9月の研究会のご案内をさせていただきます。会場の教室が前回とは異なりますのでご注意ください。
日 時:2013年9月28日(土)14:00~17:00
会 場:立正大学 大崎キャンパス 5号館2階 52E教室
品川区大崎4‐2‐16 (JR五反田駅から徒歩7分)
会場案内(http://www.ris.ac.jp/access/index.html )
内 容: 「中国資本主義のゆくえ」(予定)その他
連絡先:矢沢 yazawa@msg.biglobe.ne.jp
参加費、予約:なし
世界資本主義フォーラム 研究会
― 通称 岩田弘 ゼミ ―
日時 12月15日 (土曜日)
会場 立正大学 大崎キャンパス 4号館 二階 42A 教室
会場案内
(http://www.ris.ac.jp/access/index.html )
時間 13時から17時
内容 「岩田世界資本主義論の展開と未完の『世界資本主義Ⅱ』の意図 (2)」
(報告者 五味久壽 )
「米国『財政の崖』について
(報告者 矢沢国光 )
連絡先
デジタル革命による新産業革命の問題提起
― 世界市場のグローバルな再編成に対する官庁資料の認識とその限界 ―
『2012年度 ものづくり白書』(経済産業省編)の構成
・二部編成、
・1部は「ものづくり基盤技術の現状と課題」、2部は「平成23年度においてのものづくり
基盤技術の振興に関して講じた施策」
・製造業の現状分析の中心は1部、その新たな特徴は、第2章「我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」
その主要内容と問題点
・第2章の中心論点は、日本製造業、電子・電気機器の危機の根本問題を、アメリカ発デジタル革命による製品構造とその台湾・中国とのグローバルな分業関係による生産過程の転換としている。しかも固有名詞の付いた産業、企業分析になっている。また、デジタル化の自動車産業への波及、車部品の独立化(モジュール化)と共通化についての言及は適切であり、評価できる。
・しかしながら、中国東アジアにおける拠点はどこかが不明確である。雑貨・繊維産業による労働集約型とは異なる、電子機器、加工組立の生産過程の水平分業、部品のサプライチェーンの再編成の必要性は説いているが、その産業再編成が生産過程の変化をもたらす新産業革命であることが不明確である。
・つまり、日本の従来型大手組立メーカーの中国市場への展開の問題、中小部品メーカーの中国化、すなわち、中国企業化、華僑販売サービスネットワークの一部化の方向が、主要課題ではないか。
・その点については、現代史研究会の報告資料の経済教室の分析がより明確である。新興国、途上国のデジタル機器の普及化、先進国の耐久消費財 → デジタル家電とは、逆であり、デジタル家電の主要な世界市場であること。またその中心企業が中国であること。
・その意味で、報告資料のもう一つの主張、クリス・アンダーソン『メイカーズ』は、デジタル革命による新産業革命の世界史的地位を、第3の産業革命と明確に規定している。製造業の第三次革命、DIYの第三革命、インターネットウェブのコミュニティと集団参加によるものづくり起業と工作機械の革命について言及している。
とのアメリカ発のマイクロコンピューター
第1部
「内面化」論はいつまで保持していたのか?
① 原理論の総括規定と帝国主義段階規定(主に1960年代まで)
・金融資本段階への移行、株式資本の規定とその歴史的性格は、レーニンと
ヒルファディングに依拠する。
・帝国主義段階規定は、宇野―岩田も一緒。
・ただし80年前後からの変化。その段階規定、原論との関係の問題点
→ 2011年2月座談会の櫻井先生の発言、宇野段階論の問題点(9~10ページ)
② 1971年ニクソンショック以後の国際通貨システムとレーニン批判
・基軸通貨ドルの維持の現実と帝国主義段階論への批判
・レーニンの帝国主義論への批判(国家論、組織論批判)
・『要綱』フォルメンの読み直しと「コミュニティ」論
→ 「共産主義」、「共同体」という表現は、問題あり。
→ 2011年2月座談会の大内先生の発言、コミュニズムとコミュニティ
(11ページ以降)
③ ソ連体制の崩壊と中国経済改革、新情報革命と新資本主義段階の登場
・ ソ連崩壊と中国の市場経済化
・情報革命の登場、台湾・中国華南とアメリカシリコンバレーとの水平分業の展開
・垂直統合型、多国籍企業の衰退と再編成( →現在の日本電機産業の危機)
Ⅱ 株式会社制度と企業組織の再検討、資本主義的所有とは何か?
