孫崎享氏のTwitterより「菅政権・尖閣・脱対米従属・胡錦濤訪米・・・」

菅政権
「米が望んだ菅首相」「漏洩公電お墨付き」、東京新聞、「こちら特報部」、戦後最も親米的といわれる菅政権はどのように誕生したか。昨年2月ソウルでキャンベル米国国務次官補は韓国青瓦台で金首席秘書官(現外相)と面会した。在韓米大使館から米国へ送られた公電にこんな記載がある。「両者は民主党と自民党は全く違う。岡田、菅と話合うことの重要性を指摘した」この公電の意味を読み解くポイントは、米国が交渉の相手として当時の鳩山首相でなく岡田、菅氏を名指ししたこと。孫崎享さんはウィキリークスと公電が意味するのは米国が鳩山首相と距離を置き、岡田、菅を対話すべき相手と判断したということとする。「米国が同意したその後の『鳩山首相降ろし菅首相誕生につながった』とみる。キャンベル氏は金氏と会う前日小沢幹事長と会談している。孫崎さんは「キャンベル氏はその際、小沢ー鳩山ラインは米国の防衛戦略に乗ってこないと判断した。一つは在日米軍基地について米国側の意向に沿わない考え方をしていること、もう一つは対中国外交について、融和外交をを進めようとしていることだった」と指摘する。代わった菅政権。孫崎さんは「米国にすべて丸投げしている」と批判。「辺野古移転方針、思いやり予算の維持など米国の意向どおりの施策を進めている」だがこうした「米国追随」は必ずしも安全保障にはつながらないというのが孫崎さんの意見だ。「中国の軍事力は増大し、ミサイルの射程も延びている。もはや軍事力で対抗しようとしても効果はない」という。「中国と激しく対立するのではなく、融和を模索する道を模索するのが現実的だ」とした[東京新聞掲載の引用]
(1月20日)

胡錦濤訪米
訪米前、米国国内では通貨、人権、対北朝鮮姿勢(中国の圧力小)で批判のトーン強かったが、首脳会議は予想より協調ムード強い。オバマ周辺がこの動きを取り仕切る。主要紙論調:WSJ標題「ライバル、新しいバランス模索」:友でもなく敵でもない不安定なバランスが世界で最も重要な二国間関係で発生。中国の通貨、人権、北朝鮮の核という緊張の分野でも共存出来ることを示した」、WSJはオバマ対中政策を「対立を認めつつ共存計る姿勢」と位置付け。WP社説は人権中心に論評。オバマの「人権問題は2国間関係の障害にならず」や「米中は30年異なる道歩む。今後もいい方向に変わる」と発言したとしてオバマの中国弁明の姿勢をやや批判。NYT紙は標題「オバマ人権で圧力、しかし結びつき強調」。記事「デーリー氏(金融大手JPモルガン・チェース幹部で元商務長官)が首席補佐官就任以降、大統領府は胡訪米を米国企業の貿易機会とする努力。米国企業の対中450億ドル契約、うち飛行機200機190億ドル。」日本への影響どう見るか。米の対日工作は軍中心。日本を対中包囲に取り組む努力。菅・前原これに完全に乗る。しかしオバマ周辺は対中は経済・貿易中心。協調を模索。日本の対中緊張強化路線はオバマ周辺とは異なる
(1月20日)

尖閣
歴史から選択肢を考える、問1:1978年4月中国漁船100隻以上尖閣諸島近海に終結。その際どう解決されたか(い)日本の海上保安庁巡視船が追い払った、(ろ)米軍が追い払った、(は)中国政府が撤去させた。
この問を念頭に事件を紹介する。「上海市水産局の漁船が尖閣諸島への出航前会議開催、この席で革命委員会の陳錦華副主任が日本の海洋資源の略奪を攻撃。“祖国防衛、侵略反対”採択。 、“万一襲撃されたらどうするか”と打電した。水産局は”中国領土で漁業をするものを誰が銃撃出来るか。反撃せよ“と応答。民兵副団長は”中国領土死守“の戦闘命令発出。」
この時どうして解決されたか、(1)米軍はこない、(2)日本の巡視船警告を発するも100隻以上の漁船無視、(3)中国側乗り出すー事件が表面化し、上海市党委員会は党中央委員会の名で“撤退しない者は党籍除名にする”と通告し解決。
同じ事態ー100隻以上の中国船が来たとしよう。 1978年来ない米軍がくるか。中国軍増強下、米国78年より慎重、では若干増やす巡視船で追い払えるか。無理。冷静に考えれば一番実行力あるのは中国政府が漁船を止めることではないか。日米同盟深化、巡視船増強では解決難しいこと理解すべし。今の中国政府、尖閣棚上、実力行使阻止に協力。
[ソースは]永野信利著『天皇と鄧小平の握手』、永野信利は元東京新聞記者、外務省霞クラブに異例に長期間属し、当時外務省情勢に最も精通していた記者。『外務省研究』など外交関係著書多数
(1月20日)

産軍複合体
アメリカン・コンサーバティブ誌、二月号産軍複合体特集。シュレジンジャー記事は産軍複合体の危険を警告するアイゼンハワーの大統領離任演説を掲載。演説は半年以上に渡り米国民への最終メッセージを構想。構想段階では軍需産業強大化で死の商人達が国の政策を動かすことの危険を認識。構想時、産・軍・議会複合体の案もあり。最終演説表現は穏やか。メッセージ性は強い。演説内容今日でも貴重:最後の世界戦争まで米国軍事産業なし。莫大な軍備と巨大な軍需産業との結びつきは米国歴史中、新しい経験。軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければならない.警戒心と見識ある市民のみが,巨大な軍産マシーンを平和的な手段と目的に適合させうる。この世界は,恐怖と憎悪の社会でなく,相互の信用と尊敬に基づく同盟に。同盟は互いに対等な国々の同盟。最弱者が我々と同等の自信の下話し合いのテーブルにつくべし」古き良き米国。世界の尊敬獲得
(1月19日)

