日本の原発事業者の「転向」の良い手本:独エーオン社の再生エネルギーへのラジカルな新戦略

著者: 梶村太一郎 : ドイツ・ベルリン在住/ジャーナリスト
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ドイツでは今世紀に入ってから脱原発を進め、並行して再生可能エネルギー利用がダイナミックに進展していることは、日本でも知られています。ただ日本ではフクシマ大事故にもかかわらず、しつこく生き残りを目論む原子力ロビーが影響力を回復させているために、ドイツのエネルギー事情に関するメディア情報も非常に偏っているか、あるいは少なすぎるのが実情です。

そんな中で昨日の毎日新聞の 昨日の夕刊にこのようなコラムが掲載されました。
クリック拡大でお読み下さい。

k1毎日新聞2015年1月21日夕刊

ここで大島秀俊記者が触れている目下発売中の『世界』2月号の記事の最初の頁は以下のとおりです。続きは本誌でお読み下さい。目次を見れば判りますが、同号には他にもドイツに関するものだけでなく、優れたレポートが数多く見られます。

k2『世界』2015年2月号。37頁「世界の潮」

 

k3エーオン社長ヨハネス・タイセン氏。2012年12月2日記者会見で 写真:梶村太一郎

この報告に使用したエーオン社のタイセン社長の記者会見での写真のオリジナルがこれです。何しろ同社はドイツだけでなくイギリスやアメリカなどにも大きな投資をしている欧州最大の民間の発電エネルギーコンツェルンですから、彼の決断の衝撃と影響はドイツ国内に停まるものではありません。

記者会見の翌日『南ドイツ新聞』は「68年世代よりもラジカルな転換」との見出しで報道したものです。上記報告にも少し触れてありますが、この人物はドイツの原子力産業の中枢で育った有能なマネージャーです。何を隠さん、わたしも68年世代のひとりですから、記者会見で同じような印象を得ました。会見が終わり、これから説明のためロンドンの支社へ飛ぶ社長に、記者会見で嫌な質問をしたお詫びに、「あなたは革命家ですね」と挨拶すると大いに笑っていました。

彼と同社の決断は、到来しつつある再生エネルギー社会で生き残ろうとする未来を見据えた画期的なものです。日本の原発事業者のトップも学ぶべきこが多いことは間違いありません。再稼働にかまけているだけではいずれ事業は破綻し自滅することは必然です。
原発ロビーの皆さんに、彼からしっかり話しを聴いて良いお手本として「ラジカルな転向」をすることを勧めます。それこそが、価値ある経営者としてのコンプライアンスでしょう。これこそが、東電以下の心ある株主の利益を守る唯一の戦略ではありませんか。
違いますか?

初出:梶村太一郎さんの「明日うらしま」2015.01.23より許可を得て転載

http://tkajimura.blogspot.jp/2015/01/blog-post_23.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5137:150124〕