔辞で菅義偉が、安倍を、安重根に暗殺された伊藤博文に擬えた上で(これからオレが山県有朋に成る)などと、いけもしゃあしゃあと繰り述べ立てさせてしまった(しかも、その意図にさえ気づかず、官僚の小手先お涙文学に拍手喝采し、あるまいことか感銘まで覚えるマスコミのていたらく! 愚鈍!)。要はこの「事件」を《これにて一件落着》させようという明白な意図を、きっと阻まなくてはなるまい。その第一歩としては、いかにもタイムリーであろう。
日 時:10月11日(火)18:30開始(3時間弱)
報告者:中野昌宏さん(青山学院大学教員)
このテーマに「統一教会・自民党関係史――その外在的・内在的なつながり」(『世界』2022年9月号所収)、著書に『貨幣と精神―生成する構造の謎』(ナカニシヤ出版、2006年)など。
「旧統一教会と自民党の関係の問題は、私自身が世耕弘成元経済産業大臣に名誉毀損で訴えられたことから、深掘りを始めたテーマです。この訴訟は、世耕氏が東洋経済の記事で「生活保護受給者にはフルスペックの人権は認められない」旨の発言(2013年)をしていたことに対して私がTwitterで批判的にコメントする中で(2018年)、世耕氏と原理研究会(旧統一教会の下部組織)との関係疑惑に触れ、その思想的傾向の一致を問題にしたのですが、世耕氏は大臣在職中(2019年)にこの疑惑部分を「事実無根で、名誉毀損だ」として私を訴えてきたものです。私としては彼が学生時代に原理研所属だったかどうかなど二次的なことで、それより現在の彼の思想が統一教会と同じ方向を向いていることが問題なのですし、また自民党特に清和会と統一教会との根深い関係について知識があり、いずれにしても世耕氏が自民党幹部として統一教会の考えを政策に実現しようとしていることについては真実でしょう、と主張しているところです。そこから私は法廷で統一教会と自民党の緊密な歴史的関係を論証するために証拠集めを始めたのですが、何だかめっぽう面白いのです(笑)。この探究の中で、「反共」という全く空疎なイデオロギーを核とし、アメリカの思惑からの冷戦を背景とした日韓の近現代史が織られてきた様子がかなり立体的に見えてきました。私としてもまだまだ勉強中ではありますが、ここまでの私の見るところを整理してお話しできたらと思います。(中野昌宏)」
会 場:オンライン研究会(後述の方法で参加予約を頂いた方に招待メールを送ります)
資料代:500円
今回もオンライン研究会です。
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