今さら政府や東電の無責任体質に驚くのも馬鹿なのかもしれないが……。
読売新聞によれば、11日の地震により福島第一原発の被害が判明した直後、米政府は原子炉冷却に関する技術的支援を申し入れたが、それが原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、冷却機能の回復は可能と楽観視していた東電と政府は支援の申し入れを断っていたことを民主党幹部が17日明らかにしたという。その時点で支援を受け入れていれば、その後の危機はなかっただろう。
ところが枝野官房長官は今日(18日)午前の記者会見で「政府、首相官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定し、責任逃れを図るが、別の政府筋は「当初は東電が『自分のところで出来る』と言っていた」と述べて、東電に責任を押し付けたかと思えば、「(断ったのではなく)いったん留め置いた」という弁明をする者もいて、とにかく責任逃れの姿勢に終始している。
事故(というより人災だとの指摘もあるが)から4日目の14日には、3号機が水素爆発を起こして建屋が吹っ飛んだかと思えば、2号機では燃料棒がすべて露出し、「空だき」状態になるなど危機的な状況が進行していたのだが、毎日新聞によれば、なんとその日の夜、東電は福島第一原発の社員全員を退避させたいとの意向を政府に伝え、官邸に拒否されたという。地震や津波が来ても絶対安全だと言い張って運転を続けておきながら、脱原発派の人々がかねて警告していた事故がいざ起きると、事態収拾の責任を放り出して全員逃げようとするとは、なんたる無責任! もちろん東電幹部は毎日新聞の取材に対して、「部分的な撤退を検討したのは事実だが、全員撤退を検討した事実は絶対にない」と責任回避にだけは余念がない。
さて、東電側の逃亡計画を知った菅首相は翌15日早朝、清水正孝東電社長を官邸に呼んで「撤退はあり得ない」と通告し、その後、内幸町の東電本部に「福島原発事故対策統合本部」(本部長=菅首相)を設置し、海江田経産相と清水東電社長を副本部長に任命した。この大事故を引き起こした無責任企業・東電と無責任政府が一体となって危機管理に当たろうというのだから、何をか言わんや、である。政府の発表を見ていても、肝心の情報がすべて東電発表の鵜呑みでしかないことは明白である。一方、逃亡計画が挫折した東電が15日の午後には早々と「米軍に応援要請を打診する」と表明したのにも唖然とさせられた。
昨日は、自衛隊ヘリが上空から水を散布し、「原子炉建屋の頂点に位置する燃料プールに適切に水がたまり得ないことは、これも中学生のレベルで理解できることだ」(17日東洋経済オンライン)と揶揄される幼稚なパフォーマンスを行ったが、読売新聞によれば、これもまた、17日に予定されていた菅首相とオバマ大統領の電話会談を控えて、日本側の行動を強く要請しているアメリカ政府に対する弁明のためだったということだ。
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