東京電力福島第一原子力発電所の事故から13年余を経た9月16日(祝日)、東京の代々木公園で、「命をつなぐ地球環境を 9・16 さようなら原発全国集会」が開かれた。集会を主催したのは、「さようなら原発」一千万署名市民の会。同市民の会は、事故直後から毎年、春と秋に「さようなら原発全国集会」を開いてきたが、今秋は、政府と電力会社による原発推進がひときわ目立つところから、会場では「なんとしても原発の再稼働を許すな」の声がこだました。
集会参加者は主催者発表によると約5000人。旧総評系労組の組合員、とりわけ、全国からやってきた日教組、自治労の労組員が目立った。それに引き換え、一般市民の姿がいつもより少ないように思われた。この日が「三連休」の最後の日にあたったうえ、集会開会前に雨が降ったことが影響したようだ。
原発問題が議論されない自民党総裁選
集会は午後1時30分に開会。まず、市民の会よびかけ人の佐高信さん(評論家)が主催者あいさつしたが、その中で、「福島の人に聞いた話だが、東日本大震災の時、東電が真っ先にやったのは社員の家族への避難指示だったという。自分たちの特権が優先され、私たち国民の人権は後回しにされた。こんな差別を許しいはいけない」と述べた。
市民の会呼びかけ人の落合恵子さん(作家)もあいさつしたが、「福島第一原発の事故が起きてから13年になる。この間、歳を重ねてきたが、その中で学んだことがある。それは、決して諦めるな、ということだ。諦めずにやってゆけば、必ず正義が打ち勝つ。子どもたちには、原発のない社会を残したい」と述べ、さらに、こう続けた。「自民党総裁選が行われている。『刷新』を唱える候補がいるが、何を刷新するのかわからない。原発に関する議論はほとんどない。メデイアも、原発をどうするつもりなんだ、と突っ込まない。ジャーナリズムはもっと頑張ってほしい」
会場に川柳あらわれる。作者も、のほりを持った人も乱鬼龍さん
各地で再稼働反対の動き
この後、原発各地で原発の再稼働に反対している団体の代表が登壇。宮城県の女川原発の再稼働に反対している団体の代表は「東電の女川原発は今年の11月に再稼働すると言われている。東北で震災被害原発が再稼働するのは初めてだ。女川原発の原子炉は東日本大震災で事故を起こした福島第一原発の原子炉と同じ沸騰水型なので、住民の不安は大きい」と話し、茨城県の東海第二原発の再稼働に反対している団体関係者は「防波堤の施工不良が内部告発で明らかになった。私たちは日本原子力発電の隠蔽体質を問題にしている」と述べた。
新潟県の東電・柏崎刈羽原発の再稼働に反対している新潟平和運動センターの関係者は、同原発の再稼働について、県民投票で賛否を問うための条例制定を新潟県に求める署名活動が行われることになった、と報告した。
さようなら原発全国集会は昨年9月の集会から「気候変動問題」にも取り組むことになったが、この日は環境団体「Fridays For Future Tokyo」の代表が登壇し、「気候変動により世界各地で大災害が生じている。気候危機はこの10年が正念場。何をするかだ。なのに、自民党総裁選では話題になっていない」と語った。
辺野古基地反対ののぼりも
閉会あいさつに立った、市民の会の呼びかけ人の鎌田慧さん(ルポライター)が、次のように締め括った。「原発の廃棄物を処理するためにつくられた青森県六カ所村の再処理工場は27年たっても運転できない。民間企業だったらとうに破綻している。なのに、政府はあくまでも推進するという。私たちの力でやめさせよう」
集会の終了時には一斉にプラカードを掲げて
集会の後、参加者は2コースに分かれてデモ行進した。
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