原発週報 2024.9.4~9.10 編集:漆原牧久

原発再稼働へ知事は早期判断を 新潟・柏崎市長が認識示す
2024年9月4日 17時50分 東京新聞
新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は4日の記者会見で、同県の東京電力柏崎刈羽原発7号機の再稼働を巡り、花角英世知事が地元同意への態度を早期に判断すべきだとの認識を示した。11月にも再稼働する宮城県の東北電力女川原発などに触れ、各地の動きと連携する必要があるとの考えもにじませた。

新潟県の防災対策検討会、上越沖断層の影響見直さず 津波避難は徒歩基本に車も検討へ
2024/9/4 20:55 産経新聞
新潟県は4日、防災対策に関する検討会を開き、政府の地震調査委員会が8月に公表した日本海側の海域活断層の長期評価を踏まえ、県の防災対策を巡り協議した。上越沖断層帯による地震被害は従来の想定内に収まるとして、対策見直しは不要だと結論付けた。終了後、座長の東大大学院の関谷直也教授(災害情報論)が明らかにした。

「全国警察で復興支援の取り組みを」警察庁長官 福島第一原発視察
2024年9月4日 16時40分 朝日新聞デジタル
警察庁の露木康浩長官は4日、東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の構内や周辺の被災地での警察の活動を視察した。露木長官は報道陣に「全国警察を挙げて復興支援のための取り組みを続けていきたい」と決意を示した。

原発事故に備えた新型核燃料開発へ、来春にも技術試験…収容管改良で水素爆発を低減
2024/09/04 15:00 読売新聞
原子力発電所の重大事故に備え、政府は来年4月にも、新型の核燃料「事故耐性燃料(ATF)」の開発に向けた技術試験を本格化させる。ウランを収める 被覆管を改良し、水素爆発の発生を抑える効果を見込む。米国の試験炉で放射線の照射試験を進め、2030年代の実用化を目指す。ATFは11年の東京電力福島第一原発事故を契機に各国の研究開発が始まった。

フランスで新型原子炉が稼働 着工から17年
2024年9月4日 4:46 日本経済新聞
フランス北西部フラマンビル原発で3日、新型原子炉の欧州加圧水型原子炉(EPR)が稼働した。2007年に着工したが工事が大幅に遅れ、17年後にようやく稼働にこぎ着けた。フランス原子力安全局(ASN)が2日、フランス電力公社(EDF)に対して核分裂の連鎖反応を始めるための作業を許可した。5月には試運転の許可を出しており、その後の査察で原子炉に問題がないことを確認したという。

ウクライナ 新規原子力発電所の建設を計画
9月4日 原子力産業新聞
ウクライナの原子力発電会社であるエネルゴアトム社は8月27日、新規原子力発電所となる、チヒリン(Chyhyryn)発電所の建設計画を明らかにした。同発電所サイトは、同国中央部のチェルカースィ州オルビタ町の近くのチヒリンに所在。2050年までのウクライナのエネルギー戦略では、原子力発電設備容量を現在の約1,380万kWeから、2,400万kWeへ拡大することを掲げており、エネルゴアトム社は同計画を、ロシアのウクライナ侵攻後の復興とエネルギー安全保障の確保に向けた看板プロジェクトと位置付けている。

東電社員、立ち会わず デブリ取り出し準備作業
2024年9月5日 5時00分 朝日新聞デジタル
東京電力福島第一原発の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し開始に向けた作業で手順のミスが見つかった問題で、東電は4日、事前の現場での準備作業に東電社員が立ち会っていなかったと明らかにした。東電は5日にも原因調査の結果と対策を発表する。

花角知事「論点は三つ」経済的利点は区別の考え 柏崎刈羽再稼働巡り
2024年9月5日 10時45分 朝日新聞デジタル
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、同県の花角英世知事は4日の定例記者会見で、原発の必要性と安全性、東電への信頼性の三つが論点になっているとの認識を示した。再稼働で地元が受ける経済的メリットについては、「論点と言えば論点だが、次元が違う」と述べ、三つの論点とは区別する考えを示した。

大手電力の設備投資比率、14年ぶり高水準 原発関連増加
2024年9月5日 18:34 日本経済新聞
大手電力会社の2025年3月期の売上高設備投資比率が14年ぶりの高水準になる見通しだ。中国電力や北海道電力では過去25年で最高になる。再稼働機運が高まる原子力発電所や脱炭素に必要な再生可能エネルギーなどへの投資が増える。資金調達や原発稼働後の投資回収が焦点になる。日本経済新聞が大手10社を対象に聞き取り、東京電力ホールディングス、東北電力、九州電力を除く7社から有効回答を得た。

規制委 「常陽」のRI生産で「審査書案」了承
9月5日 原子力産業新聞
原子力規制委員会は、9月4日の定例会合で、日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町、ナトリウム冷却型、熱出力100MW)における医療用ラジオアイソトープ(RI)の生産について、原子炉等規制法に照らし「適合している」とする「審査書案」を了承した。

