安倍首相が米議会演説で「安保法制夏まで成立」と言ったことを「ま、いわば公約」と呼んだNHK記者

7月15日、安保法制法案の衆院特別委採決の翌日にフェースブックツイッターでつぶやいたことが、フェースブック初めて以来の、4万近くのリーチ、200近くのシェアを得て自分でもびっくりしているので、記録のためにブログにも記しておく。一部修正してある。@PeacePhilosophy

7月15日NHK「News Watch 9」を見ていて驚く瞬間があった。鈴木奈穂子キャスターが、解説者として出ていた政治部の中田晋也記者に、世論調査でも安保法制が十分に審議されていないと思う国民が過半数なのになぜ採決に踏み切ったのかときいた。

 

中田氏はこう答えた。「この法案は、この法案を今の国会で成立させると安倍総理がアメリカ議会の演説でも名言した、ま、いわば公約といえると思うんですよね」と。それに即座に鈴木キャスター、もう一人の河野憲治キャスターともに「はい」と答えていた。

 

この「公約」という言葉にびっくりして、聞き間違いかと思ったがたまたま録画していたニュースだったので聞き直して、やはりそう言っていることを確認した。

 

日本の首相である安倍総理が「公約」し得る相手は唯一日本国民であり他の国の国民ではないはずだ。米国の国民の代表である米国議会で発言したことが日本の首相としての「公約」であるとこのNHKの記者は解釈し看板ニュース番組のキャスターはそれに何の疑問ももたず「はい」とうなづくのだ。

 

実際安倍首相は自国の国会にかける前に米国やその同盟国に軽々しく安保法制についての口約束をした。米議会演説では安倍首相は日本国民に一言も説明する前に米国民の前で「約束」したのである。

 

安倍氏が日本国民より米国民に優先的に仕える、その主権放棄行動を「ま、いわば”公約”だから」と追認したNHK。歴史に刻むべき事件であると思う。
コメントなどはフェースブックのリンクを見てほしい。

政府の広報機関となっているNHKに今さら何を期待するのかという声も来たが、自分の国の首相が他国に行って口約束してきたことをまるで拘束力がある「公約」かのように言い、それが安倍首相が採決を急いだ正当な理由であるかのごとく表現したNHKの一記者の発言は私はやはり看過できない。

しかしこの問題の本質は米国議会演説における安倍首相の売国的発言であり、NHK記者は安倍政権の代弁をしているに過ぎないという見方もできる。記録のためにも4月29日の安倍氏米国両議会合同演説における、中田記者が「ま、いわば公約」と呼んだ部分を抜粋する。

…太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。
そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。
日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。
この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。
ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。
いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。
それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。

1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。
その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。
これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。
議会制民主主義の手続きを無視しても「切れ目なく」米国と軍事行動を共にすることを優先する安倍首相。違憲法案をゴリ押しする安倍政権は憲法を覆すクーデター的性質を持つ政権であり、この米国への売国的姿勢と相まって親米クーデター政権と呼べるのではないかと思う。憲法と主権が完全に壊されないうちに一刻も早くこの政権を終わりにしなければいけない。まずは安保法制を廃案に導かないといけない。@PeacePhilosophy

初出:「ピースフィロソフィー」2015.7.20より許可を得て転載

http://peacephilosophy.blogspot.jp/2015/07/blog-post_20.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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