核兵器を抱きしめて(4)― ヒロシマを抱きよせる米国、抱きしめられたい広島と日本 ―

「敗北を抱きしめて、戦前を抱きしめて、日米安保を抱きしめて、虚妄を抱きしめて、日本はどこへ行く?」と、思わず呟きが去来するヒロシマと歩んできた田中利幸さんの、映画「オッペンハイマー」への深堀り論評、必読です。

●核兵器を抱きしめて(4)
― ヒロシマを抱きよせる米国、抱きしめられたい広島と日本 ―
第4回:ヒロシマを抱きよせる米国
(その3)               2023年11月27日月曜日

和文
http://yjtanaka.blogspot.com/2023/11/blog-post.html

英文
http://yjtanaka.blogspot.com/2024/01/film-oppenheimer-and-a-bomb-myth.html

まずは田中さんのリード(前書き):

今週火曜12日に、映画「オッペンハイマー」の日本国内初の試写会が広島市内で開かれ、高校生や大学生110名が招待されたそうです。試写会後には元広島市長の平岡敬さんら3名が感想を述べあったとのこと。この映画は今月29日から全国公開になるとのことです。
ご覧になる前に、私が書いたこの映画の批評に目を通していただければ光栄です。
私の考えでは、この映画の決定的な問題点は、オッペンハイマーが広島・長崎への原爆攻撃直後から、原爆開発に加担したことに痛く後悔し精神的に苦しんだことをドラマティックに描写しながらも、結局は「原爆のおかげで戦争は終わったのであり、その結果、戦争が続いていればさらに百万人という数の死者が出たであろう」というアメリカ政府が創り出したあからさまな嘘=「原爆神話」を正当化してしまっている、ということにあると思います。

昨年この映画が欧米各国で公開された折には、多数の映画評論が出ましたが、この「原爆神話正当化」問題を指摘した評者は、私が知る限り、一人もいません。よって、原爆無差別大量殺戮の被害国である日本の市民、とりわけ広島・長崎の市民こそが、この映画が世界各国で発信している「原爆神話正当化」を厳しく批判する声を、世界に向けてあげることが必要だと思います。さもなくば、すでに世界中に拡散している「原爆神話」というあからさまな嘘=「歴史事実に対する侮蔑」をさらに浸透化させ、結局は「核兵器使用」と「核抑止力」の正当化をますます強化することになります。

Wake up Hiroshima & Nagasaki ! 目覚めよ、広島・長崎!

田中利幸

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13612:240316〕