乱世の時代でも「四季の歌」にあるように、季節はめぐり春はやってきます。この豊かな自然に恵まれた日本で生活する私たちも新しい年を迎えました。ちきゅう座の読者、投稿者、会員のみなさまに新春のご挨拶をお送りします。
昨年の末、ある新聞では「正義も道理も消えた絶望の国」という表題で、今日の日本の社会状況を報道しています。絶え間ない戦争と殺戮が続き、世界の多数の人びとに貧困と格差をもたらしている21世紀の世界。そしてトランプ政権の成立後、急速に自国中心主義、排外主義、協調から対立が世界に広がってきました。日本は安倍政権の成立以来、美しい風土を破壊する原子力発電事業は推進され、議会制民主主義は形骸化し、政界も産業界も「倫理」なき事態で、ひたすら増税と軍事大国化の道を突き進む「絶望の国」になるのでしょうか。
2011年の3月11日に勃発した東北大地震と原発の大惨事以来、全国各地で多くの人々が自らの意志でたちあがり、多様な社会運動を展開し今日まで持続しています。脱原発運動はもとより被災地救援活動、辺野古基地建設阻止のオール沖縄の闘い、自衛隊の海外派兵に反対する反戦・平和運動、被爆者の悲願である核兵器禁止運動の持続的な展開、安保法制、共謀罪制定の抗議活動、「もりかけ」問題の徹底追及、NHKの偏向報道への抗議、保育所増設要求運動、労働法制改悪への反対運動、正規・非正規が共に闘う地域の労組運動、民族差別に抗議する地域の運動、子ども食堂の開設など貧困家庭への支援、仕事をつくる連帯経済の推進、憲法9条改悪阻止のネットワーク、地域で野党統一候補を擁立する選挙運動。
戦後史始まって以来の、大組織の指令ではなく、自らの意志で生活の場から展開されているこのような民衆運動は、さまざまに連携しながら軍事大国化への道に立ち塞がっています。こうした状況を政権やスポンサーに忖度するマスコミはほとんど報道しません。国境なき記者団によると日本の報道の自由度のランキングは、昨年は180カ国・地域のうち72位です。また、国連人権理事会でも日本の人権状況を審査する作業部会が開かれ、日本の報道の自由の問題が取り上げられて、加盟国から懸念を示す声が続出しました。
今年はちきゅう座創立13年目に入ります。創立以来、読者・会員からの投稿によって上記の多様な社会運動の動向を掲載してきました。今後も持続していきます。そして本年は特に重点的に、もっとも厳しい状況で闘っている沖縄の人々の声、お隣の韓国・北朝鮮、中国の動向が多数掲載されるよう働きかけます。さらに、もっと広く全国各地の生活の場からの発信も呼びかけます。そして、時代を切り開く理論、思想、芸術の表現の場としてちきゅう座が充実することを追究します。
本年は、みなさまとともに、こうした活動を展開し、いくつかの他のメディア・ネットと積極的に連携して、対抗メディアとして機能することを目指します。本年もよろしくお願いいたします。 2018年1月1日
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