2011年9月20日 連帯・共同ニュース第156号
9条改憲阻止の会
■ 厳しかった残暑も漸く終えて、いよいよ本格的な秋が始まろうとしている。この残暑の最後の日、9/19,明治公園で6万人とも7万人とも言われる大規模な集会とデモがあった。「さよなら原発 1000万人アクション」の集会だ。明治公園にこんなにも多くの人が集まったのは、69年の6/15以来だろうか。今年の夏に、福島、広島、長崎で、フクシマとヒロシマ・ナガサキが合流し、反核と反原発が結び合い、「原子力の平和利用」を破棄し、反核=反原発が確認された。そして9/19、かつての原水禁と原水協への分裂以来の歴史をこえて、すべての運動勢力が新しい民衆運動の力に押し上げられて一つに合流した。こうして戦後をこえる新しい時代のトバ口が開かれたと言えるのだろう・・・。
■ 私たちはこのトバ口をこじあけ、脱原発への道を当面の再稼働阻止として切り開いていくべく、9/11経産省包囲に引き続いて経産省の敷地の一角にテントを構え、座り込みを続けてきた。厳しい残暑の中であったが、4名の若者達の正門前ハンストと相互に支え合い、共鳴しながらの座り込みであった。その中で、私たちは多くの人達に出逢い、議論し、交流してきた。人々と出逢い、議論し、交流し、そして行動への出立点としていく・・・、それこそ<広場>である。いわば、私たちは経産省の一角に脱原発へと向かうための民衆の<広場>を創り出そうとしてきたのであり、それは今も続いている。以前誰かが言っていた。経産省や東電等、原子力村の中枢が集中する東京は、原発問題の現地なのだ、と。その意味では原子力村の総本山である経産省の一角は、原発現地とは違った意味で、原発問題の最大の現地であろう。この現地に民衆の<広場>を創り出し、原発現地との結び合いを築いて、再稼働阻止の陣形を築いていくことがこのテントに与えられている役割なのであろう。
■ 枝野経産大臣は就任の記者会見で若者達のハンストへの感想を聞かれて、若者の気持ちはわかるが、国民的議論をもって進めて行くことが重要だと述べたという。だとすれば国民的議論の場を経産省の内外に創り出すべきであり、私たちのテントはまさにそのようなものとして、枝野経産大臣の目からしても理に叶ったものと言いうるだろう。だが、再稼働に向けた動きは急ピッチである。電事連は先日の記者会見で12月再稼働要求を打ち上げた。野田首相は国連で「原発の安全性を高めて維持推進していく」という演説をするそうである。枝野経産相大臣も再稼働に前向きと言われている。また19日に開催された日本原子力学会総会で、原発推進の姿勢については全く反省なく微動だにさせなかった。原子力村は壊れていないどころか巻き返しへの態勢をつくりつつある。経産省前テントはこういう原子力村の巻き返しに対峙する楔としての位置を与えられている。9/19の大規模な結集―脱原発への民衆のうねりを再稼働阻止へと対峙していく力へとどのように形成していくのか。今その知恵と創意工夫が求められている。若者達のハンストが終了した後に、テントはどのように道を拓いていくのか。私たちの知恵と力が試されていく。是非、テントに集まって意志と知恵を発揮してもらいたい。(文責 八木健彦)
●9条改憲阻止の会が9月19日明治公園で配布したビラです
経産省前に脱原発のテントが立った
それは9月11日行動から始まった
本日の「さよなら原発5万人集会」に至る日々を脱原発週(ウィーク)とするために9月11日には全国で脱原発行動が展開された。新宿では1万人の集会とデモが行われ12人が逮捕された。この集会は警察の過剰な警備との攻防の中で展開されたが、政府や権力側の脱原発の声の広がりに対する警戒を表わしている。この経産省を人間の鎖で包囲する行動も2千人の結集を持ってなされた。そして、この集会の直後から経産省前では4人の若者たちのハンガ―ストライキと座り込み闘争(テントを張っての24時間座り込み)が始まった。
脱原発運動は闘いの径路(道筋)を明瞭にすべき段階にある
脱原発の声は高まっている。その裾野は広がっている。これは脱原発が国民の意志として深まっていることであり、引き続き発展させられるべきである。しかし、同時にこの脱原発の動きは原発推進の動きを明瞭にし、それを鮮明にして行く必要がある。原発推進の動きをあぶり出し、集中した闘いに意志を結集すべきである。政府―権力側の原発推進の動きは必ずしも明瞭ではない。野田新内閣は国民の声に怯えて脱原発を匂わせる一方で、原発再稼働を構想している。この矛盾的な動きが政府の原発対応を分かりにくくしている。だが、日本の権力は官僚主導にあると言われてきた。とりわけ原子力行政は経産省や原子力ムラが基盤であった。彼らは現在も原発推進を変更してはいない。そして原発再稼働→原発保持の戦略を堅持している。政府の背後にあって画策をしている。そうであれば不透明で矛盾的な政府の裏で実質的に原発推進を画策している経産省や原子力ムラの動向に注目し、そこに脱原発運動の集中点を見ださなければならない。原発再稼働阻止→原発廃炉のこちらの道筋を彼らとの対決で明瞭化していかねばならない。対決とは原発の国民的論議が盛り上がり、その中で国民の意志が明確になることだ。座り込みの場を議論の広場に発展させよう。