福島県富岡町の帰宅困難区域で除染開始 環境省、原発事故で対象の全4町で作業入り
2024/9/5 18:02 産経新聞
環境省は5日、東京電力福島第1原発事故で福島県内7市町村に残る原則立ち入り禁止の帰還困難区域のうち、富岡町の特定帰還居住区域で除染作業に着手した。これにより特定区域が設定された双葉、大熊、浪江、富岡4町全てで作業が始まった。空間放射線量を下げて、帰還希望者宅と周辺生活圏の避難指示解除につなげる。

スイス 原子力発電所新設禁止を撤廃へ
9月5日 原子力産業新聞
スイス連邦政府は8月28日、国内のエネルギー安全保障強化に向け、原子力発電所の新規建設禁止を撤廃する考えを表明。A. レスティ環境・交通・エネルギー・通信大臣は、長期的な視点から増大する電力需要に対応するため、原子力発電を含む、あらゆる選択肢を堅持する必要性を強調した。

デブリ取り出し、来週以降に着手 福島第一
2024年9月6日 5時00分 朝日新聞デジタル
東京電力福島第一原発2号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出しをめぐり、東電は5日、準備作業での手順ミスの原因調査結果と今後の対応方針を発表した。手順の見直しなどに数日かかるといい、取り出しの着手は週明け以降になる見通し。

使用済み核燃料 今年度内に新搬出計画
2024/09/06 05:00 読売新聞
原子力発電所でたまり続ける使用済み核燃料の県外搬出で、関西電力は5日、新たな搬出計画を今年度内に示す方針を県に伝えた。計画の前提となる日本原燃の再処理工場(青森県六ヶ所村)の完成が大幅に遅れるためで、期限を守れなければ40年を超えて運転する原発3基を止める覚悟という。

志賀原発、既存評価に影響なし 規制委が審査会合
2024年9月6日 19:40 日本経済新聞
原子力規制委員会は6日、北陸電力の志賀原子力発電所(石川県志賀町)の能登半島地震の影響を巡り安全審査の会合を開いた。敷地内に79カ所の変状が発生したことなどに対し、規制委は原因の詳細な説明を求めていた。北陸電は掘削調査で亀裂が表面のアスファルトにのみ発生した点を示し、規制委は「敷地内に活断層はない」という既存評価を改めて了承した。

パイプ並べ替えを7日に開始 東電、福島第1原発のデブリ取り出し中断で
2024/9/6 19:24 産経新聞
東京電力福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)取り出しが、装置を原子炉格納容器に押し込むパイプ5本の配置順間違いのため中断した問題で、東電は6日、パイプを正しい順序に並べ替える作業を7日に始めると発表した。数日かかる見通し。

UAE バラカ4号機が営業運転開始
9月6日 原子力産業新聞
アラブ首長国連邦(UAE)の首長国原子力会社(ENEC)社が所有するバラカ原子力発電所の4号機(APR1400、140万kWe)が、9月5日に営業運転を開始した。これにより、同発電所は全基が運転中となった。UAE初の原子力発電所であるバラカ発電所は、2012年7月からUAE北部のアブダビ首長国で建設工事が本格的に始まり、1、2、3号機はそれぞれ2021年4月、2022年3月、2023年2月から営業運転を開始している。

島根原発の敷地内で養生マット燃える けが人や放射性物質の漏れなし
2024年9月7日 19時32分 朝日新聞デジタル
7日午前9時ごろ、松江市鹿島町片句の中国電力島根原子力発電所の敷地内で、コンクリート用の養生マットが燃える火災があった。中電によると、協力会社の作業員が消火器で消し止め、けが人や放射性物質の漏れはないという。

「来年2月再稼働」の日程で確認申請 柏崎刈羽原発6号機で東京電力
2024年9月7日 11時00分 朝日新聞デジタル
東京電力は6日、柏崎刈羽原発6号機の使用前確認申請を原子力規制委員会に行った。認可された詳細設計通りに安全対策工事が実施されていることの確認を求めるための手続きで、申請に添付された工事工程表では「来年2月再稼働」の日程が示された。

実験炉常陽の運転再開を事実上容認 もんじゅ廃炉で国内唯一の高速炉
2024年9月7日 10時00分 朝日新聞デジタル
日本原子力研究開発機構が2026年度半ばに運転再開をめざす高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の安全対策工事について、県と大洗町は6日、原子力安全協定に基づく事前了解をした。事実上の運転再開容認になる。

柏崎刈羽原発の再稼働へ「具体的対応」指示 首相、次期政権にタガ?
2024年9月7日 8時00分 朝日新聞デジタル
政府は6日、原子力関係閣僚会議を開き、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた対策を協議した。県が求めている事故時の避難道路や屋内退避施設の整備について、予算を確保して具体策をつくる方針を決めた。新たに国と県との協議の場も設ける。

柏崎刈羽の避難道路、国が整備方針 新潟県は具体化協議の行方注視
2024年9月7日 8時00分 朝日新聞デジタル
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、政府の原子力関係閣僚会議が6日開かれ、新潟県が要望していた避難道路を国が整備する方針が決まった。花角英世知事が再稼働に関して掲げる「議論の材料」の一つにあたり、県は、どう具体化するかを注視する考えだ。

