「英国のセラフィールド(Sellafield)ほど放射能汚染された地域は旧ソ連と日本を除けば何処にもない。」と、南ドイツ新聞2013年2月5日付の記事「セラフィールド-原子力の値段」は述べています。
1957年10月10日 には、イギリスのセラフィールド原子力施設(当時はウィンズケールと呼ばれた)で火災事故が発生しています。軍事用プルトニウムを生産するウィンズケール原子力工場(現セラフィールド核燃料再処理工場)の原子炉で発生した火事は16時間燃え続けて、多量の放射性物質を放出しました。隠蔽は原子力事故に付き纏う恐ろしいものですが、ウィンズケールもその例外ではなく、避難命令が出されなかったため、地元の住民は一生許容線量の10倍の放射線量を被 曝しました。(インフォメーション‐Wikipediaより)
そして今も、セラフィールドは放射能汚染されています。
私は、1990年代後半にセラフィールドで、何らかの建設作業に関わったスコットランド出身の土木技師を知っていました。その方はセラフィールドでの仕事を終えた数年後に、肺ガンを患い他界されました。煙草を吸ったことのない人でした。彼の死後、「肺ガンになったのは、セラフィールドでプルトニウム粒子を吸い込んだのが原因ではないかと彼は疑っていた」と、あるイギリス人の知人が話してくれました。
放射能汚染されているセラフィールドは、クリーンアップされる必要があり、究極的には廃炉されなければなりません。クリーンアップおよび廃炉の作業には私達が測り知れないほどの莫大なコストがかかります。そして最終的に、このコストを支払うのは運営者ではなく、納税者である国民となることでしょう。
更に、原子力に付き物の核廃棄物処理問題があります。2013年2月4日付の*BBCオンラインニュースは、「セラフィールド敷地に置かれた放射性廃棄物を処理するための解決法として、カンブリア(Cumbria)の西部に核廃棄物貯蔵施設を設置しようというプランがあったが、この案はカンブリア・カウ ンティ議会によって拒否された。」と報道しています。原子力に足を突っ込んでしまったからには、核廃棄物処理問題は人類にとっての永遠の課題となるようです。
下が原文へのリンクです。:
http://www.sueddeutsche.de/wissen/sellafield-preis-der-atomkraft-1.1591684
最後に、「福島県鮫川村の実験的高放射性廃棄物焼却施設建設の白紙撤回要請」の**英文サイト「We demand cancellation of an experimental incineration facility in Fukushima」に署名して下さった海外の人達(ドイツ人ばかりですが)がサイトにコメントを記入していますので、それを和訳して幾つかご紹介させて戴きます。フクシマの人々の叫びに耳を傾けた反原発者の力強い抗議の声です。:
1)放射能は地元だけの問題ではなく、地域、国の問題だ。プルトニウムの半減期は24,100年。これは世界中の人類に関わる問題だ
アレクサンダー・ノイロイター (ドイツ)
2)もうこれ以上フクシマ地域を放射能汚染するな!もうたくさんだ!
カール W. コッフ (ドイツ)
3)生きるということは人間と自然を尊重することだ。:実験による更なる汚染はやめろ!
ビルギットゥ・ベンダー (ドイツ)
4)実績なしの方法で二次汚染を起こすな!
アネリー・シャルフェンシュタイン (ドイツ)
5)これは未来の世代に対して全く無責任な最悪の方法だ。
トーマス・ヨーヒム (ドイツ)
6) 焼却することによって放射能が、ありとあらゆる地方に拡散される。
マリー‐ローゼ・ヨース (ドイツ)
7) 核ゴミを燃やすな!
ヨハネス・ブルーダーズ(ドイツ)
8)放射能を燃やすことなんてできない!国中に拡散するな!人々が死んでいく!
ケルスティン・ルデク (ドイツ)
概説:セラフィールド - 原子力のコスト
南ドイツ新聞ー2013年2月5日付
英国のセラフィールド原子力施設 (写真:Getty Images)
英国のセラフィールド原子力施設は1957年に発生した火災で既に損傷を受けている。しかも、プルトニウム増殖炉の廃墟は依然として撤去取り壊しされるのを待っている状態にある。その上、放射化学作業によって産み出された核廃棄物も処理されなければならない。これは英国政府にとって2120年までに780億ユーロのコストがかかると算定されている。
セラフィールドほど汚染された地域は、旧ソ連と日本を除けば何処にもない。
英国の原子力施設はアイルランド海に臨みイギリスの北西部に位置していて、嘗ては核燃料サイクル(ウラン-プルトニウム・サイクル)の全ての部門、核燃料工場、原子炉、再処理施設が一つの場所にあった。
セラフィールドで遂行された放射化学作業の廃棄物は部分的に、敷地にあるポンドやサイロ、漏れのあるタンクに貯蔵されている。その上、管理者は1957年の火災で損傷されたプルトニウム増殖炉を取り壊さなければならない。
月曜日、「このコストは高くつく」と英国議会下院の委員会は確定した。
現在の時点で、政府はセラフィールドだけで、2120年までに総額675億ポンド(780億ユーロ)のクリーンアップ・コストが掛かると算定している。それに付け加えて更に、他の原子力施設のための費用325億ポンドが加算される。これらのコストを合わせると概算総額が1,000億ポンドとなる。そして議員たちは、実際にはこれからもコストが更に上昇していくであろうと期待している。
2007年においては未だ、総合コストが610億ポンドと推算されていたのである。「歴代の政権が核の廃炉問題に関して対処しようとしなかった」と委員会は批判している。
セラフィールドで遂行されるべき14のプロジェクトの内、12のプロジェクトが予定より遅れている。
以上
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*BBCオンラインニュース:http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-cumbria-21298117
**英文サイト「We demand cancellation of an experimental incineration facility in Fukushima」:
https://www.change.org/en-GB/petitions/we-demand-cancellation-of-an-experimental-incineration-facility-in-fukushima
セラフィールドWikipediaへのリンク:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2173:130208〕