再度、ストレステストに抗議しましょう!

著者: 諸留能興 モロトメヨシオキ : パレスチナに平和を京都の会
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 昨日(1月18日水曜16時過ぎから)、経産省別館(原子力安全・保安院)で開催された「ストレステストに係る意見聴取会」で、審査を早々に打ち切り、再稼働に向けての次の段階への強行突破が図られました。
 
 これで、若狭湾の関西電力の大飯原発の再稼働も認められることになり、近畿圏の住民にとっても、重大な影響が生じる危険が強まりました。
 
 今回のこの「ストレステストに係る意見聴取会」と、その下敷きになっている「ストレステスト」の問題点は、再三、お知らせしてきていますが、再度、その問題点を箇条書きに列挙し、全国の皆様、一般市民に、その重大性と問題点を、改めて明確に指摘し、注意を喚起しておきます。
 
 以下は、東京の「福島原発事故緊急会議/みどりの未来」の情報、その他を参考にしています。
 
(問題点その1)
「ストレステストに係る意見聴取会」を構成する委員のうち、司会役の岡本孝司委員、山口彰、阿部豊の3人の委員は、原発メーカーである三菱重工から献金を受けている御用学者である。買収された審判がジャッジするスポーツに公正な審判などありえない。まして、人の生き死にに関わる原発の稼働の当否を決める場に、こんな人物たちがいること自体がありえない。いわゆる「利益相反」の委員が大勢参加していて、傍聴人を閉め出す非民主主義な意見聴取会に、客観的・中立的判断が下せる筈がない。
 
(問題点その2)
「ストレステスト」には、そもそも始めから「判断基準」それ自体が存在していない!今回の我が国のストレステストの原案となったのが欧州共同体EUのストレステストでも、始めから「判断基準」それ自体が存在していない!「判断基準」も全く持たないような「テスト」をいくら行ったとしても、評価基準自体が存在しない以上、全国の原発を「安全」だ等と、評価案出すこと自体が、恣意的・主観的な結論でしかないことは明らか。
 
(問題点その3)
「ストレステスト」には、原発稼働の当否を決める法的権限も全くない。内閣府(行政)の権力遂行の口実提供以外の何ものでもない。
 
(問題点その4)
 今回の「ストレステストに係る意見聴取会」の主催者である経済産業省と、同省内の一機関である「原子力安全・保安院」の無責任と怠慢が、福島第一原発事故を起こしてきたにも係わらず、原発地域住民の健康を脅かす「傷害事件」を伴った重大事故の責任(少なくとも結果責任、道義責任)を、誰一人、いまだに取ろうともしないまま、ストレステストを云々する資格が無いことも自明。
 
(問題点その5)
 事故の再発防止を真剣に望むなら、何よりも福島第一原発事故の原因究明を真っ先に行い、かつ事故の責任を取り、「経済産業省」並びに「原子力安全・保安院」の主要関係者は全員辞職すべき。
 責任も取らず、事故原因究明も全くおこなわず、犯罪加害者が福島第一原発事故を除く、全国各地の原発の安全性を、専門家と称する「原発推進派のエセ学者や技術者や官僚」を総動員した「やらせ」であり「茶番」である。
 
(問題点その6)
 人身事故にまで発展した暴走事故を起こした欠陥自動車を製造したメーカーやそれを認可した官僚が、問題の事故車の事故調査も事故原因調査も全くせず、自らのメーカーの責任を問うこともせず、同様の暴走事故を招く可能性が極めて高いその会社の他の自動車の暴走事故は絶対起きません!安全です!といったような説明をそのメーカや監督省庁が言うとすれば、そんな茶番を、信用する国民はいないだろう!主権者の国民を愚弄する以外の何ものでもない。
 
(問題点その7)
 「原発の安全」をチェックするはずの経産省と原子力安全・保安院は、電力業界と一体になって原発を推進し、原発立地自治体の説明会で「やらせ」まで指示してきている組織であり、中立性がないことは事故以前までの数多くの事例からも明らか。福島第一原発事故事故発生以降の事故対応でも、数々の隠蔽、情報隠し、無責任な情報の垂れ流し放題を続けてきた張本人。
 
(問題点その8)
 こうした経産省及び原子力安全・保安院が、「専門家の審議」という言葉で、国民大衆の無知につけ込み、権威や専門性で脅し、客観的科学的合理的結論であるかのように擬装させ、原発再稼働のお墨付きを得ようとすることは、国民を恫喝することである。
 
(問題点その9)
 今回の「ストレステストに係る意見聴取会」の後にすぐ続いて、IAEA(国際原子力機関)の来日も組み合わされている。IAEAや国際放射線防護委員会(ICRP)の安全値は、全く科学的根拠の無い「政治的見地からだけできめられた放射能値」でしかないことは、国際放射線防護委員会(ICRP)事務局長自身が言明していることからも明らか!
http://matome.naver.jp/odai/2130135738661742901/2132514465921397203
 
(問題点その10)
 「ストレステストに係る意見聴取会」とIAEA(国際原子力機関)の連動した「核兵器開発維持仲良しクラブ」「国際的マフィア」どもに、「放射能に関する国際的安全基準値」を決定する資格も無いことは明らか。
 世界の人々のいのちの安全の確保と健康促進を担当すべきWHO(国連世界保健機構)でさえ、放射能の国際基準値や安全対策には全く手出しはできず、WHOの頭越しに、核兵器や原子炉開発を管理コントロールするIAEAが一手に独占的に支配してきている。
 