日米
学生の質問「先生。日米同盟で質問があります。最近ツイッターでローレンス元国防次官補の発言が論議されてます。彼は”安保条約は法律、契約と同じ。米軍は安保条約五条に従って、日本を守るために命を賭ける”と言ってるようです。先生の説と違ってませんか」。
答え:全く異ならない。まさに私の述べていることです。この説明は実に巧妙です。「日本を守るために命を賭ける」と言ってます。だから皆米国は常に日本を守るために命を賭けるのだ、同盟というのはそんなに絆が太いのだと思います。しかしローレンス自身言ってます。安保条約は契約だと。契約の内容を守ると言っているのです。安保条約はどういう契約になってますか。「自国の憲法の規定及び手続きに従って行動する」です。米国の憲法では私が良く言うように参戦権は議会にあります。従って米国が日本に負っている義務は「議会に日本防衛を行うかの判断を仰ぎ、決定されたら「命を賭ける」です。日本に対する義務で「命を賭ける」のでなく、「議会の決定」だからです。NATO条約が「安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を直ちに執る」と比較すればその違いが分かります。どうですか。わかりましたか。歴史的には米国は旧安保条約で日本防衛義務を負ってません。ダレスは「日本を守る義務はない」とフォーリンアフェアーズに書きました。旧安保から新安保になり五条が出来ましたが、ダレスの精神を受け継いだと思います。勿論米国は日本を巡り軍事行動をとることはあるでしょう。それは米国が軍事行動が自国の国益と判断した時です。条約上の義務でない。
 (1月17-8日 )

ツイッターの力
チュニジア デモで政権が崩壊。.デモ形成はツイッター等での情報発信、これに民衆大々的に呼応。明確にツイッター政治的力に。フォーリンアフェアーズ誌最新号(一・二月号)の最重要論文をshirsky「社会メディア(インターネット、ツイッター)の政治力」として発売直後 過去の情報発信は既成メディア。ある種の統制下。一般市民が発信する政治力の潜在性、多くの政治を変革。メディア弱体の全体主義的国家を先ずヒット。日本のように大手メディアが自由を標榜し巧妙に誘導の中では社会メディアが力持つには逆に時間がかかるが必ず変化もたらす
(1月16日)

脱対米従属その2
今日論壇で「脱対米従属」を論議することなし。70年頃まで存在。「諸君」は「世界」に対抗するため創刊の右の論議の場。一知人1971年3月号大熊信行著「戦後日本の欺瞞について」最近私に提供。
内容:軍事占領下、他国の軍事的な絶対権力が日本の憲法や皇室の権威より上位。軍事占領は間接統治をやろうと、一つの政治形態としては最も野蛮な物。民主主義の対極。軍事占領下に日本に初めて真の民主主義が樹立考えたのはどういう訳だろうか。軍事占領下の民主化とは政治制度の民主化。政治そのものの民主原理は存在すべくもなかった。軍事占領下の日本の民主主義は、釈迦の掌から出られなかった孫悟空のようなもの。太平洋戦争が終わった瞬間にソビエト、ロシアに対し米国は日本列島という一種の駒を手に握ってしまったことになる。すぐさま逆に、これを敵の鼻先に打つ事が出来るという点にある。
米国への日本の軍事的隷属は、敗戦の真の結果。占領期間が終わっても日米安保条約によって継続。基地があるということはそこに外国の軍隊があるということ。その基地は「日本」ではないということ。国家における独立の喪失と、国民における防衛意識の喪失は一つのことの裏表。「非武装中立」という言葉があるが日本の国はただの半日も「非武装」であったことはない。
アメリカに打ち込まれた杭は平和憲法と安保条約。最初の杭にしがみついたのが革新勢力。二本目に保守勢力。日本が分裂国家の様相を持つのはここから」大熊信行の問題提起は七〇年代特有か。現在に続く問題提起か。私は今日的意義を見る。今この問なし 
(1月16日)

米中
私はキッシンジャーは個人としては嫌。だが彼の主張学ぶべき物多い。14日付WP論評「米中冷戦を避けて」も同じ。「米中の指導者は各々国内のエリート中、協力より対立を説く見解に直面している」とした上で結論:最も重要な現実は米中いずれも相手国を支配出来ないことであり、両者の紛争は両国の社会を消耗させる。何らかのフレームワークが作れるか。太平洋共同体の概念が、米中の両者がブロックを形成することを避ける21世紀の組織的原則になりうる。」不思議なことに「東アジア協同体」は日中関係で「キ」の構想の先駆的存在。しかし日本その流れ潰し、協力より対立説く側へ。 
(1月15日)

普天間基地
今、日米は米軍、普天間居座りで解決を図る方向へ。普天間基地が何かを知る必要あり。出発点は移転問題でない。沖縄の基地縮小が原点。民主党は今、橋本総理時代の原点を消そうとしている。日米安全保障共同宣言(1996年4月):米軍の施設及び区域が高度に集中している沖縄について総理と大統領は、安保条約の目的と調和を図りつつ、米軍施設・区域を整理し、統合し、縮小するため必要な方策を実施する決意を再確認した」「整理し、統合し、縮小する」が合意。居残りOKでない。日本辺野古移転提示→ダメ、「普天間残留なら日米懸案が片づく」は原点から大きく離脱
(1月15日)

 孫崎享氏のツイートhttp://twitter.com/magosaki_ukeru
を許可を得て転載。孫崎享氏は元外交官・元防衛大学校教授。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1166:110121〕