講師:川元祥一
第1回講座 「共同体間分業」とは?
Ⅰ 『社会理論研究 第14号』の池田勝雄論文は部落(被差別)が全社会・農山漁村町の間で分業関係なのを示した。この分業関係とは何か?なぜその分業が差別されるのか?
「社会分業には、共同体<内>分業と共同体<間>分業が存在〈略〉その場合『共同体内分業』として現われる生産諸力の発展が、『共同体間分業』の動向に打ち勝ったとき共同体が解体の方向に向う〈略〉部落問題の場合、その逆が成立したと考えてよい」
Ⅱ 私の村のこと
「天王山」の花見。そこから見る地域社会。「屠牛」の村と農村。人間の営為と差別。
花見は「国見」か? 「天王山」は牛頭天王? 氏神は「高山神社」神体は「牛の頭」
Ⅲ 部落共同体の形成 太閤検地の「共存」と「身分統制令」の兵農・商・職分離。
渡辺広はこの時期を「未解放部落の形成期と展開期の結節点」「封建的共同体―共同組織―が形成、河原者「かわた」が権力によって皮革生産者として把握され、居住地域も限定された時期」(『未解放部落の形成と展開』吉川弘文館16p)。差別分断=共同体間分業の成立。
Ⅳ 「共同体労働」「公務」 カール・マルクスのインド論「共同体は土地を共同で耕作し生産物を成員の間に分配し、各家庭は、紡いだり織ったりする。これらの他に、裁判官と警察官と徴税をする〈人民の長〉。農耕の計算・記録する記帳人。①犯罪者を追及、旅行者を保護する第三の役人。②近隣の共同体と自分の共同体の境界を見張る境界管理人。③農耕の共同貯水池から水を分配する監視人。④宗教的行事のバラモン。⑤共同体全体の費用で養われる人。⑥人口増加で元のものを模範として新しい共同体ができるとし、これらを「共同体機構」「共同体労働」と呼んでいる。そして「共同体労働を規制する法則は⑦自分の作業場ではどんな権威も認めることなく、自分の専門に属するあらゆる作業を行うのである」(『資本論』一巻・大月書店「マルクス・エンゲルス全集」23巻)。
Ⅴ 歴史に見る部落の「役」
水番、山番、牢番、街道守,警備役、斃牛処理、皮細工、刑場の労役、神社仏閣のキヨメ。
◇「長吏が鶴岡八幡宮の祭礼にあたり行列の先立を勤め、常時は八幡境内の掃除や雑用をした。その代償として彼らは祭りの興行権を与えられ収入源とした」(『御家人制の研究』「都市鎌倉における<地極>の風景」石井進・吉川弘文館106p)
【日時】 6月6日<金> 午後7時~9時
【場所】変革のアソシエ事務所・電話 TEL:03-5342-1395 JR中野駅南口歩5分(線路沿いに新宿方面へ。フランス料理店の隣。ニューグリーンビル3F301号室)
【参加費】 1人1回1000円 (最初の参加で、非会員の場合は、受講料の他に、「受講申込金」2000円が必要です。)
【部落講座およびフィルドワークへの問い合わせ先:山家誠一 MP:090-2429-2944】