(問題点その11)
 傍聴者を閉め出し、別会場に会場を移動させてまで強行し、会議が混乱したことを「ストレステストに係る意見聴取会」の原発賛成派の委員たちに謝罪した枝経済産業大臣は、謝罪する相手を間違えている。国民大衆に向かって、とりわけ原発放射能の被害者に対して謝罪すべき!事故を引き起こしてきた当事者の身内に対し茶番劇会議の開催が円滑にできなかったことを謝罪することも、これまた主権者である国民大衆を愚弄する茶番でしかない。
 
(問題点その12)
「ストレステスト」はあくまで、机上の数字の計算でしかない。すなわち、コンピュータを使った仮想上の(ヴァーチャルな)「原発の耐久性テスト」をペーパーやパソコンの画面上で予測するものでしかない。その結果の真偽は、実際の地震・津波でしか確認することができないというシロモノである。
 
(問題点その13)
「原発の耐久性」についても、航空機の激突や隕石の衝突、テロや突発事故までも含めて考慮すべきというのが、国際的にも主流となっているにもかかわらず、今回の「ストレステスト」では、そうしたことを考慮した計算は全くなされていない。
 
(問題点その14)
 福島事故を引き起こした当事者として責任を問われ、近く環境省への移管・再編が言われている保安院に、原発再稼働の当否を決める資格はない。
 
(問題点その15)
 枝野経産相は、東電が選んだ「電力業界に貢献した政治家トップ10」に入るような人物(朝日新聞1月8日)。特定の業界・企業から献金を受けた人物が、その業界の利益に直接結びつくような省庁の大臣を務めるのはふさわしくない。枝野経産相は辞任するのが当然!
 
(問題点その16)
「原発に想定外などあってはならない」これは、福島事故の最大の教訓である。しかし、「ストレステスト」では「想定外」を最初から度外視されている。そんな茶番の「お墨付き」で原発再稼働させ、国民の生命を脅かすことは断固許されない。
 
(問題点その17)
この「ストレステスト」のお墨付で原発再稼働させ、ベトナムやヨルダンなど、諸外国に日本の原子炉の売込みを図る日本政府の行為は、暴走事故を起こした欠陥自動車を外国に売り込むようなもの。ヨルダンの人口の半分(70%)以上はパレスチナ人。我が国の原子炉は元来原子力潜水艦搭載用の軽水炉型原子炉であり海水など多量の冷却水を前提とする設計である。
 海洋も無く、飲料や産業用水にも事欠く内陸部のヨルダンで、軽水炉型の原発を運転することは非常に無理があり危険。原発事故での大量冷却水の確保も非常に困難となる。イスラエルによる抑圧に加え、更に放射能汚染の恐怖という苦痛を更に加えることは到底許されない。
 
 ====以下、東京の杉原浩司(福島原発事故緊急会議/みどりの未来)からの一部転載です====
 
 意見聴取会の3委員の「利益相反」が暴露されても、平気で都合の悪い文書の白抜きを行い、判断基準も決めないままに大飯原発3、4号機は「安全」だとの根拠なき評価案を傍聴者を締め出してまで出そうとする。
 
 これこそが「やらせ」であり「茶番」であり「犯罪」であり、未曾有の巨大事故を引き起こした「原子力ムラ」の変わらぬ作法なのです。
 
 意見聴取会を監視し、危険な再稼働を食い止める責任が私たちにあります。堂々と出来得る限りの抵抗を行い、脱原発派の2委員(後藤政志さん、井野博満さん)と連帯して、再稼働を断念させる道をさらに切り開こうと思っています。ともに声をあげてくださるよう、心から呼びかけます。
 
 地元選出の国会議員にも「こんな茶番を黙認するのか」と問いかけてください。
 
【経産省】
広報 (FAX)03-3501-6942
 
【原子力安全・保安院】
代表 (TEL)03-3501-1511
広報課 (TEL)03-3501-5890
原子力安全技術基盤課(ストレステストを担当)
(FAX)03-3580-5971 (TEL)03-3501-0621
メールによるお問い合わせ:ご質問・ご意見(保安院HP)
https://wwws.meti.go.jp/nisa/index.html
 
【枝野幸男経産相】
[国会事務所]
(FAX)03-3591-2249   (TEL)03-3508-7448
[地元・大宮事務所]
(FAX)048-648-9125  (TEL)048-648-9124
 
■インチキな「ストレステスト」で再稼働を決めるな!
■原発は大量殺人の装置だ!「殺されてたまるか!」
 
**転送/転載/拡散歓迎**
 
 半田良平(はんだりょうへい)という歌人(1887年~1945年)がいた。栃木県生まれ。生涯東京中学教員だった。中学生のころから作歌し、窪田空穂(くぼたうつぼ)の「十月会」に参加し『国民文学』創刊に加わる。1919年(大正8)刊の歌集『野づかさ』がある。写実的・農民的な歌風は骨太い。昭和期には、戦争への重苦しい時代を見抜く知的な重い作品がある。没後の『幸木(こうぼく)』(1948年)にも、戦死の子を歌う悲痛な作を残している。
 
 この半田良平の歌のひとつに
 
「若きらが親に先立ち去ぬる世を幾世し積まば国は栄えむ」
 
という歌がある。学徒出陣で散華した若人(我が子であろうか?)の死を悼む心打たれる短歌である。この歌に触発され、私(諸留)も、以下の歌二首、作ってみました。
 
 
 今の世の親の原発求むゆえ幾世し経ても汚染続かむ
 
 「安全といってくれれば安心だ」政府依存の民衆神話
 
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《パレスチナに平和を京都の会》