「右翼ポピュリズムからポスト・ファシズムへ?――この秋のイタリア国政選挙の結果を振り返る」
世界中でポピュリズムと呼ばれる政治現象が続いている。世界的に見てもいち早くポピュリズム型の政治が始まったのがイタリアだ。その国で今年9月に国政選挙(上下両院選挙)が行なわれ、中道右派勢力が政権に返り咲いた。その結果イタリア政治史上初の女性首相になったのがジョルジャ・メローニ(1977年生まれ)だ。出身政党は「イタリアの同胞」、ネオファシズムの流れを汲む自称保守政党だ。戦後イタリアでつねに政党政治からは周辺化されていたネオファシズム運動は30年ほどの前の政界大再編に際して旧来のネオファシズムを墨守する流れと「健全な保守」への脱皮を図る流れに分裂し本格的に国会の議席を狙い始めた。「イタリアの同胞」は後者の流れを直接に汲む。以前にも同党系の政治家が下院議長に選出されたり外務大臣を務めたりということはあったが、首相に選出されるのは初めてのことだ。いまイタリア政治はどうなっているのか、これからどこに行くのか。
日 時:11月8日(火)18:30開始(3時間弱)
報告者:中村勝己(イタリア政治思想史研究・大学非常勤講師)
論文に「新型コロナの時代におけるポピュリズムをいかに考えるか?」(エンツォ・トラヴェルソ『ポピュリズムとファシズム』(作品社)解説)、訳書にネグリ『デカルト・ポリティコ』(共訳・青土社)など。
「報告の前半では、9月下旬にイタリアで行われた上下両院選挙の結果を分析します。今回の選挙は、中道右派、中道左派、新興ポピュリスト政党(五つ星)という3潮流に分岐して闘われたため、どの勢力も単独で過半数の議席は取れませんでした。かつては中道右派と中道左派に二極化しており、どちらが選挙で勝つにしても過半数を確保できましたが、今回は、下院(議席数400)でみると、中道右派237議席(43・7%)、中道左派85議席(26・1%)、五つ星52議席(15・4%)でした。中道左派と五つ星が連立していれば中道右派と大接戦だったはずで、両者の協議が上手く行かなかったことで中道右派が利を得た形となりました。報告の後半では、イタリア出身の歴史家エンツォ・トラヴェルソの近著『ポピュリズムとファシズム』(邦訳は作品社)における議論を参照しながら、結局のところポピュリズムはネオファシズムの穏健派と合流することで「ポスト・ファシズム」に変貌するしかないのかという問題について考えます(中村勝己)」
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