国連人権事務所の特別報告官:「日本の特定秘密保護法」に懸念

日本ではNHKも報道したようですが、11月22日、国連人権高等弁務官事務所の特別報告官、フランク・ラ・ルー(Frank La Rue)氏とアナンド・グローバー(Anand Grover)氏が、日本の「特定秘密保護法案」について憂慮に満ちた声明を発表しました。

声明の中でフランク・ラ・ルー氏は、 「透明性は民主主義ガバナンスの基本である。情報を秘密と特定する根拠として、法案は極めて広範囲で曖昧のようである。その上、内部告発者、そして秘密を報道するジャーナリストにさえにも重大な脅威をはらんでいる。」との懸念を表明しています。

国連人権高等弁務官事務所のサイトに、その原文(英語)が掲載されています。:
高橋宗瑠さんが和訳して下さってネットにアップして下さっています。それをお借りして、下にコピー&ペーストして声明文をご紹介させて戴きます。藤田さん、高橋さん、翻訳を有り難うございます!

和訳文へのリンクは:

http://freedexjapan.files.wordpress.com/2013/11/e59bbde980a3e789b9e588a5e5a0b1e5918ae88085e5a3b0e6988ee3808ce7a798e5af86e4bf9de8adb7e6b395e3808d.pdf

日本: 特定秘密保護法案は透明性を脅かすものである

―国際連合特別報告者

ジュネーブ: 2013年11月21日: 国際連合人権理事会の特別報告者の二人が、日本国政府が国会に提出した特定秘密保護法案に関し、強い懸念を表明した。

表現の自由に関する特別報告者および健康への権利に関する特別報告者は、法案に関して日本政府にいくつもの質問事項を伝え、国際法における人権基準に照らし合わせた法案の適法性について、憂慮を表明した。

「透明性は民主主義ガバナンスの基本である。情報を秘密と特定する根拠として、法案は極めて広範囲で曖昧のようである。その上、内部告発者、そして秘密を報道するジャーナリストにさえにも重大な脅威をはらんでいる」と、表現の自由に関する特別報告者のフランク・ラ・ルーは述べた。

公共問題に関する情報を秘密にすることが正当であるのは、その情報が公開すされることで重大かつ実証可能な危険性があり、なおかつ、その危険性が情報を公開することによる公益性を上回る場合だけである、とラ・ルー氏が強調した。

「例外的に、情報が機密にされる必要があると当局が認めた場合でも、独立機関の審査が不可欠である」とラ・ルー氏が述べた。

特別報告者は法案にある、情報を公開した人に対する罰則について特に注目し、「違法行為や、公的機関による不正行為に関する情報を、公務員が正当な目的で機密情報を公開した場合、法的制裁から守られなければならない」と強調した。

「同じように、ジャーナリストや市民社会の代表などを含むそのほかの個人が、公益のためと信じて機密情報を受け取り、または流布しても、他の個人を重大な危険の差し迫った状況に追いやることがない限り、いかなる処罰も受けてはならない」、と言った。

健康への権利に関する特別報告者のアナンド・グローバーは去年日本を訪問し、福島原発問題への対応を調査した。彼は、緊急事態において常に完全なる透明性を確保することの重大性を強調し、「特に災害においては、市民が継続的かつ迅速に情報を提供されることは必要不可欠だ。それによって、市民が健康に関して正確な判断が下せるからだ」と述べた。

国連の特別報告者は、加盟国から選出される人権理事会が特定の人権問題に関して調査及び報告を任命する、独立した専門家です。

以上

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2469:131201〕