① ソ連社会主義崩壊の根本原因は何か?
・社会主義の基本規定、私的所有の廃棄とそれを基礎とする計画経済
・しかし、私的所有の廃棄と計画経済よって資本主義を廃棄できるか?
・「株式式会社制度と国際金融市場」(『立正大学季報』1999年)以降の問題意識
② 資本主義的所有の実態は何か? 私人の所有か、それとも法人所有か。
・ 資本主義的所有の担い手を自然人としての私人とするのは、近代的自由主義思想の
イデオロギーであろう。
・その実態が法人所有であるならば、企業経営組織、ENTITYを基礎とする法人が担い手となり、資本家とは、資本つまり企業経営組織体の担い手に過ぎない。
・その担い手が、労働者であろうと、官吏であろうと企業組織による法人所有の実態を変えるものではない。(言い換えると、資本家階級を排除しても法人所有、資本主義的所有は存続するということ。)
・この問題は根本的であり、マルクス、レーニン、宇野は明確にしているのか?
→ 2011年2月座談会の櫻井先生の発言、宇野段階論の問題点(9~10ページ)
③ 企業経営組織体の活動原理は何か?
・会計原理(貸借対照表、損益計算書)に基づく貨幣収支体、貨幣組織体
・株式会社の所有の二重性(資本の運動全体の管理運営と株式証券の売買)
・法人所有の実態的性格と株主所有の二次的性格
・『資本論』第二部「資本の流通過程」の読み直し
Ⅱ 経済学の原理から資本主義経済の原理へ
① 「原理」は形式的論理か? 現実に内在する論理?
② ニュートン以来の古典力学による「原理」と現代生物学による生体システムの
「原理」
③ リーマンショック以降、宇野体系から離れて、『資本論』体系の読み直しの試み?
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
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6月5日に経済産業省が刊行した「ものづくり白書2012年版」はまさしく衝撃的な内容だった。世界に冠たる日本の製造業の現状を検証して方向性を提唱する「ものづくり白書」が、先進国と新興国に挟み撃ちされて衰退する日本の製造業の‘敗戦’を認め、焼け跡からの再生を提言するという‘衝撃的’な論展だったからだ。 ものづくりのデジタル化/モジュール化が進んで我が国製造業の技術開発に基づく垂直統合生産の優位性が崩れ、企画・開発に特化して付加価値を創造し生産は新興国にアウトソーシングする先進国、生産設備への巨額資本投下と技術のキャッチアップで先進国に劣らない製品を安価で大量供給する新興国に挟撃され、日本の製造業はマーケットシェアも収益力も失って行った。ITエレクトロニクス分野の勝者はアップルとIBM、その対極にある台湾中国の巨大EMSであり、自動車分野の勝者はVWグループだと総括する内容はまさしく‘敗戦宣言’と言うしかない。そんな事はもはや明々白々だが、経済産業省が公式な白書で前面降伏したという衝撃はまさしくボツダム宣言受諾に匹敵するインパクトがあった。 聡明な日本の製造業は既に白書で指摘されたようなスマイルカーブの収益ポジションへ移動を急いでおり、高付加価値な素材や基幹部品、機能性とバリューで独占的なシェアと高収益を実現している企業も少なくない。身近な所では繊維の東レ、自転車部品のシマノ、ランジェリーのワコール、化粧品の資生堂などがその典型だが、アパレル業界では誰がそんな戦略を描いているだろうか。ビジネスモデルの基本はスマイルカーブの何処で収益を確保するかだが、日本ブランドの海外進出ではそれがまったく見えていない。 業界では中国、アセアンへの進出が加速しているが、アウトソーシングでマーケットインするデフレ型ビジネスモデルのお手頃ブランドがインフレ著しい新興国のブランディング競争に勝ち残るとは到底思えない。アップルのように突出した企画・開発力とブランディングが可能とする水平分業、あるいはルイ・ヴィトンのように完璧な自社企画・自社生産とブランディングが実現する高付加価値、あるいは・・・・・、どれも見当たらないのが実情だ。 アジアで成功するジャパンブランドはラグジュアリーかクリエイションに徹した高付加価値ブランドかパーツ性と機能性に徹したバリューブランドだけだと思う。それも日本からの出店感覚ではなく企画・開発から販売・アフターサービスまで現地に根ざした別途の事業であるべきだ。そんな事を考えながら、今週28日(木)に開催するSPAC研究会『アジア市場の最新動向と事業展開総研究』の詰めを急いでいる。 http://www.apalog.com/kojima/archive/964 |
