今回も、前回に引き続き、新型コロナ・ウイルスの世界的な感染状況が続く現代はどのような時代なのか、そうした時代を私たちはいかに分析しこれと対峙していくべきなのかを考えるテーマとします。今回は医療ジャーナリストの視点から、コロナ禍において浮上した様々な問題点について検証していただきます。
今回の新型コロナ・ウイルスは、そもそもどんなウイルスなのか? PCR検査とは何か? 医療崩壊は結局起こったのか起こらなかったのか。新自由主義的な保健所削減の政策は医療態勢の崩壊をもたらさないのか? メディアで問題となった「37.5度以上の微熱が4日間続いたら医療機関に相談してください」という目安(厚労省はその後サイトから削除)は結局何だったのか? この間注目されている「超過死亡数」はどうなっているのか? 世界各国の対応に大きなばらつきがあるが、これをどう見るべきか? たくさんの疑問点があります。皆で大いに議論しましょう。
報告者は『情況』2020年最新号(夏号)の新型コロナ・ウイルス感染症特集号に論考を寄せている村上和巳さん(医療ジャーナリスト)と横山茂彦さん(『情況』編集長)です。
*東京都では新たなクラスターの発生など、新規感染者の発見数が毎日100人を超える状況が続いています(7月7日現在)。安倍政権も小池都政も抜本的な対策は講じることができていません。したがって、私(たち)の健康・生命・安全は相変わらず私(たち)自身で守るしかない状況です。当日のご参加に際しては十分な対策をお取りくださるようお願いします。
テーマ:新型コロナ・ウイルス感染症と医療態勢を考える
日 時:7月20日(月)18:00開場、18:30開始
場 所:河合文化教育研究所 池袋パークビル5階(東京都豊島区南池袋2丁目49−7)
(行き方)地下鉄有楽町線東池袋下車。6~7番出口を出て、エスカレーターで地上へ。上がり切ると左手に見える信号を渡り、右方向に行く。(頭上の首都高が見える)数10m先、1階にENEOSのGSのあるビル(池袋パークビル)が見える。この建物の5階にエレベータ―で上がる。エレベータを降りて左方向に10m歩くと左側が河合文化教育研究所。
資料代:500円
報告者:村上和巳さん(医療ジャーナリスト)
1969年宮城県生まれ。医療、災害・防災、国際紛争 を取材。週刊エコノミスト、講談社web現代ビジネス、 毎日新聞「医療プレミア」、Forbes JAPAN、旬刊医薬 経済、QLife、m3.comなど、一般誌・専門誌双方に執 筆している。一般社団法人メディカルジャーナリズム 勉強会調査報道チーム編集長、NPO法人日本医学ジャーナリスト協会理事。著書に『化学兵器の 全貌』(三修社)、『 二人に一人がガンになる』(マイナビ 新書)など。
横山茂彦さん(編集者)
著述業、「情況」編集長。複数の筆名で、小説・歴史書など著書多数。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリクス』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。
感染拡大が本格化したのは緊急事態宣言が発令された4月である。6月12日付の日本経済新聞では、緊急事態宣言下で特定警戒地域とされた13都道府県で見ると、11都府県で超過死亡が発生していたと報じている。首都圏、関西圏の大都市圏は、過去4年間と比べ、概ね10%前後死者が増加しているという。この要因として新型コロナ関連で考えると、▽新型コロナが疑われる症状があるのにPCR検査を受けられず亡くなった▽新型コロナに感染していたのに基礎疾患で亡くなったと誤診されている▽新型コロナによる医療体制逼迫などで入院ができず基礎疾患で亡くなった▽感染を恐れる受診抑制で基礎疾患が悪化して亡くなった、など様々な事情が考えられる。(村上和巳『情況』最新号から) ネット上には「明らかな体調不良なのに門前払いを食らった」「医師から紹介してもらったのに保健所に拒否された」という例が枚挙にいとまがない。4月下旬に死亡した埼玉県所沢市の80代の男性が、症状を訴えながら検査を受けられないまま、容体を悪化させていたことも明らかになっている。これらの「門前払い」は、保健所がパンクしているからだ。ではなぜ、厚労省は保健所がパンクする前に、各県にある国公私立の医科大学や民間大病院に委託しなかったのだろうか。それぞれが十分な設備と人員をそなえた附属病院を併設しているのだ。そこで浮上してくるのが、政治評論家の田崎史郎が明らかにした「厚労省の医系技官の人たちは、大臣の言うことをきかないんです」という厚労省の内部事情だ。官邸と内閣府に人事権を集中することで、政治主導という名の独裁を敷いてきた安倍政権において、中堅官僚が命令をきかないというのだ。(横山茂彦『紙の爆弾』7月号から) |