島田アピール:冤罪を生み出す温床の解消を目指し、再審法改正と死刑廃止を ~1・31赤堀政夫さん解放30年に寄せて~

赤堀政夫さんは30年前の1月31日、35年間の闘いにより再審無罪を勝ち取り、生きて娑婆に帰ることができました。25歳で不当逮捕されてから還暦の年まで獄中に閉じ込められ、死刑囚として死と隣り合わせにありながらの闘いでした。

赤堀さんの勝利の前には、免田栄さんら3人の死刑囚による再審獲得の闘いがありました。そして、袴田巌さんをはじめ、冤罪に苦しむ人たちの再審無罪-解放が期待されました。

しかし、赤堀さん以降、死刑囚再審の道は閉ざされたままです。

2008年、飯塚事件の久間三千年さんは再審請求準備中に死刑が執行され、2017年には名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんは再審請求中に獄死しました。そして、2018年7月、2週間という短時日にオウム真理教幹部13人の死刑が執行されました。この執行は再審請求中であろうが精神疾患を抱えていようが、国家の意思で死刑執行を行なうという暴挙以外の何ものでもありません。

一方で2014年3月、47年7ヶ月の時間をかけた闘いによりいったんは再審の扉をこじ開け、袴田さん釈放という勝利を得た袴田巖さんの再審請求は、検察の異議申し立てに従った東京高裁により再審開始決定の不当な取消しがなされました。

赤堀さん解放から30年の歳月が流れ、死刑囚再審で無罪を勝ち取った免田さんは93歳、赤堀さんは今年の5月18日に90歳になります。確定死刑囚のままの袴田さんは3月10日を迎えると84歳です。

私たちは、「生きて再審無罪判決を」、「生きて故郷へ」等々の叫びを続け、冤罪のない社会の実現に向けて活動してきました。私たちは赤堀さん解放30年の日にあたり、日本政府・司法当局に対していまだに無実の人が冤罪を晴らせず、人権無視の社会が続いていることに強く抗議し、国内外の皆さんに以下のことを強く訴えます。

 

1 冤罪を生み出す温床の解消を目指し、日本の司法制度の改革に取り組もう。とりわけ、無辜の民を救うことを目的とした再審法を制定させよう

2 再審裁判において、次のことを実現させよう

(1)すべての証拠開示

(2)再審請求人の三者協議への参加

(3)再審請求審における検察の新たな立証活動の禁止

(4)再審開始決定に対する検察の抗告・上告の禁止

3 世界的にも廃止が進む死刑制度を日本においても廃止させ、当面、死刑事件の再審請求中の刑の執行停止はもちろんのこと、日本政府に当面の死刑執行停止を宣言させよう

2019年1月31日

島田アピール(冤罪を生み出す温床の解消を目指し、
再審法改正と死刑廃止を)に賛同を!

~1・31赤堀政夫さん解放30年に寄せて~

赤堀さんは獄中で次のような経験をしたといいます。

「ある日(の朝)、ダッダッダッと足音が聞こえたの。足音がどこかのドアの前で止まると、その房の人がその日処刑されるんだよ。その日、その足音が僕のドアの前で止まった。カチャカチャって鍵を開ける音がして、僕の房のドアが開いたんだ。僕はびっくりして腰が抜けちゃった。刑務官が『赤堀、お迎えだよ。』と言った。その時、保安課長が急いで部屋に入ってきて、その刑務官に何か言った。そしたら、その刑務官が慌てちゃって、私を置いて部屋から出て行った。間違えたんだよ、部屋を。」(「死刑冤罪」里見繁 P205)

このような極限の状況は、どんなに想像をたくましくしても、私たちの想像が及ぶものではありません。赤堀さんの死刑廃止の訴えは、このような経験を含む赤堀さんの全存在をかけてのものであることを、私たちは赤堀政夫さん解放30年にあたり、あらためて重く受け止めたいと思います。

「死刑判決を取り消す」という宣告がない限り、自分の背中に十字架が張り付いたままだ という免田栄さんの苦悶や傷も、周囲の人に見えないからこそ強く私たちに訴えるものがあります。(「死刑冤罪」P25~26)

赤堀さんに続いて再審公判に進むはずであった袴田巖さんは拘置の執行停止で解放されましたが、身分は死刑囚のまま再び死刑台へ連れ戻されようとしています。なんとしても再審を開かせ、無罪判決を勝ちとる必要があります。「裁判所に対してはいつでも弓を強く引き絞っておかなくてはならない」との故大塚一男弁護士の言葉を思い出します。

福岡事件の西武雄さん(1975年没、享年60歳)、飯塚事件の久間三千年さん(2008年、70歳)は再審請求の途上で死刑を執行され、帝銀事件の平沢貞通さん(1987年没、享年95歳)、波崎事件の富山常喜さん(2003年、86歳)、三崎事件の荒井政男さん(2009年、82歳)、名張事件の奥西勝さん(2015年、89歳)は、無念のうちに獄死に追いこまれました。

赤堀さんの無罪解放から30年、今年の1月31日を迎えるこのとき、私たちは無実の罪に苦しめられ、闘ってきたこれらの人たちや救援活動に人生をかけた人々を含め、多くの思いを共有し、冤罪のない社会の実現を社会に大きな声で訴えたいと思います。別紙の通り「冤罪を生み出す温床の解消を目指し、再審法改正と死刑廃止を求めるアピール」を皆様と共に公表したいと思います。ぜひ、賛同していただきますようお願いします。

なお、1月31日にアピールを発表した後も署名やChange.orgによるキャンペーンなどの活動によって団体・賛同者を募り、冤罪のない社会を多くの人が望んでいることを明らかにしたいと思います。5月18日(土)の赤堀さんの誕生日までに集約して再度アピールするつもりですが、皆様にご相談しながら進めていくつもりです。

以上、よろしくお願いします。

2019年1月31日

島田事件対策協議会

袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会

袴田巖さんを救援する静岡県民の会

浜松 袴田巖さんを救う市民の会

1.アピール内容

別紙,島田アピール(冤罪を生み出す温床の解消を目指し、再審法改正と死刑廃止を)求めるアピール」をご覧ください。

2.賛同連絡先:島田事件対策協議会:代表 秋野 正男

〒427-0022 静岡県島田市本通六丁目7858-3 森伸一方
FAX/TEL 0547-37-3013 メール:akahori30@erix.com

3.締め切り:2019年5月15日(水)

※5月18日(土)=赤堀さんの90回目の誕生日=をめどに発表を予定しています。締め切り後であっても集約できる限り賛同団体・賛同者に入れさせていただきます。

◎以下の内容でご連絡ください(郵送、FAX、メールのいずれでも可)。できましたら貴団体の活動概要やアピールなどのコメントもお願いします。

島田アピール:冤罪を生み出す温床の解消を目指し、再審法改正と死刑廃止を求めるアピールに賛同します。

団体・個人名 [                                                        ]

・団体の場合 [代表者                担当者                         ]

住 所 [                                                        ]

電 話 [                       ]   メール  [                              ]

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