今年3月「政府が地対艦誘導弾の新たなミサイル部隊を沖縄本島に配備する方向で検討」と報じられた。宮古島市では700~800人規模の警備部隊と地対空・地対艦ミサイル部隊の配備が強行されている。与那国島では2016年に陸上自衛隊の沿岸監視隊が発足した。防衛省は今後、宮古島や石垣島のほか、奄美大島にもミサイル部隊と防空を任務とする地対空ミサイル部隊、警備を担当する部隊を配備する計画だ。南西諸島は「要塞の島」と化し、標的にされかねない。
石垣島への陸自配備
石垣市平得大俣に陸上自衛隊の警備部隊・ミサイル部隊600人規模の配備計画が進められている。配備手続き開始を了承した中山義隆市長は「ミサイル基地には明確に反対する。市民の意見を聞いて判断したい」と矛盾した発言を繰り返す。
5月16日、「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」の抗議行動に参加した。同夜、市長は大本小学校体育館で配備予定地周辺の4地区(川原・嵩田・開南・於茂登=4地区公民館ともに配備反対決議)のうち開南・於茂登両地区との「意見交換会」を強行=https://www.youtube.com/watch?v=e5HJ3aQ6IBYしたが、50世帯のうち出席住民はわずか7人。近隣なども含めた住民80人が小学校校門前で抗議集会を開催し、入場する市長に配備計画の白紙撤回と、市民との“対話”を求める「要請書」を手渡そうとしたが、完全に黙殺された。これは、意見交換会の開催により「市民の意見を聞いた」とする既成事実化を謀る卑劣な手法だ。
抗議集会では、4地区の公民館長が口々に「これまで、市に対する要請も、市からのボランティア依頼も全て公民館を窓口にしてきた。公民館の頭越しでの開催は住民自治を無視するものだ」と訴え、大本小学校PTA会長は「子ども達の学びの場である学校を政治的な目的で使用するのは、子ども達への配慮が足りない」と怒りの発言。(沖縄では字ごとに公民館が設置され、子ども会・青年会・婦人会・老人会が地域活動を展開。6月からは公民館の広場で毎夜エイサーの練習が始まる)
さらに、市は配備予定地周辺の川原・嵩田地区住民を対象にした意見交換会を5月31日に川原小学校で開催するとの通知を両地区住民75世帯に配布した。4公民館を含む「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」は、全市民を対象とした“対話”の場を求めている。16日と同様の強硬姿勢は、4公民館が話し合いを拒否しているように見せかけて、地域の分断を謀っている。
陸自配備は石垣島だけの問題ではない! “自然 いのち 未来”を守るために、南西諸島の軍事要塞化を許す訳にはいかない!!
①市長への「要請書」、②平得大俣の陸自配備候補地(中央付近)、③予定地に掲げられているバナー、④18:30~小学校正門前での抗議集会、⑤道路から会場の体育館内を?
もう一つの沖縄戦…「戦争マラリア」
沖縄戦と言えば、沖縄本島の悲惨な地上戦を思い浮かべる方も多いと思うが、八重山諸島でも軍命!による強制疎開でマラリアに感染し亡くなられた犠牲者が3,647人にも上っている。
5月16日、石垣島の山里節子さんに八重山平和祈念館(戦争マラリアについて、ジオラマや当時の道具・遺品・資料・写真・地図などで説明)はじめ戦跡をご案内いただいた。マラリアは熱帯から亜熱帯にかけてよく発生する感染症で、マラリア原虫を持つハマダラカという蚊が媒体。高熱や頭痛、吐き気などの症状があり、悪性の場合は脳マラリアによる意識障害や腎不全などを起こし死に至る。当時の総人口が31,701人であった八重山の罹患者数は16,884人、実に半数もの人々がマラリア有病地への強制避難によりに罹患させられたのだ。とくに波照間島の被害が大きく、それは陸軍中野学校から送り込まれた山下虎雄陸軍軍曹というスパイが、暴力的かつ強制的に住民を西表島に疎開させたことが原因だった。
住民たちの“いのち”を奪ったのは「友軍」と呼ばれた自国軍である。軍隊との共存は、その地域の住民たちが軍事作戦のために利用され、最後には切り捨てられることだ。「軍隊は住民を守らない!」…沖縄戦を生き抜いた人々が得た教訓である。
①・②戦争マラリアの実態。節子さんはじめお会いした方々すべてがマラリアに罹患したが生き抜いた。③石垣市街地…空はどこまでも青く、グラデーションの美しい海はどこまでも碧い。
少年ゲリラ兵・戦争マラリア・スパイ虐殺・陸軍中野学校の闇を描いた映画『沖縄スパイ戦史=https://www.facebook.com/spy.senshi/』が7月21日(土)~那覇市・桜坂劇場、7月28日(土)~東京・ポレポレ東中野で公開される。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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