大飯「妥当」審査書提出に井野・後藤委員が抗議の緊急声明

著者: 杉原浩司 : 福島原発事故緊急会議/みどりの未来
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東京の杉原浩司(福島原発事故緊急会議/みどりの未来)です。

東電福島第一原発事故が未だ収束せず、原因究明も終わらない中で、大飯原発3、4号機の再稼働手続きが急ピッチで進んでいます。傍聴者を締め出し、利益相反委員を居座らせたまま行われた2月8日の意見聴取会で、複数の委員が、ストレステスト一次評価の内容や手続きについて重要な指摘を行いました。しかし、保安院はそれらを無視して審査書を強引にまとめ、2月13日、原子力安全委員会への提出を強行しました。

 大飯原発「テスト妥当」評価を安全委へ(動画:2月13日、テレビ朝日)
 
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220213009.html

これに対して、13日夜、意見聴取会の井野博満委員、後藤政志委員が抗議の緊急声明を公表されました。

 審査書提出は「拙速」=保安院聴取会委員が抗議
 ―大飯原発・ストレステスト(2月13日、時事通信)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012021300948

重要な声明ですので、ぜひ一人でも多くの方に広めてください。転送、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどでご紹介ください。
[転送・転載歓迎/重複失礼]

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ストレステスト>井野委員・後藤委員の抗議声明
http://kkheisa.blog117.fc2.com/blog-entry-93.html

原発再稼働:大飯3・4号ストレステスト手続きに異議あり>2委員が抗議声明
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-8a6b.html

大飯原発ストレステスト「妥当」に、専門委員が抗議の緊急声明
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1306

◆抗議声明は以下のPDFでダウンロードできます
http://www.kk-heisa.com/data/2012-02-13_st_ino_goto.pdf

[関連]ストレステスト意見聴取会>強引な議論打ち切り?
【2/8意見聴取会提出:井野委員・後藤委員の質問書】ぜひご一読を!
http://kkheisa.blog117.fc2.com/blog-entry-92.html

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2012年2月13日

関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明

                 ストレステスト意見聴取会委員
                      井野博満・後藤政志

 原子力安全・保安院は、本日、関西電力大飯原発3・4号機の一次評価を「妥当」とする審査書を原子力安全委員会に提出しました。私たちは、このような拙速なやり方は、とうてい認められません。

 2月8日の第8回意見聴取会では、様々な技術的な課題が残されていることが明らかになりました。原子力安全・保安院も、その場で議論を終了するとは明言しませんでした。当然、継続審議となると思いました。審査書が原子力安全委員会に提出されたことに対して意見聴取会の委員として抗議します。

 ストレステスト意見聴取会では、徹底して議論を尽くすことが、国民に対する原子力安全・保安院の責務です。次のような根本的な問題が残っています。

(1)判断基準について、保安院は「福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津波が来襲しても同原子力発電所のような状況にならないことを技術的に確認する」としています。しかし、津波の想定は11.4メートルで、福島事故の14メートルよりも低くなっています。そもそも、福島事故は収束しておらず、原因もわからない状態です。

(2)評価の対象、基準の適用について以下の技術的な疑問があります。
① 制御棒の挿入性を検討の対象から外しています。
② 基礎ボルトなど機器の強度については、安全率を削って評価しています。
③ 原子炉建屋などの構造強度に関わる許容値について、耐震バックチェッ クの基準より甘い許容値を適用することを認めています。
④ 本来の設備は福島原発事故前から改善せず、消防車や非常発電装置など の外部仮設設備だけで安全だとしています。
 
(3)ストレステストは、過酷事故対策の検証を含めた二次評価と合わせて評価しなければ、地域住民が安全性を判断する上では意味がありません。電力事業者は、原子力安全・保安院の指示により、これを2011年末を目処に提出するはずでしたが、関西電力は二次評価結果を未だに提出していません。

 原子力安全・保安院が、現時点で「妥当」としたことは、はじめに再稼働ありきの見切り発車と言わざるを得ません。このような姿勢こそが、福島原発事故を招いた要因です。このように原子力安全・保安院は、規制当局としての役割を十分に果たしていません。まずすべきことは、自らのありようについて根本的な反省をすることです。

 本日の審査書の提出は、「安全性に関する総合的評価」とされるストレステスト評価の体をなしていません。

以上

(この記事は松元保昭さんのご紹介によるものです。)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1823:120214〕