市民セミナー聴講報告(山下俊一、金澤一郎他)

市民セミナー「東日本大震災・原発事故の教訓と医療」聴講報告
―山下俊一氏は放射能安全を言い逃げ、質疑に応じず―
―金澤一郎氏は科学者の「安全神話」貢献を総括せず―
―今村聡氏は福島県医師会を応援―

下記市民セミナーを聴講したのでその結果を簡単に報告する。

開催概要
日時 2013年01月19日(12:50~15:30)
開催場所 NSカンファレンスホール(東京都新宿区西新宿2-4-1 NSビル30F)
参加費 無料
主催 東京医科大学/NPO法人先進医療フォーラム
講演
山下俊一(福島県立医科大学副学長)
金澤一郎(元日本学術会議会長)
今村聡(日本医師会副会長)

1 山下俊一(福島県立医科大学副学長)「放射線災害医療と健康リスク管理」
(講演内容)多数のパワーポイントを使って、長崎原爆(23万人中7万死亡、生存被曝者7万人)、3.11、リスクと不安(規模と頻度、ゼロリスクは無い、トレードオフ、論理的理解)を述べ、日本には環境放射線が多かった、広島・長崎は一回の被曝ゆえ福島事故と違う、チェルノブイリ(子ども達に汚染されたミルクを飲ました)と福島とは違う、福島では年間20mSv評価、甲状腺検診中間報告では8万人のうち二次検査推奨は0.5%、…と話し、最後に「県民の不安に如何に答えるか?」で不安はパトス(情緒、直観的・非論理性)がロゴス(科学、論理性・社会性)より強いからと締めくくる。
(質疑) 当然前の方に座った複数の市民が講師を非難したり質問をしたが全く受け付けず、山下氏は事務局に抱えられるようにして会場を後にし、何度も抗議した人が追い出される。その間に私は大声で、なぜ質疑応答がないのか、国連理事会のプレス発表で福島住民の健康管理が心配されていることと子供の血液検査結果が隠されていることについて聞きたかった、質疑無しはひどい、と抗議した。

2 金澤一郎(元日本学術会議 会長)「3.11科学者の責任と役割」
(講演内容)原発と日本学術会議の歴史を振り返り、3つの事故調査委員会報告を示し、「電源喪失」による最悪シナリオを事前に予知できていたのに科学者も学術会議も「公開」できなかったことを反省。昭和34年に学術会議が「原子炉の安全性について」原子力局長宛てに要望を出していたことを述べた。一方、放射線に対する「科学者」の発言の悪いパターンとして小佐古敏荘氏と児玉龍彦氏の言動を非難、放射線に関して「ゼロリスクを求めるリスク」を強調した。
(質疑) 質疑無しについての抗議の間に講演者は控室にさる。私は、控室に行き、金澤氏と一対一で話す。講演内容に全く不満、原発についてはアイゼンハワー米大統領の「アトムズフォーピース」から遡らないといけないのではと述べた。
その後、金澤先生にひとつお願いしたい、昭和34年に学術会議が原発の危険を警告したにもかかわらず政府に無視された話をされたが、昨年9月の高レベル放射性廃棄物の処理について学術会議が原子力委員会に重要な提言(地層処分は無理、廃棄物総量の扱いを決めるまで原発を動かすべきでない、など)をした。これをもっと世論に訴えないと先の警告と同様に日本社会に生きない、是非アピールをしてほしい、と。金澤氏もその提言については知っていて、言うことは分かった、対応する、と答えた。

3 今村聡(日本医師会副会長)「新しい地域医療の構築―ICTを活用した災害への備え―」
(講演内容)IT技術で被災者や患者の情報を如何に管理するかの話。
(質疑) 私が終了時に「福島の人たちの健康管理は大丈夫ですか? 福島県医師会の木田先生が規制委員会で不安を訴えている」と座長終了発言時に質問、講演者がすぐに「木田先生は私の一年先輩で尊敬している。詳細は分からないが応援する」と回答。さらに私から「木田先生が規制委員会で孤軍奮闘されている、是非支援を」と述べた。
終了後に控室で話したところ、日本医師会に研究所があり木田先生をバックアップしている。動きも承知している」とのこと。私からは「福島の人たちの放射能被害が心配だ、十年後にチェルノブイリのようにならないか、日本医師会の副会長でいられるのだからしっかりフォローしていただきたい」とお願いし、「それは勿論」との返事を得た。

その他
敵を知らねばと考えてセミナーを聴講し、残念ながら質問コーナーが無かったが、敵を知っただけでなく質疑アピールすることができた。
配布資料が全くないひどいセミナーなので、山下氏講演の途中から金澤氏講演のほとんどのパワーポイント画像をコンパクトカメラで撮影した(前の方の席で堂々と撮影、禁止されていなかったと思う)。活用方法を思案中ですが、必要な方には個別に提供します。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1151:130123〕