VWとアップルが変えた「経産省白書」 日経 産業部次長 中山淳史
2012/6/20 7:00
「ものづくり白書」といえば、世界に冠たる日本の製造業の現状分析をする経済産業省編集の刊行物だ。だが、6月5日に政府が発表した「2012年版」をみると、主役は「日本の匠(たくみ)」でなく、独フォルクスワーゲン(VW)や米アップルの経営手法だ。
白書は通常、4部構成になっており、筆者がここ数年読み比べているのは第2章「我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」だ。
■出だしから「ものづくりのデジタル化」登場
今年は出だしから、CAD/CAMの普及などによる「ものづくりのデジタル化」が登場し、最新鋭設備を導入しつつ、先進国並みの品質を持つ製品を安く、大量に世界に供給する新興国の話などが紹介されている。 通常なら、日本の「匠の技」の重要性を説き、いかにそれを守っていくかの課題や提言にページを割くところだろう。2011年版も東日本大震災で途切れたサプライチェーンの話がたくさん出てくるが、「6重苦」などに苦しんでも日本の製造業は強いのだ、との雰囲気が白書には漂っていた。
だが、デジタル化に続いて登場するのは、「擦り合わせが不要な製品設計(モジュール化)」や「製造工程以外から獲得する付加価値」の話題である。
この2つ、企業でいうなら前者はVW、後者はアップルだ。 モジュール化はVWが世界中に広げようとしている新しい生産手法だ。モジュール自体は聞きおぼえのある言葉かもしれない。ただ、ここでいうモジュール化は部品というより、「擦り合わせが不要な製品設計」のことだ。
VWは高級車から小型車まで、先進国向けから新興国向けまで、すべての車を積木に似たモジュールを使って組み立ててしまおうとしており、現にこうした手法ですばやく車を開発し、販売台数の拡大につなげている。製品の企画と開発に特化するアップルの経営モデルはもう有名なので省くが、VWと共通しているのは、設計の段階から車なら世界で数百万台規模、デジタル家電なら数億台規模で生産することを念頭に置く経営だ。世界経済をけん引する新興国ビジネスの要諦はとにかく「速く、安く」である。それを実現するにはつくり方を標準化しつつ、たくさん生産してコストを下げるに尽きる。
■恐るべきコストダウンの力
日本が恐れるべきはそれだ。東大大学院経済研究科の小川紘一特任研究員は「VWやアップルのすごさは品質というより、超大量生産による恐るべきコストダウンの力だ」と話す。自動車でいえば、日本の強さは工場にあった。だが、コスト削減は工場ごと(通常は年産能力が20万~30万台規模)に、地道に積み重ねていくだけでは今後は勝てなくなる。設計を源流から見直し、「つくりやすく」「価格が安く」「利益の出る」生産方式をグローバルで構築し直す時代になったと言える。
もちろん、今後も個々の工場の現場力は大切だ。日本の工場には世界のマザー工場としての機能も期待されよう。だが、白書から浮かぶのは製造業の潮流の大転換だ。来年は世界のベストプラクティスを奪回すべく、日本の製造業も海外企業の最先端を研究してみる必要がありそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1803M_Y2A610C1000000/?df=2
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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