今年の新年は、読者のみなさまに率直に「おめでとうございます」とは残念ながら述べられません。
なぜなら日本は第二次世界大戦終結70周年の本年、よりによってこれまでにない政治危機に直面しているからです。危機の本質は歴史認識にあり、本年は近隣諸国からはもちろん、世界中から否が応でも厳しくそれが問われることは避けられません。
そこで、年の初めにあたり、19年も前の1996年の敗戦51年に向けて執筆した論考を再録して、読んでいただきたく思います。
平成天皇もそのことは自覚されており、新年の感想で次のように述べています。
本年は終戦から七十年という節目の年に当たります。
多くの人々が亡くなった戦争でした。
各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。
平成天皇は11歳で敗戦を体験した人物です。この人物が日中戦争に始まる15年戦争の歴史を学ぶことは「今、極めて大切」と述べるのは、その体験が極めて重いからであると思います。
以下の論考は、戦後50年を経た日本社会の歴史認識をドイツの戦後歴史認識をふまえつつ日中戦争の体験を軸に批判したもので、11歳の皇太子としての現天皇の体験にも触れてあります。
ここで指摘した問題が解決するどころか、深刻化しているのが日本が置かれた現状であるといえるでしょう。そこでブログに再録することにしました。出来るだけ若い世代に読んでいただきたく願っています。
『世界』1996年9月号の巻頭論文として掲載されたものです。写真ですのでクリックして拡大してお読み下さい。
初出:梶村太一郎さんの「明日うらしま」2015.01.02より許可を得て転載
http://tkajimura.blogspot.jp/2015/01/blog-post.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
〔opinion5095:150103〕