日韓外相会談に対する日本軍「慰安婦」問題解決全国行動声明<被害者不在の「妥結」は「解決」ではない>

日韓外相による日本軍「慰安婦」問題についての会談と共同記者会見に対する日本軍

「慰安婦」問題解決全国行動の下記声明を転載させていただきます。

(以下、転送・転載歓迎)

日韓外相会談に対する日本軍「慰安婦」問題解決全国行動声明

声明

被害者不在の「妥結」は「解決」ではない

12月28日、日韓外相は日本軍「慰安婦」問題について会談し、共同記者会見を開い

た。その内容についての評価は、本来、被害者がどう受け止めたかによって判断され

るべきであるが、私たちは昨年来、政府に、各国の被害者と支援者が集まった「アジ

ア連帯会議」で採択した、解決のための「日本政府への提言」を提案し、日本軍「慰

安婦」問題解決のために取り組んできた団体として、日韓外相会談の結果について以

下のようにコメントする。

1, 今回の協議は終始一貫、被害者不在で進められた。それが本日の結果に如実に表

れており、「最終的な解決」にするには、被害者にとってあまりにも課題の多いもの

となった。とりわけ安全保障政策を重視する米国の圧力のもとで日韓政府が政治的に

妥結し、最終的合意としてしまったことは、50年前の日韓基本条約の制定過程を彷彿

とさせ、東アジアが現在もなお、米国の支配下にあることを痛感させるできごとで

あった。

2, 日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四

半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が

勝ち取った成果である。しかし、責任を認めるには、どのような事実を認定している

のかが重要である。それは即ち「提言」に示した①軍が『慰安所』制度を立案、設

置、管理、統制した主体であること、②女性たちが意に反して「慰安婦」にされ、慰

安所で強制的な状況におかれたこと、③当時の国際法・国内法に違反した重大な人権

侵害であったことを認めなければならないということだ。「軍の関与」を認めるにと

どまった今回の発表では、被害者を納得させることはできないであろう。

3, 韓国外相は「平和の碑」(少女像)について、「適切に解決されるよう努力す

る」と述べた。日本政府が、被害者の気持ちを逆なでする要求を韓国政府に突き付け

た結果である。このような勝手な「合意」は、被害者を再び冒涜するものに他ならな

い。

4,さらに、教育や記憶の継承の措置についてはまったく触れず、国際社会において

互いに批判・非難を控えると表明したことは、日韓両国が日本軍「慰安婦」問題を女

性の人権問題として捉えていないことの証左であるとともに、被害者の名誉や尊厳の

回復に反する発言であり、とうてい認めることはできない。

5, この問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、ひとえに今後の日

本政府の対応にかかっている。問題が解決されず、蒸し返されてきたのは、被害者が

納得できる措置を日本政府がとらず、安倍政権が「河野談話」の見直しを図るなど、

政府として歴史の事実を否定する発言を繰り返してきたためであることを認識しなけ

ればならない。

6, 日本政府は、被害者不在の政府間の妥結では問題が解決しないことを認識し、以

下のような措置をとらなければならない。

① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びすると

いった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が

公式に表明すること。

② 日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに

断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。

③ 名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めてい

る日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者およ

び関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含

む学校及び一般での教育を含めること。

④ アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとる

こと。

2015年12月29日

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

共同代表 梁澄子 渡辺美奈

連絡先:日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

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