6度目延期、大間原発の安全対策工事 運転開始メドなし、なぜ推進?
2024年9月7日 6時00分 朝日新聞デジタル
青森県大間町で大間原発を建設中の電源開発(Jパワー)は6日、今年後半としていた安全対策工事の開始時期を延期すると明らかにした。延期は6回目で、原子力規制委員会の審査が長引いていることが要因。運転開始目標は工期を短縮するなどして2030年度のまま据え置くが、メドは立っていない。
  
柏崎刈羽原発再稼働の是非問う「県民投票」目指し10月に署名活動開始へ 市民有志、新潟県内で12年ぶり「県民の声の可視化を」 2024/9/8 5:00 新潟日報
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の実現を目指す新潟県内の市民有志が9月7日、新潟県三条市で会合を開き花角英世知事に対し、県民投票条例制定を求める直接請求に必要な署名集めを行うことを正式に決めた。10月に署名活動を開始する予定。県内で同様の署名活動が行われれば2012年以来、12年ぶりとなる。

実効性なければ「乾式貯蔵」認めず 使用済み燃料の工程見直しで知事
2024年9月8日 11時00分 朝日新聞デジタル
福井県内の原発にたまる使用済み核燃料の搬出へ向けた関西電力のロードマップ(工程表)の見直しをめぐり、杉本達治知事は6日の記者会見で、関電が今年度末までとした期限内に、実効性のある工程表が示されない場合は、使用済み核燃料を原発内に一時保管する「乾式貯蔵」を認めない考えを明らかにした。杉本知事は「(新たな工程表が)必要な搬出容量を継続的に確保していける内容かどうかだ」とし、「今回の(ロードマップの)話に決着がつかなければ、乾式貯蔵の事前了解はない」と述べた。

東北電力、女川原発2号機の燃料装荷完了
2024年9月9日 18:10 日本経済新聞
東北電力は9日、女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機で、原子炉に560体の核燃料を入れる燃料装荷の作業を同日午後に終了したと発表した。同原発は10月末ごろに原子炉を起動する計画で、9月3日に燃料装荷に着手していた。おおむね計画通りに完了できたとしている。今後は原子炉の圧力容器や原子炉を覆う格納容器の組み立てと、組み立てた設備の健全性を確認する検査の工程に移る。

除染土の再生利用、IAEA「安全基準に合致」 環境省は省令策定へ
2024年9月10日 16時37分 朝日新聞デジタル
東京電力福島第一原発の事故後の除染で出た「除染土」を全国で再生利用する事業について、国際原子力機関(IAEA)は10日、環境省によるこれまでの取り組み内容や手法がIAEAの安全基準に合致しているとの報告書をまとめた。こうした見解を踏まえ、環境省は年度内に再生利用の詳細な基準などをまとめた省令を策定する。

福島第一、デブリ取り出し着手
2024年9月10日 16時30分 朝日新聞デジタル
東京電力は10日朝、福島第一原発2号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出しに着手した。今後2週間程度かけ、原子炉格納容器の底部から3グラム以下の燃料デブリを取り出す方針。政府と東電は当初、2021年の取り出し開始を予定していたが、約3年遅れとなった。

福島第一原発のデブリ取り出し、初日は午前8時前に終了…東京電力が夕方に公表
2024/09/10 18:01 読売新聞
東京電力が10日に着手した福島第一原子力発電所2号機の溶融燃料(デブリ)の試験的な取り出しは、午前7時53分にこの日の作業を終えた。東電が10日夕、明らかにした。デブリの取り出しは廃炉の最難関とされ、当初は8月22日に着手する予定だった。

「信用できない」「40年超運転の原発、止めよ」福井県議会で声噴出
2024年9月10日 13時00分 朝日新聞デジタル
関西電力の原発にたまる使用済み核燃料の福井県外搬出のロードマップ(工程表)について、関電と資源エネルギー庁が9日、県議会で見直しの方針を説明した。県への提示から1年足らずで工程表が崩れたことに対し、県議からは「もう信用できない」との声が噴出。工程表を前提に県議会でも運転を容認した、40年超運転となる美浜原発3号機、高浜原発1、2号機の老朽原発3基を「止めよ」と迫った。

関係閣僚会議を要請 青森知事、再処理工場延期で
2024年9月10日 5時00分 朝日新聞デジタル
核燃料サイクルの中核を担う使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成が大幅に遅れていることについて、宮下宗一郎知事が9日に経済産業省を訪れ、関係閣僚を集めた会議を開いて対応を協議するよう求めた。宮下知事は工場を建設する日本原燃の経営責任も追及する構えだ。

ガーナ 米製SMRを1基導入へ
9月10日 原子力産業新聞
ガーナの原子力発電公社(NPG)は8月29日、米国のレグナム・テクノロジー・グループと、ガーナに米ニュースケール社製の小型モジュール炉(SMR)「VOYGR-12」を1基建設することで合意した。「VOYGR-12」は、ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)を12基組み合わせた発電プラント。レグナム社は、ニュースケール社などと提携する原子力プロジェクト開発会社で、近くNPG社とガーナで「VOYGR-12」を所有/運転する子会社を設立する計画だ。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5756:240916〕