ある大学の教職倫理学の授業で単元単位制についての「ちきゅう座」記事を紹介したところ、以下のような質問がコメント用紙に書かれて応答したので、「ちきゅう座」の読者にも一応参考にしていただけたらと思う。
単元単位制導入について
問 単元単位制は確かにすごく効率の良いシステムだと思うし、学力も上がると思います。でも、日本人の性格から考えて、イジメにつながるのではないでしょうか、賛成できません。
答 イジメる人は何でもイジメのネタにしてしまいますから、早く進んだり、なかなかついてこれなくて、単元が遅れたりするとイジメにあうことは考えられます。しかし現在でも、同じ単元を勉強していて、成績が良すぎたり、悪かったりするとイジメられています。
イジメが生じないようにするにはどうすればよいかを考えるべきで、イジメが生じるから採用しないとなると、改革しなければならないのに、改革できないということになります。
たとえば単元を一通り、習い終えたところで定期試験の前に復習テストを実施し、分からなかった箇所を板書させて、分かった生徒に説明させるとかの教え合いを授業に取り入れて、連帯感を持たせ、できるだけ皆が達成して次にいけるようにするとか工夫すれば、イジメは減ると思います。
問 単元単位制は学力の点においてはとてもいいと思いますが、学校の役割には人格の完成という目的もあり、心においての成長も必要とされています。その二つをどのようなバランスや方法で行っていけばいいのかがこれからの課題ではないでしょうか?
答 学力と人格のバランスが大切だというのは全く同感です。単元単位制にすれば人格の完成にどのような支障が出ると予想されているのでしょうか?おそらく達成速度に差があることから、おごりや妬みが生じて人格をゆがめるということでしょう。
それなら、習熟度でクラス分けをしたり、学区を拡大して学校格差を極端にしたりしてきましたが、やはり差は歴然とされているのでおごりや妬みが生じ、そこからさまざまな問題が噴出し、教育危機になっているのが現状ではないでしょうか。
単元単位制にすれば、到達度の同じ生徒のクラスになるので学級格差も学校格差も必要なく、入学試験なども要りません。そこから生じる人格的な歪みが防げるのではないでしょうか?
そして得意科目ではどんどん上に行けて、自分の個性や特性を伸長させ、才能を発見できるわけです。また不得意科目では繰り返し基礎を学びなおして確かな実力をつけられるということで、コンプレックスの解消にもなるのではないでしょうか?
問 今、現在の小・中学生に「自身の向き不向きや得意・不得意」を把握して、その上で自身の方向性を自己決定できるという論拠がないのならば、単元単位制の導入は時期尚早ではないでしょうか?
答 大学で履修登録で悩んでおられるので、小中学生に単位制は無理と考えられたのではないでしょうか?小中学生に自由に科目選択をさせようという発想ではありません。単元目標を達成したら、次の単元にいけるということで、達成しなかったら、補習や自修、マンツーマン指導などで遅れを取り戻させようということです。ですから精神的に未成熟だから無理や混乱が生じるということはありません。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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