偏見の拡大は止めていただきたい:箒川兵庫助氏へ

著者: 山端伸英 やまはたのぶひで : メキシコ在住
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箒川兵庫助さん、僕も日本における加藤周一氏を尊敬しておりますが、彼が鼻持ちならない西洋崇拝者で近代主義者であることもわきまえております。30年ほど前、彼とメキシコのスーパーマーケットで当時の彼の奥さん?とあったついでにコーヒーを飲んだこともあります。

そのとき、加藤さんはいくつかのことをイタリアやドイツと比べておっしゃったので、それは酷だよ、ヨーロッパは「新世界」を略奪して近代化したんだから、と言うと例の上目遣いをして、君はそういう立場で通すんだね、と言われた。奥さんも執筆者として名のある方で鶴見俊輔と顔見知りだったので、あまり議論紛糾はまずいかなと思って、はい、とお答えしておいたけど、箒川兵庫助さんの引用を見て、あの時、きちんと議論すべきだったと思いました。

メキシコにも文学や音楽はあり、加藤周一ごときに「水準が低い」と評価されて終わるようなものではありません。現在の日本の政治水準は、文学、音楽の投影かもしれません。

またメキシコに半生を送って、そこに死んだガブリエル・マルケスは、異常に謙遜深い人間味のある人物でした。加藤周一さんや柄谷行人氏(やはり先進国日本をメキシコに宣伝して回っておられました)のように最新先進帝国日本の広告塔のような方々には、結局、日本企業のサラリーマン的な日本しか念頭にないのでしょう。

フランシスコ・トレドは、サポテコ語を母語としていましたが、少なくとも加藤周一氏以上の普遍性を持っていたことは確かでしょう。